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#5574月26日(日) 10:25~放送
フィジー共和国

 南太平洋に浮かぶ島国・フィジー共和国で国立高校の理事長を務め、語学学校を運営するなど幅広く活躍する谷口浩さん(47)。前回に続いて、浩さんへ福井で暮らす母・三千代さん(71)、妹・かおりさん(43)の想いを届ける旅をおくる。
 18年前、初めてフィジーを訪れたときに親切でフレンドリーなこの国の国民性に惚れ、やがて定住するようになった浩さん。2004年には日本人向けの語学学校を開校。これまでおよそ3万人の卒業生を送り出し、ついにはフィジーで株式上場を果たした。またその手腕を買われ、政府から荒廃していた国立高校の再建を託されると、劇的に環境が改善。日本人留学生を受け入れるという浩さんのアイデアで生徒数が激増し、一躍人気校になった。その後も、新たにフィジー人向けの日本語学校をスタート。学生たちの授業料は、スポンサーと掛け合い免除されているという。大学を卒業しても2万人以上が仕事に就けないというフィジー。英語が話せていつもニコニコしているフィジーの人は観光産業に向いていると感じる浩さんは、こうして人材を育てて日本の人手不足にも一役買えたらうれしいと語る。さらに、新しい事業としてフィジー初の自動車教習所を開校予定。フィジーには教習所がなく、個人の指導者が街中を運転しながら技術を教えるのが一般的だが、あえてこの地で教習所を開くことで、日本人留学生に英会話と運転免許を同時に取得してもらおうとの狙いだ。
 今やフィジーで最も有名な日本人と呼ばれるまでになった浩さんだが、かつて実家の後継者問題が原因で父親と大ゲンカし、その時に家を飛び出して以来、家族とは絶縁状態に。21年経った今も実家には戻っていない。以前、浩さんが東京にも事務所を開設したとき、噂を聞いた両親が一目会いたいと福井から訪ねて来たことがあった。しかし、関係を断つのは決めたことだからと面会を拒否。いつか息子に会いたいと願っていた父親は、思いが叶うことなく2年前にこの世を去った。フィジーで成功した息子の姿を見た母の三千代さんは、「『お父さんに負けたくない』『勝ちたい』、その気持ちがあったから今があるんじゃないか」と話し、父・剛さんの様子については「やっぱり一番心配していた。あまり口には出さなかったが、時々ポツンと『どうしとるかな』と言っていた」と振り返る。
 強い信念を持ち、次々と事業を展開する浩さん。実は5年前に血液のがんと呼ばれる悪性リンパ腫と宣告された。しかも末期のステージ4。現在は新しい治療法のおかげもあり、医師からは大丈夫だと言われるまでになったが、無理はできないという。それでも、2014年には国籍を取得し「本当の意味でも祖国」だという大好きなフィジー発展のため今も精力的に活動を続ける浩さんへ、日本の母からの届け物、そして手紙を手渡す。果たして21年ずっと家族との再会を拒んできた息子は、長年の母の想いを受け入れるのか。