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#350

忘れられた携帯電話(前編)

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小五郎とコナンは、なじみの喫茶店、ポアロのドアを開ける。蘭が空手部の合宿に行ってしまったので、遅い朝食を取りにきたのだ。外では選挙が近いため立候補者、倍賞周平の選挙カーが騒がしく走り回っている。

そんな中、ウエイトレスの梓が小五郎に客が忘れていった携帯電話の持ち主を捜してほしいと言ってきた。その客はメガネをかけた七三分けの小太りの男で、昼過ぎに店に訪れたという。これまで3回、電話がかかってきて、初めに梓が出たときは「あれ?すみません間違えました」と言い、2回目は「あれ?おかしいな…今、音鳴ったか?」と。そして3回目に「てめえ奴の女だな?奴と代われ!ブッ殺すぞ」と怒鳴ったというのだ。

小太りの男は店で、ぴったり3000円分の飯を食べ、領収書を受け取り帰っていった。男が携帯を忘れていった場所はソファーの下。まるで誰かに拾ってほしいように、アンテナを出したままであった。現在、電話はとめられており、メモリーには名字が漢字で名前がカタカナ、下に黒い点、電話番号は10桁もあり、番号は全てデタラメ。まるで暗号のようだが、さすがのコナンもお手上げだ。しかも、発信履歴も着信履歴も全く残っておらず、製造番号のシールまではがされていた。

そこへ警視庁交通課の婦警、由美が現れる。交通事故で亡くなった身元不明の男の遺留品を手掛かりに、男の身元を捜しているというのだ。その遺留品というのが、小太りの持って帰った領収書だった…。

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