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#8232月1日(日) 10:25~放送
キルギス

 今回の配達先は、キルギス。語学留学中の杉浦優さん(40)へ、兵庫県で暮らす夫・豪さん(38)の想いを届ける。
 中央アジアにあるキルギスは、1991年に旧ソビエトから独立した国。優さんは、キルギスの公用語であるロシア語を習い始めて3か月になる。授業が終わると、とあるマンションへ。ここはヌリヤ・ドゥシャリエワさんが営む、主に日本人向けのツアー会社「アシュトラベル」のオフィス。実は優さんはキルギスの旅行会社を日本からサポートする会社に所属しており、アシュトラベルでは日本人観光客向けにキルギスの情報をSNSなどで発信する仕事を任されている。毎日、キルギスの魅力を伝える動画を編集し、投稿。語学留学をしながらヌリヤさんを支える、これこそが優さんがキルギスに来た一番の目的だという。
 学生時代に英語が好きになり、日本で英語教師をしていた優さん。だが過労で体調を崩し、その後、結婚を機に家具店に転職した。興味を持ったものにはとことんのめり込む優さんは、店で販売する高級なイスの価値を知るためにデンマークまで赴き、イスを飾ることを目的に山小屋を購入しリノベーション。その体験やイスの魅力をブログで発信するようになった。すると、そのブログの熱量が評価され、現在所属している会社から「キルギスについての記事を書いてほしい」と声がかかる。そこで人に伝えるためには実際にキルギスに渡って現地を深く理解したいと考え、夫には1年という約束で渡航したのだった。
 新たなツアーの企画も担当する優さんは、日本人観光客に楽しんでもらえるよう、実際に現地を訪ねてプランを練っている。大学が休みの週末は、ヌリヤさんと共に車で400キロ離れた山岳地帯・ジュディオグズへ向かった。ここで暮らす遊牧民に、ホームステイやツアーの受け入れができないかを相談するという。さらに、ツアーの目玉として考えているのが遊牧民と行く乗馬体験で、優さんも馬に乗りコースを体験することに。雪が残る険しい山道を登ること30分。突如眼下に現れた絶景に、優さんは「これはすごい!」と感激。「思った以上です」と手ごたえを感じたようだ。
 キルギスの魅力を1人でも多くの人に知ってもらいたいとこの地に渡った優さんには、もうひとつの想いがあった。それは、日本で頑張っている子どもや疲れた大人たちのために自分の人生を使いたいということ。さまざまな経験や失敗を経た今は、心置きなく好きなことに取り組みながら、誰かの役に立つ生き方をしている。教師時代には十分に伝えられなかった「いくつになっても輝ける」「やりたいことをやろう」という想いを、今の姿を通して伝えられたらと考えていた。一方、すでに夫にはキルギスの滞在が長くなるかもしれないことを匂わせているそうで、「時々日本には帰ろうと思っていますが、キルギスをメインに生活していきたい」と胸の内を明かす。
 結婚10年目にして突然、離れて暮らすことになった夫の豪さん。妻について、「思い立ったらとにかくやっちゃうタイプ。自分にないものがあって魅力的な人だなと思います」と語るが、「さすがにずっといないのはさみしい」と本音も。そして今回、優さんの現在の心境を聞き、「もう気持ちはキルギスに行っちゃってますね。楽しいんでしょうね」と苦笑する。
 失われつつあるキルギスの伝統文化を守る手助けをしたいと情熱を燃やす優さんへ、夫からの届け物は優さんが大好きなコーヒー豆とコーヒーミル、マグカップのセット。手紙には、優さんの生き方を肯定する言葉と「姫路にはいつ帰ってきますか? 私はいつでも迎えに行きます」というメッセージが綴られていた。それを読み、「今まですべて本気でやってきたけど、自分がこんなに求められていて、やらせてほしいと確信したのは本当に初めてのこと」と涙ぐむ優さん。そして「家族には心配をかけるし、私ごときができる役割だとは思ってないんですけど、日本とキルギスをつなぐきっかけは作れるんじゃないかというのは確信しているので、やらせてほしいし、やらないといけないなと思っています」と改めて強い決意を伝えるのだった。