





今回の配達先は、台湾。プロ野球のチアリーダーとして奮闘する高橋佳帆さんへ、静岡県で暮らす父・治幸さん(58)、母・顕子さん(58)の想いを届ける。
佳帆さんが所属するのは、台湾で唯一、日本企業が運営する球団・楽天モンキーズのチアチームである「楽天ガールズ」。2023年、日本の東北楽天ゴールデンイーグルスの公式チアチームに加入した佳帆さんは、台湾を訪れた時に現地の応援スタイルに感銘を受け、移籍を決意。海を渡って2年になる。チアチームのメンバーは約30人で、台湾人と韓国人が在籍する中、日本人は佳帆さん1人だという。
台湾で野球は国民的スポーツ。さらに日本とは応援スタイルがまったく異なり、応援の中心となるのがチアリーダーだ。現地では“会いに行けるアイドル”のような立ち位置でもあり、観客の3割ほどは彼女らが目当てなのだとか。
この日、試合が行われるのは、台北市にある台北ドーム。チアリーダーはベンチの上にずらりと並び、スピーカーから流れる大音量の音楽の中、観客と踊りながらチームを鼓舞する。また、日本ではホームとビジターで1塁側と3塁側に席が分かれているが、台湾ではホームチームが内野席、ビジターチームはチアリーダーなしの外野席で応援。大迫力の応援は途切れることなく続き、選手たちもこの大声援の中、普通にプレーをしている。
応援ダンスは、チャンスやピンチのとき、さらには選手それぞれの応援歌もあるので、60以上ものパターンが。それらを駆使して観客と一体となる、この台湾ならではの応援スタイルやファンとの距離の近さに、佳帆さんはよりやりがいを感じているという。
個性がなければ認められない台湾のチアリーダーの世界。この2年、佳帆さんは自分の個性を磨き続けてきた。当初は全くできなかった中国語も、今では中国語が話せる唯一の日本人メンバーという圧倒的な個性で、人気も上昇中。さらに試合終了後など、どんなに疲れていても、時間が許す限りファンとの交流は欠かさない。
華やかに見えるチアリーダーの世界だが、厳しい現実も。契約は1年間。ダンスのクオリティ、スタイルや容姿の維持、グッズの売り上げなど、人気が下がれば容赦無く打ち切られてしまう。しかし一方で、人気が出れば、歌手への道やCM出演などチャンスにつながる。そこに夢があると佳帆さんは言う。
そんな佳帆さんのここまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。3歳から始めたクラシックバレエではプロを目指すほどだったが、コンクールでいくら賞を獲っても、持って生まれた骨格や体型で将来が決められる世界。限界を感じた佳帆さんは、バレエを諦めアナウンサーを目指した。しかし、30社以上を受けるも、夢は叶わなかった。その頃、偶然見かけたのがチアの募集。人前に立ち、伝える仕事がしたい…チアリーダーは、幾たびの挫折の末にたどり着いた、最後の勝負の場所だった。
とにかく今は、やれることは全てやる。ある日はファン獲得のため、台北で一番の人気スポットへ行き、SNSの撮影を行った。新天地で勝負を賭ける佳帆さんを突き動かすのは、これまでも自分の夢を応援してくれていた両親への想いだという。
そんな娘の日々を見た母・顕子さんは、「自分の目標に向かって一生懸命やってる姿がわかってよかった」とほほ笑む。父・治幸さんも「大したもんですよ。小さいながら夢が叶ったんだろうなっていうのは見て思いましたね」と現在の活躍を喜ぶ。
台湾で絶対に成功を勝ち取りたい…そんな想いを胸にファンとともに前進する娘へ、両親からの届け物は佳帆さんが初めて履いた小さなバレエシューズ。「この赤いバレエシューズをお守りだと思って、自分らしく一歩一歩進んでいってね」という手紙も添えられていた。両親からメッセージを涙ながらに受け止めた佳帆さん。「やっぱり、変わらず小さい時からずっと応援してくれているんだなって。迷惑ばかりかける娘で、まずはごめんなさいと言いたいですが、絶対、ママとパパがびっくりするような恩返しをこれからたくさんしていきたいと思うので、まだまだ応援よろしくお願いします」と、改めて強い想いを伝えるのだった。