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#5186月23日(日)10:25~放送
オランダ

 今回の届け先は、オランダ。日本人初のプロホッケー選手として奮闘する及川栞さん(30)へ、岩手に住む父・宰さん(60)と母・美代子さん(62)の思いを届ける。
 ホッケーとは、1チーム11人で対戦し、スティックで打ったボールをフィールド上の相手ゴールに入れて得点を競う競技。オリンピックの正式種目であり、女子日本代表もこれまで4大会連続で出場、2020年東京オリンピックへの出場も確定している。オランダは世界ランキング1位のホッケー大国で、街でもスティックを持った子供や若者を目にするほど。栞さんは、そんなオランダ一部リーグで毎年優勝争いに食い込む強豪チーム「オランイェ・ロート」に所属。オランダ代表選手も在籍する中、ディフェンダーとして守備の要を担い、監督からも「1対1の時は闘争心むき出しでパスカットも上手い。パスの正確さも際立っている」と高い評価を受けている。
 栞さんの両親はともに中学校の教師。父は器械体操の指導者、母はホッケーの指導者という環境で、幼い頃からスポーツ漬けの毎日だったという。選手時代に日本代表として活躍した母の影響もあって、ホッケーに打ち込んだ栞さんは日本代表に上り詰めるまでに。しかし3年前、リオオリンピックの最終選考で代表メンバーから外れ、夢だったオリンピックのピッチに立つことができなかった。最終目標としてオリンピックにすべてを懸けていた栞さんは、すぐには4年後を目指す気になれないままオランダへと渡る。悔しさを押し殺して、これからは楽しんでホッケーに向き合おうとオランダリーグに参戦した栞さんを待ち受けていたのは、世界ランキング1位の厳しさの中でプレーする選手たちだった。「何でこの選手がオランダ代表じゃないのか、というレベルの人が代表にも入れない。そんな中、軽い気持ちでただリーグを楽しんでいるっていうのはすごく申し訳ないし、甘ったれたことを言っていてはダメだ」。彼女らの姿に再び奮起した栞さんは、東京オリンピックでの金メダル獲得を目標に据え戦うように。日々練習と研究を重ね、昨年は日本代表に復帰してアジア大会に出場。見事優勝を果たし、アジア最優秀選手にも選ばれた。
 そんな栞さんの心の支えになっているのが、母・美代子さんの「自分のやりたい事はとことんやれ」という言葉。今オランダでプロとしてプレーできているのも、その言葉のおかげだという。美代子さんは、「あの時やっていれば、という後悔だけはしてほしくなかったから」と真意を明かし、「オランダでは伸び伸びとやっているように感じる。指導者としては扱いにくい選手だったけど、外国に行ってガムシャラさが受け入れられたのかな」と成長を喜ぶ。
 現在、所属チームは12チーム中4位で、次の試合に勝てばプレーオフ進出が決定する。悲願のリーグ優勝、さらにその先の東京オリンピックへ繋げる意味でも重要な一戦となるが、果たして…。リオオリンピックの挫折から夢の舞台へ、勝負の時を目前に控える娘に届いた両親の想いとは。