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#5166月9日(日)10:25~放送
アメリカ・ロサンゼルス

 今回の届け先は、アメリカのロサンゼルス。飴細工師として活躍する一柳忍さん(67)へ、北海道で暮らす母・みや子さん(93)と、弟・益美さん(64)の思いを届ける。
 エンターテインメントの聖地・ハリウッドと多くのセレブが住む高級住宅街・ビバリーヒルズがあることで有名なロサンゼルスに暮らす忍さんは、この道48年になるパーティー専門の飴細工師。これまでも現大統領のドナルド・トランプ氏など世界的に有名なセレブ達のパーティーに呼ばれ、パフォーマンスを披露してきた。わざわざニューヨークから声が掛かり赴いたパーティーでも、会場の片隅に立つ忍さんの周りには人だかりが。入念に準備してきた飴にハサミ1本で命を吹き込み、みるみるうちにドラゴンやユニコーンが出来上がる様子は、子どものみならず大人たちも釘付けにしている。忍さんもそんな客の表情を見て、「喜んでもらえるとうれしくて有頂天になる。100歳までやるであろう楽しい商売ですよ」と話す。
 忍さんが飴細工師になった経緯には、今は亡き父親の存在が。戦後の混乱の中、6人の家族を養うために青果を販売する露店を営んでいた父・修さんは口上が上手く、いつも客を魅了していた。そんな父の背中を見て育った忍さんは、18歳で故郷の北海道を出て憧れの地・アメリカへ。そこでたまたま目にしたのが飴細工師だった。父同様に人を惹きつけて離さないその姿を見た瞬間、子どもの頃の感動がよみがえった忍さんは飴細工師に弟子入り。フリーマーケットで1つ50セントにも満たない飴細工を売る日々で生活はギリギリだったが、人々を笑顔にしたいという思いで作り続けていた。やがてその姿がパーティープランナーの目に留まり、スカウトされた忍さんはパーティー専門の飴細工師に。20年来の付き合いがある代理人も、「いつもお客さんの期待を上回る感動を与えてくれる」と厚い信頼を寄せる。
 がむしゃらに走り続け、今や全米中からオファーが絶えない唯一無二の存在になった忍さん。一方で、父が亡くなった時も帰国できず、「一生懸命仕事をすることが、仕事人だった父親への黙とう」との思いで飴細工を作り続け、気がつけば渡米して50年近くが経つ。今なお立ち止まるつもりはないが、93歳になる母親に親孝行できていないのが心残りだという。母のみや子さんは、「アメリカに行ってやりたい気持ちはある」と話すが、年齢やケガもありなかなか叶わない。弟の益美さんはそんな母の気持ちを「長い間離れていたから、今までの年月の穴埋めをしたいのでは」と代弁する。
 日本を飛び出しエンターテインメントの本場で約半世紀、第一線で奮闘する忍さんへ母からの届け物が。変わらず遠くから息子を応援する母の想いと在りし日の父の姿が、忍さんの胸に響く。