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#8519月13日(日) 10:25~放送
アイルランド

今回の配達先は、アイルランドのキラーニー。植物調査員の見原悠美さん(34)へ、東京都で暮らす父・猛さん(68)、母・万智子さん(66)の想いを届ける。
自然保護に力を入れるアイルランドでは、企業が土地を開発する際に、希少植物に害を与えると罰せられるという法律がある。そこで、事前に植物調査員がその地を調べ、法律に違反しないよう企業に助言する。悠美さんは植物調査員として現地の環境調査会社に勤務。さらにアイルランドの植物学会にも所属し、植物の分布を調べデータ化する活動もしている。
この日は植物学会の調査のため、手付かずの自然が残るキラーニー国立公園を訪ねた。目的は、アイルランドでは非常に珍しい水草「アールウォート」を見つけること。国立公園の湖には育つ条件が揃っていることから、自生しているとみて調査に乗り出したのだった。湖を目指す悠美さんは、岩だらけの急勾配をものともせず、険しい山道を登っていく。湖では、水中や水辺をくまなく探索。すると、予想通りアールウォートを発見することができた。
これまで様々な地域で1000種類以上の植物を調査し、自然保護に貢献している悠美さん。幼いころから植物や花が大好きだったが、一方で勉強や運動が苦手で、自分に自信が持てなかったという。そんな彼女を変えたのが、小学校1年生のときに父・猛さんが買ってきたゲームソフト「ゼルダの伝説・時のオカリナ」。ゲームの舞台は、雄大な自然が広がる「ハイラル」。主人公のリンクが冒険や謎解きを繰り広げる姿に、思わず胸が弾んだ。大人になったら自分も本物の大自然の中で冒険がしたい…その思いから、大学では植物学を勉強。さらに、ネットで知ったアイルランドの風景に興味を持ち、短期留学する。うねるように広がる緑の丘、それを区切るように建つ石塀に羊たち…そこはまさに、ゲームで見たハイラルだった。その後、植物調査員の仕事を知り、2017年に北海道の環境調査会社に就職。経験を積み、2022年にアイルランドの調査会社へ転職したのだった。「植物調査って、謎解きなんです。『ゼルダの伝説』で謎を解いたときと同じ楽しさがあって、ゼルダで気付けた“好き”が今の植物を調べることに詰まっている」と悠美さんは語る。
ある日は車で4時間かけて北部のスライゴへ。今回は植物学会が主催する合同調査で、国内でも屈指の自然保護区に各地の調査員が集まり、植物分布を調べていた。水生植物が得意な悠美さんの一番のお目当ては、保護区内にある池。すると、そこで食中植物「タヌキモ」の仲間を発見する。この地域で生育が確認されたのは初めてのことだった。
アイルランドに移住して4年。悠美さんの今の目標は、キラーニー州の代表調査員になること。「州の中の植物を網羅して、みんなに教えるのがゴールの1つ。ここにいていいんだと実感するためにもやっています」と力を込める。
そんな植物調査員として奮闘する娘の姿を見て、母の万智子さんは「胸が熱くなりました」と感激した様子。また、悠美さんの人生を変えたゲームソフトを買った父・猛さんは、「何気なく買ってきたんですが…特に謎解きは夢中になってやっていましたね」と振り返る。
ゲームの主人公に憧れて単身アイルランドへ渡り、植物調査に打ち込む日々を送る娘へ、両親からの届け物は初めて家族で登山をしたときの登頂証明書。当時7歳だった悠美さんが、標高2700メートルを超える燕岳の山頂までたどり着いたことを示すもので、「あなたはもっと自信を持っていいんだよ」という両親のエールが込められていた。
「自然が好きなのも、この時にお父さんが山に連れていってくれたおかげだと思うので、すごくうれしいです」と胸がいっぱいになる悠美さん。そして「今でも自信がなくなって、床にうずくまっちゃう日もあるんですけど、2人が信じてくれている私を信じたいなって思いました。今後、もし新種を見つけられたら“ユウミ”ではなく“ミハラ”の名前を残したいです」と力強く語るのだった。