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#5135月19日(日)10:25~放送
ドイツ・デュッセルドルフ

 今回の配達先はドイツ。サッカー選手として奮闘する高橋楓姫さん(20)へ、大阪に住む父・元明さん(58)、母・美鈴さん(57)の思いを届ける。
 ドイツ西部のデュッセルドルフは日本企業も多く進出する経済都市。楓姫さんは、その隣町のデュイスブルクで100年以上の歴史を持つサッカークラブ「MSVデュイスブルク」の女子チームに所属している。チームはサッカー大国ドイツの最高峰プロリーグ・ブンデスリーガ一部に属するも12チーム中9位と奮わず、上位進出を目指して日々練習に励む。身長170センチを超える選手も多い中、楓姫さんは158センチと小柄だが、豊富な運動量を武器にしぶとくボールに絡んでいく粘り強さが持ち味だ。しかし、今シーズンから就任した新監督の考える戦術から外れてしまったため、現在はレギュラー落ち。開幕当初こそ2試合に出場したが、ここ数カ月は試合に出ることも叶っていない。
 3人きょうだいの末っ子として生まれた楓姫さん。2人の兄の影響で、3歳のころからサッカーを始めた。男子に交じってプレーを続け、小学校卒業とともに倍率18倍という難関を突破してJFAアカデミーに入学。女子U-14日本代表にも選ばれ、将来を期待されるジュニア選手になった。転機が訪れたのは高校生の時。ドイツのチームに短期留学し、トップチームとの練習試合に参加したことで刺激を受け、高校卒業後すぐにドイツへ渡ったのだった。楓姫さんが暮らしていた静岡まで応援に駆け付けていたという母の美鈴さんは、ドイツ行きを聞いて「また離れるのか…」と寂しい思いもあったというが、父の元明さんは「夢を叶えるために挑戦したいと言ってきたので、親としてできることはしてあげようと思った」と心境を明かす。
 チームに入って3年目の今シーズンから、楓姫さんはプロ契約を結ぶ選手になった。しかし、プロの世界は厳しく試合に出場できない日々が続いている。ドイツ代表選手でもあるチームのキャプテンは「楓姫は技術的にも優れているし、1対1では負けない。ただ、言葉の問題が戦術的なマイナスになっていると思う」と、技術はともかくコミュニケーションに課題があるのではと指摘する。実際、楓姫さんも感情を表に出すことがあまりなく「パッションや強い気持ちが足りず、目立ち切れていないのかな」と話す。そんな楓姫さんが小学校の頃からつけているというサッカーノート。1ページ目には必ず「私は、世界一のプロサッカー選手です」と書き込んでいる。そして、目指す理由を書き連ねた中には「家族を喜ばせる」という一文が。ここまでサッカーだけに打ち込んできた17年間、常に家族からの多大なサポートがあった。現在もプロとはいえ、生活費のほとんどを仕送りに頼る生活。ドイツに来てから、今まで当たり前のように思っていた両親からの援助がいかに大変なことかを身をもって感じるようになり、支え続けてくれた家族のためにも日本代表なでしこジャパンに入って、東京オリンピックやワールドカップに出場する夢を叶えたいという。今は試合で活躍したくてもベンチ入りすらできないのが現実だが、自分にできることをひとつずつ積み上げ大きな夢に向かう楓姫さんに日本の家族の想いが届く。