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秋の本格的ミステリースペシャル 「呪いの仮面は冷たく笑う」(デジタルリマスター版)

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 かつて"東洋のカナリヤ"と呼ばれていた大物歌手・蘇芳紅子の主催する交通遺児救済チャリティーショーにゲスト出演することになった小五郎は、コナン、蘭と共に蘇芳邸を目指してレンタカーで雪の山道を走っていた。

 今日は紅子に晩餐会に招待されたのだ。途中、道を塞ぐ倒木に行く手をはばまれたコナンたちは、妙な紙が倒木に留められているのに気づく。「蘇芳紅子のチャリティーショーに参加するな、後悔するぞ。呪いの仮面の使者」と切り貼りした活字で綴られている。不安な気持ちで到着した蘇芳邸の大邸宅は西洋風の大邸宅で、コナンたちに続いて写真家の片桐正紀、プロ野球のホームラン王・松平守、人気の美人占い師・長良ハルカがやってくる。

 3人ともチャリティーショーに出演するという。小五郎はじめ、招待客たちが二つある玄関のどちらから入っていいのか迷っていると、両方の玄関からそっくりの双子のメイド、美奈穂と穂奈美が現れた。小五郎たちは東側から、片桐、松平、長良の3人は西側の玄関から入るようにと言う。客たちは、屋敷は内部で二つに別れていて、西側の寝室に泊まる客は西の玄関から、東の部屋に泊まる客は東の玄関から入ってもらうのがしきたりだと説明される。双子のメイドは「この屋敷では、しきたりを守らないと災いを招くことになるのです」と声をそろえ、「ここは呪いの仮面の棲む屋敷ですもの」と笑う。

 屋敷の内部は、世界各国から集められたと思われる仮面がいたるところに飾られ、異様な雰囲気が漂っていた。コナンたちは二階の「仮面の間」に通され、反対側のドアから入ってきた片桐、松平、長良と合流する。「仮面の間」と言うだけに、部屋にいくつも置かれたガラスケースに様々な仮面が展示されている。コナンが、陳列台に置かれていたリモコンのスイッチを入れると、四方の壁を覆っていたカーテンが開き、おびただして数の白い仮面が現れた。

 驚く客たちの前に蘇芳紅子が登場し「それは『ジョブルーの仮面』ですわ」と、自慢のコレクションを紹介する。壁に飾られているのは、スペインの彫刻家ジョブルー・ゴンザレスが死の直前に作ったと言われる二百枚の仮面で、兄弟子の陰謀で地位も名誉も財産も奪われたジョブルーが、何かに取り憑かれたように仮面を作り続け、二百枚作り上げた直後に自らの命を絶った。その後、ジョブルーの名誉は回復されたが、この仮面の所有者に不幸な最期を遂げる者が相次ぎ、「所有者の生き血をすする呪い仮面」と呼ばれるようになったのだという。

 そんな仮面を全部持っていて大丈夫だろうかと心配する客たちに、紅子は「霊媒師の偉い先生に呪いを封印していただきました」と笑う。だが、小五郎は「現実の人間の悪意のほうが恐ろしいかもしれませんよ」と、倒木に留めてあった手紙を見せる。すると、片桐、松平、長良の3人も同じような手紙を受け取ったと言い出す。遅れてやってきた人気ロック歌手の藍川冬矢までもが、「事務所に妙な手紙が来ていた」と封書を取り出した。定規で書いてあるような宛名の封書を小五郎が開けると、「今宵、呪いの仮面は生き血をすする 呪いの仮面の使者」と切り貼りした活字が並んでいた。

 豪華な晩餐会の席上、紅子は片桐の質問に答えて交通遺児救済チャリティーを始めた理由を語った。十五年前からチャリティーを始めたのは、その五年前に付き人の女性がひき逃げ事故を起こし、交通事故に無関心ではいられなくなったからだという。事故を起こした付き人は、その後、自殺した。冬矢はその息子で、「今の俺があるのは、全て先生のおかげさ」と、紅子に感謝の言葉を述べる。客たちはこの話に感動し、片桐も二十年前に交通事故で妻を亡くしたと告白する。食事の後、小五郎は紅子に片桐の妻の事故の調査を依頼される。

 脅迫状のような手紙の調査ではないことに疑問を持った小五郎だが、高額の報酬に目が眩み、即座に依頼を引き受ける。

 11時半になり、メイドの美奈穂と穂奈美は、「夜中を過ぎると『ジョブルーの仮面』が勝手に遊び歩くので、閉じ込めておく必要がある」と言い、12時に西側と東側と繋ぐ「仮面の間」に鍵をかけた。客たちはそれぞれの寝室に引き上げたが、深夜、小五郎たちの部屋の電話が突然鳴り出した。コナンが受話器を取ると、変声器を通したような声で「呪いの仮面は血に飢えている。生贄はだーれだ?急がないと間に合わないよ」と言って切れた。東側のメイド・穂奈美と西側のメイド・美奈穂を起こして「仮面の間」の鍵を開けさせ、コナンたちは西側の三階にある紅子の寝室に駆けつける。紅子のリビングに続く寝室は鍵が掛かっていて、ドアの上にある小窓のガラスを割り、コナンが部屋に侵入する。内側から鍵がかけられ、南京錠で二重にロックされた寝室には『ジョブルーの仮面』が散乱し、その中央に血まみれの紅子が横たわり、息絶えていた。

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