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#5299月22日(日) 10:25~放送
カンボジア

 今回の配達先は、カンボジア。水泳のカンボジア代表チームのヘッドコーチとして奮闘する沖田咲さん(27)へ、埼玉に住む父・亮さん(54)、母・起久子さん(55)の思いを届ける。
 “東南アジアのオリンピック”と称される大きな国際大会の開催を4年後に控え、現在スポーツ環境の整備に力を入れるカンボジア。経済成長著しいプノンペンではスタジアムの建設が進められ、その敷地内には咲さんが指揮をとる国際水泳競技場が建つ。間もなくこの競技場では東南アジア10カ国が参加する18歳以下の国際水泳大会が開幕。初めての自国開催ということもあり、ユースの指導も兼任する咲さんの指導にも力が入る。3年前、水泳後進国であるカンボジアにやってきた当初はプールの水の色は緑、道具も何もないという劣悪な環境だった。内戦で水泳の歴史が途絶えたこともあって、この15年メダルの獲得はなし。他国との歴然たる実力の差を目の当たりにしながらも、選手たちに水泳を基礎から指導、自己ベストを次々と更新させてきた咲さん。とはいえ、いまだ東南アジアでも最下位争いをするレベル…咲さんを雇う国の教育省からは、今年中にメダルが獲れなければ来年の契約を打ち切ると通告されていた。
 咲さんが水泳を始めたのは、コーチをしていた母の影響だった。大学は平泳ぎの名門・東海大学に進学し、4年生の時には国内最高の大会「ジャパンオープン」で入賞。卒業後も水泳の仕事に携わりたいと指導者の道を志す。2016年、青年海外協力隊の水泳隊員として初めてカンボジアへ。熱い気持ちで選手たちと向き合い指導していた。そんな頃、国の副大臣からある言葉を浴びせられる。選手たちの頑張りを否定され、「目に見える結果が出ないと認めてもらえない」と痛感した咲さん。スター選手を生み出し国にメダルをもたらしたいとの想いを、協力隊の任期を終え日本に帰った後も捨て切れず、カンボジア水泳連盟に懇願して去年コーチに復帰した。実は咲さん、学生時代から付き合っていた水泳部の先輩と日本を発つ前に結婚。だが理解ある夫からの「俺は待っているから頑張っておいで」との言葉に背中を押され、新婚生活わずか2週間でカンボジアに渡ったのだった。
 チームを牽引する咲さんの様子を見た父の亮さんは、「自信がみなぎってるなと思った」と娘の成長を感じた様子。コーチとしてのアドバイスもおくる母の起久子さんも「日本にいた時よりも強くなった」と感心する一方で、「意欲と、国からのプレッシャーと、契約の問題。すごく悩んでいると思うので、本人がいっぱいいっぱいにならなければいいけど…」と心配する。
 大きなプレッシャーの中、一国の期待を背負い試合に挑む娘へ両親の想いが届く。そしていよいよ迎えたメダルを狙う大会の当日。咲さんは選手たちが出場するレースを観客席から見守る。果たして結果は…。