暗闇に閉じ込められ、脚には鉄パイプが突き刺さっていた。周りのうめき声が消えていく中、救出を待ち続けた。3年前の4月25日、JR福知山線脱線衝突事故。身動きのとれない林 浩輝(当時19)さんに医師はがれきの中で点滴を施した。衰弱し弱音を吐く林さんを励ました。その後、一命は取り留めたが両脚は切断。大学へ復学した林さんは神戸の災害医療センターで「がれきの下の医療」の勉強会に出席。自らの体験も語った。「二度と事故を繰り返させないために生き残った人間の責任を果たしたい」と。事故から3度目の春、彼は社会へと旅立った。
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