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#8529月20日(日) 10:25~放送
バリ島

 今回の配達先は、インドネシアのバリ島。ここで動物保護活動をしている加納良一さん(49)へ、兵庫県で暮らす母・志津子さん(76)の想いを届ける。
 アジア屈指のリゾート地として知られるバリ島。良一さんは島の南部に自宅を構え、妻の佳織さん(43)と、34匹の元保護犬とともに暮らしている。
 きっかけは2016年、バリに来たばかりの良一さん夫婦の家の駐車場に、皮膚病にかかったガリガリの犬がやってきたことだった。そこで、動物と暮らした経験がなかったものの、「Pan」と名付けて手探りで飼育を開始。すると直後に、交通事故で脚を複雑骨折していた「Hana」との出会いがあり、ともに生きる覚悟を決めた。しかし、間もなくPanが病死。ふさぎ込んでいた夫婦だったが、Hanaの散歩をするうちにかわいそうな状況の犬を何匹も目にするようになり、放っておけない夫婦のもとにはどんどん家族が増えていったという。
 実はバリ島は野犬が非常に多く、深刻な問題になっている。地元の人は犬を放し飼いにしていて、野犬との区別がつかないのが現状。しかも、飼い主としての意識が低いため、病気やケガをすると簡単に捨ててしまう。そしてすぐに野良になり繁殖…という負のループが続いているのだ。
 良一さんの1日は、早朝の散歩から始まる。34匹の犬たちを3回に分けて3往復、合計4時間を要する。食事は朝夕の2回。取り合いにならないよう、1匹ずつ呼び込んで与える。ケアが必要な子ばかりなので、サプリも必須だという。
 散歩と食事が終わると、良一さんは出勤。ウルワツ地区にあるブライダルホテルのレストランで、総料理長として働いている。披露宴が始まる前には、ホテル周辺に住みつく犬たちに食事をあげることも日課になっている。
 物心がつく頃には、シングルマザーの母と2人暮らしだった良一さん。いつも帰りが遅い母のため、独学で覚えた手料理を振る舞うような子どもだった。ただ、思春期になると荒れるようになり、高校時代には警察沙汰になったことも。だが卒業後は改心して料理の世界へ進み、20歳から地元神戸のレストランに14年勤めた。
 そんな頃、転機が訪れる。クルーズ客船から声を掛けられ、シェフとして船に乗り、各国を巡ることに。そのとき船内で知り合ったのが妻の佳織さんで、36歳で結婚した後はシンガポールに渡り、高級レストランで働いた。だが、新しい職場は多忙で、体調を崩してしまった良一さんは心身を癒そうとバリ島へ移住。気付けば11年が経ち、大家族になっていたのだった。
 夫婦2人で犬たちの世話をするには限界があるので、知人に引き取ってもらったり、野良として気にかけながら面倒をみたり…。それでも、こぼれ落ちた生命は数え切れないほどあった。「僕らはそういう子を探しているわけではないんですけど、目に入るんです。それを見たくないから、近所の犬だけでも地元のお医者さんと手を組んで、去勢や避妊をする。かわいそうな生命をこれ以上増やしたくないので…」と、良一さんは想いを語る。
 バリ島で奮闘する息子の姿を見た母の志津子さんは、「大変だなと思いますね。でも、自分たちがそういう風に思って保護犬活動をしているなら、頑張ってほしいですね」とエールをおくる。
 ある日は、近所の子どもたちと地域のゴミ拾いを行った。「ゴミは捨てちゃダメなんだよ、っていう教育ですよね」と良一さん。いつか犬たちが置かれた状況を変えるための最初の一歩でもある。
 心を癒そうとやってきたバリ島で犬たちと出会い、この地が抱える問題を知って「見て見ぬふりはできない」と行動する息子へ、母からの届け物は、自身の宝物だというお手製のスクラップブック。幼い頃の良一さんが描いた絵などが貼られていた。さらに、これまでの人生を振り返った手紙も。そんな母の想いを知り、思わず涙があふれる良一さんは、「表情には全然出さない人なんですが、苦労をかけたなと思いますね。すごく大切にされてたんやと思います。おかんにも何か返したいですし、想いを伝えなあかんと思いました」と、改めて母への感謝の気持ちを口にするのだった。