過去の放送

#58511月29日(日) 10:25~放送
アメリカ・ロサンゼルス

 2018年、アメリカ・ロサンゼルスで、ダンサーとしてコンビを組み奮闘していたYOUこと山内勇さん(当時36)と、ZINこと陣内智史さん(当時36)。国内外のダンスコンテストを総なめにした2人は1年前、満を持してストリートダンス発祥の地・ロサンゼルスへ渡った。生活の基盤は、ハリウッド郊外にあるダンススタジオでのレッスン。プロを目指す若いダンサーたちを指導している。2人が主に踊っているのは、激しい動きから突然静止してポーズを取るというスタイルが特徴の「ロックダンス」。実は「ロックは古い」というイメージがあるようで、本場アメリカでも専門に踊っている人はほとんどいない。だからこそ、自分たちが進化させた新しいロックをこの地で広めたいと意気込む。
 YOUさんとZINさんは、6歳からの幼なじみ。そしてYOUさんの父・礼さん(当時66)は、日本にロックダンスを広めた今も現役のダンサーで、2人の師匠でもある。中学の時、礼さんに誘われて行ったイベントで見たダンスに衝撃を受けた2人は、礼さんに弟子入りを志願。そしてダンスコンビを結成し、以来20年にわたり家族よりも長い時間を共にしてきた。ダンサーとして、順調に階段を登っているかのように見える彼らだが、最初から上手くいった訳ではなかった。初めてロサンゼルスに来たのは10代の時。日本で名前が売れ、天狗になっていた2人は本場に乗り込むも「ボッコボコにやられた」という。ガラッと意識を変えられ、悔しさから生まれたのが2人が動きを合わせて踊る「シンクロスタイル」。それからは国内外のダンスバトルで軒並み優勝。自らの絶頂期を迎えようとしていた。だが、そんな時に今度はZINさんがステージで足を負傷してしまう。ダンスが続けられるのか、先の見えない不安に苛まれる中、励みになったのが師匠・礼さんの「この状況をプラスに取って、自分の踊りをもう一度見つめ直してみろ」という言葉。礼さん自身、2年前にすい臓がんの手術を受け医師からダンスは諦めるよう告げられていた。しかし礼さんのダンスにかける想いは強く、見事復活。そんな師匠の背中があったからこそ、今の自分たちがあると2人は言う。
 30歳半ばを過ぎてもなおダンスの本場で挑戦を続けるYOUさんとZINさんに、師匠から届いたのは1枚のDVD。ケースには礼さんの直筆で「まだまだ負けへんで!」の文字が。映像には弟子である息子たちへ伝えたかった、現役ダンサーの“魂”が込められていた。その想いに2人は涙し、ダンスで恩返しをすると誓ったのだった。
 あれから2年半。ぐっさんは礼さんと共に、東京のダンススタジオにいるYOUさんとZINさんを訪ねる。前回の放送から半年ほどが経った頃、ライブツアーのために帰国し、以降日本で活動していた2人。これまでアメリカやヨーロッパなど30か国以上を回ってきたが、「やっぱり日本だな」との思いに至ったのだという。2年前には凱旋ライブを大阪で開催し、ステージの最後に礼さんが出演。観客の前に予告なしで登場したダンス界のレジェンドに会場は騒然となった。現在68歳になった師匠と、今も立ち止まらず挑戦を続ける弟子たち。ぐっさんのリクエストにこたえて、3人が生でダンスを披露する。