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#8018月10日(日) 10:25~放送
801回SP in タヒチ

 今回の配達先は、南太平洋に浮かぶフランス領ポリネシア最大の島・タヒチ。 “ぐっさん”こと山口智充が自ら届け物を携え、タヒチで奮闘する人たちに想いを届けるスペシャル版の2週目は、出張料理人の太田裕香さん(47)へ、日本の恩人である池田一夫さん(67)、由美子さん(57)の想いを届ける。
 街の中心にあり、食材から日用品、お土産物まであらゆるものが揃うパペーテ市場で買い出し中の裕香さんを訪ねたぐっさん。裕香さんはいつも野菜や魚など、その日に売られているものを見ながら出張料理で出す献立を考えるそうで、ぐっさんも買い物に同行する。購入した食材を持って向かったのは、山あいの高級住宅街。リピーターだというお客さんの豪邸を訪ね、キッチンを借りて調理を開始する。出張料理は、買い出しから調理、配膳、お客さんとの会話に至るまで全て裕香さんが1人で行う。代金は1人前およそ1万5000円から。高級レストラン並みの価格だが、タヒチには日本人が本格的に和食を提供する店がほとんどなく、多い月で10件程度依頼があるそう。メニューには裕香さんが自ら握る寿司も。握り方や魚のさばき方は日本で本格的に学んだという。寿司につけるのは、裕香さんが手作りしたタヒチでは定番の甘い醤油のソース。また、玉ねぎにフォアグラを詰めて味噌汁仕立てにしたものはオリジナルのレシピで、常連客を飽きさせないようなメニューを心がけている。主人らと一緒にテーブルを囲ませてもらったぐっさんも、裕香さんの料理に舌鼓を打ち楽しい時間を過ごす。
 子どもが好きで、日本では保育士として働いていた裕香さん。海外にも興味があり、25歳のときにはタイの孤児院でボランティア活動をしていた。その後、現地で出会ったフランス人男性と結婚。3人の子をもうけた後、夫の仕事の都合で37歳のときにタヒチに移住した。だが40歳で離婚し、シングルマザーに。3人の子どもを育てるため、元々料理が好きだったことから出張料理人を目指したのだった。そして日本に里帰りするたび、地元・神奈川にある寿司店の料理教室に通い、技術を習得。大将の池田さんは、日本とは米や水が違うタヒチでどうすればおいしい寿司が握れるかなど親身になってアドバイスをくれたといい、裕香さんにとっては師匠であり恩人でもある。
 裕香さんのもうひとつの仕事が、日本の旅行客が参加するスキューバーやシュノーケルツアーの通訳。実は離婚した頃、何をして子ども達を養っていくのか、先が見えず不安が募っていたときに癒しとなったのがダイビングの時間だった。そこで、ぐっさんも裕香さんがガイドの通訳でよく出かけるおすすめの離島・モーレア島のシュノーケルツアーに案内してもらうことに。世界屈指の透明度を誇るタヒチの海を楽しむツアーで人気なのが、エイやサメが間近で見られるスポット。すると本当にエイが向こうから寄ってきて、ぐっさんも大興奮する。美しい海でたっぷり遊んだあとは、ランチタイム。プライベートビーチで作ってもらった現地料理を味わいながら、ぐっさんは裕香さんにこれからのことを聞く。
 シングルになって8年。子育てと仕事に追われる毎日だが、「タヒチに住んだ流れも偶然だったので、あまり先のことは考えていない」と裕香さん。子ども達は思春期真っ只中。でも「子どもたちには『あなたたちの学業がタヒチで終わったら、ママは自由に生きていくのであなたたちも自由に生きてください』と言ってるんです。あまり深く考えず、一緒にいられる今は楽しもうという感じで、タヒチの島やキャンプに連れていったりしています」と語る。
 3人の子どもを育てるために始めた料理の仕事とダイビング。タヒチで忙しくも充実した生活をおくる裕香さんへ、恩人である池田さんからの届け物は、池田さんの教室で寿司づくりの技能を習得したという認定証と、包丁を研ぐ砥石。池田さんに包丁の研ぎ方を学んだ裕香さんは感激する。女将の由美子さんからのビデオメッセージもあり、涙があふれる裕香さんは「これをいただいてしまったということは、もっとお寿司をタヒチの方に味わってもらえるように、もっともっと頑張っていきたいと思います」と奮起を誓い、ぐっさんも「食を通じて、たくさんの人を幸せにしてください」とエールをおくるのだった。