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#49211月25日(日)10:25~放送
ロシア

 今回の配達先はロシア。広大なロシアの中心に位置するノボシビルスクは、モスクワ、ペテルブルクに次ぐ第3の都市。大戦中には文化保護のためにバレエやオペラが集められたというこの街でバレエ留学生として奮闘する堀池來未さん(12)へ、兵庫県に住む父・典久さん(45)、母・奈司さん(45)の思いを届ける。
 3歳からバレエを習い始めた來未さん。小学校2年生の時にロシアのバレエ関係者の目に留まり、1年後わずか9歳で単身ロシアへ渡った。最初に向かったのは、北半球で最も寒い国とも言われるロシア連邦サハ共和国の首都ヤクーツク。気温はマイナス50度にもなり、まつげも真っ白になってしまうほどの極寒の地にあるバレエ学校で学ぶ日本人は、來未さん一人きりだった。母の奈司さんは、「知っている人もいない、どんな人がいるかもわからない場所だったので…」と、さすがに心配したという。当時、現地まで同行し見送った父の典久さんも「帰るときは僕が泣いてしまい、連れて帰ろうかと思った」と言うほどだったが、來未さんは夢を叶えるため、自ら留学を希望し親元を離れたのだった。
 ヤクーツクで3年間、孤独と厳しいレッスンに耐えた來未さんは、1か月前にオーディションに合格しロシア国立ノボシビルスクバレエ学校へ転入する。バレエ大国ロシアを支える4大バレエ学校の一つである同校は、多くのダンサーを有名バレエ団に送り出す名門。9歳から18歳までの間、優秀なバレリーナを養成するため徹底的に鍛え上げられるのだ。小さい頃からこの学校のカリキュラムで鍛錬を積んできたクラスメイトたちの実力は、圧倒的だった。ある日の授業の終わりに、來未さんは先生から呼び止められ体重をコントロールするよう注意される。学校では生徒に体重の契約も課され、自己管理ができない者は学校を去らなければならないという。さらに、年2回ある試験に合格して最終的にこの学校を無事卒業できるのは60%程度。そんな厳しい環境でも音を上げないのは、自身が求める美しく楽しいバレエがロシアにあるから。來未さんは、「まずはクラスのトップになって、最上級生になったら学校のトップに。その後はバレエ団に入って、ボリショイバレエ団でプリンシパル(主役)になる」と、夢に向かってレッスンに励む。
 ある日、來未さんが先生に連れられクラスメイトと訪れたのは、国立オペラ・バレエ劇場。学校の卒業生が数多く在籍するロシア有数のバレエ団の観劇にやってきた。來未さんは美しく舞うプリンシパルの姿に釘付けになる。終演後、來未さんはプリンシパルに「踊っているときはどんなことを考えていますか?」と尋ねる。その答えは、自身が思い描いていたバレエそのものの姿を物語っていた。
 夢を叶えるため、わずか9歳で海を渡った來未さん。たったひとり闘い続けたくましく成長していく娘の元へ、日本から応援する両親の思いが届く。