





今回の配達先は、美容大国・韓国。ヘアメイクアップサロンを営む福島綾華さん(32)へ、福岡県で暮らす父・孝夫さん(62)、母・美奈子さん(59)の想いを届ける。
ソウルから車で1時間。近年、開発が進む永宗島(ヨンジョンド)は、若いファミリー層に人気のエリア。綾華さんはここでヘアメイクアップサロン「salon de HANA(サロンドハナ)」を経営している。韓国の街にあふれるメイクサロンとは、いわば美容室のメイク版。メイクアップの国家資格を持つ綾華さんがサロンを立ち上げたのは8年前で、永宗島には最近移転してきたばかりだが、予約は毎日埋まっている。お客さんは80歳を超える女性から幼稚園児までと幅広く、写真に残るイベントがあるときなどに、クオリティの高いメイクを求めてやってくるという。
この日のお客さんは、パーティーを控える女性。どのサロンへ行っても濃いメイクにされてしまうと悩んでいたところ、綾華さんのインスタグラムにたどり着き、予約したそう。綾華さんの強みは、日本で学んだ高い技術をベースにした、その人らしさを引き出すナチュラルメイク。「私の場合、まずは“似合わせ”です。その人が一番キレイに見えるように。素材をどう活かせるかを考えています」。
翌日の予約は4組も。まずは、結婚式を挙げる代わりに自分たちで写真を撮るだけで済ませるという、若い世代に人気の「セルフウェディング」を行うカップルがやってくる。新婦のオーダーは、顔が小さく見えるアイドルメイク。そこで今回は色を濃い目に発色させ、シャドウをぼかして鼻に自然な立体感を作ることで小顔を演出。さらに、リップにも流行中のメイクテクニックを駆使し、こだわりのオーダーに応えた。
高校時代、男性アイドルグループ・東方神起にはまり、ここから韓国の文化、特にメイクに興味を持つようになった綾華さん。メイクを学ぶため、美容系の専門学校に進学を希望するが、大学に行ってほしかった母に猛反対される。そこで昼間は大学へ、夜は母が探し出した、大学に通いながら行ける美容専門学校で学んだ。卒業後はワーキングホリデーで韓国へ渡り、そのまま移住。そして5歳年上のドンワンさんと結婚し、24歳で念願のサロンを立ち上げたのだった。仕事終わりには、娘の智侑ちゃん(2)を保育園まで迎えに行くのが今のルーティンだ。
大好きな韓国にやってきて10年。特にこの数か月は自宅の引っ越しに加え、産休明けからの仕事復帰、そしてサロンの移転オープンと特に多忙な日々をおくっている。そんな中、母に対する気持ちも徐々に変化してきたといい、「当時は何でそんなに反対するんだろうという気持ちの方が大きかったんですけど、時が経つにつれ、私のためにいろいろしてくれたありがたさを感じます」と語る。
今の綾華さんを見て、母・美奈子さんは「頑張ってるんだなって。頼もしいなと思います」と目を潤ませる。また、メイクの道を反対していたことについては、「反対というより心配でした。私も相談する人がいなかったので、娘が1人で突っ走っているように見えてしまって…」と振り返る。
休みの日には子守りを夫に任せて、繁華街でトレンドを調査。さらに、「パーソナルカラーアナリスト」の資格を取得し、それぞれに似合う色を診断してメイクのアドバイスを行う。永宗島エリアで診断を実施しているのはまだ綾華さんだけだといい、常に専門知識や技術の研鑽を重ねている。
これからも人生に新しい色を重ねていく娘へ、両親からの届け物は、綾華さんが幼稚園のときに書いた絵。大胆な構図や色遣いの絵は、綾華さん自身も記憶に残っていたという。また母からの手紙には、早くメイクの仕事をしたかった綾華さんを大学に行かせたことについて、「人生の選択を私に都合よく作ってしまったのではないかと悩みました。今でも時々思います」と綴られていた。そんな想いに、「母は逆に、私の将来のことを思ってのことだったので、『気にしないで』と言いたいです」と綾華さん。そして、「うちの両親がしてくれたように、次は娘の未来のために、私も途中でめげずに頑張ろうかなと思っています」と改めて奮闘を誓うのだった。