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#48510月7日(日)10:25~放送
メキシコ・オアハカ

 今回の配達先はメキシコ。その南東部にある世界遺産・オアハカは、カラフルな街並みが国内外の観光客に人気の街として知られている。この地でたこ焼き店を経営する竹下幸子さん(33)へ、千葉県に住む父の実さん(63)と母の清子さん(67)の思いを届ける。
 幸子さんは30歳を前に脱サラし、1年前、オアハカに街で初めてのたこ焼き店「たこ焼きサチータ」を開業した。かつて語学留学で訪れた時に、色とりどりの街の雰囲気と、好き嫌いがはっきりしているメキシコ人の人間らしさに惹かれた幸子さん。自分がより自然に振る舞えるオアハカにいつか住みたいとの思いを持っていた。たこ焼き店を始めたのは、メキシコ人にはソースやマヨネーズが受けるのではないかと感じたからだというが、たこ焼きを知らない地元の人も多く、最初の半年間は赤字続き。その窮地を救ってくれたのは、意外なことにメキシコの日本漫画ファンだった。アニメ「ONE PIECE」で登場人物がたこ焼きを食べるシーンがあったことから興味を持った若者が訪れるようになり、そこから徐々に幅広い世代へ浸透。今では客のほとんどがメキシコ人だ。
 幸子さんとともに店を切り盛りしているのは、16歳年上の夫・和之さん(48)。幸子さんと和之さんの出会いは10年前。幸子さんが就職した会社の上司が和之さんだった。交際1年半でゴールインした後も同じ職場で働き続けていたが、元々大学生の頃から「30歳になったら経営者になる」と決めていた幸子さんは退職。たこ焼き店をオープンするため、メキシコへ渡った。そして和之さんも、彼女の夢を支えるため会社を辞める決断をしたのだった。今では2人の間に4カ月になる子どももいて、泣けば厨房で抱きかかえ、時にお客さんに面倒をみてもらいながら、経営に育児に日々奮闘している。
 小さい頃から、働く母の姿を間近で見ていた幸子さん。特別支援学校の教師だった母の清子さんは、幸子さんをよく職場に連れて行っていたそうで、「ベッドの子どもたちと娘を一緒に遊ばせたりとか、そういう繋がりを結構してきた」と振り返る。明るく前向きに仕事に取り組む母の生き生きとした姿は幸子さんの心に刻まれ、その記憶が今でも大きな夢へ向かう気持ちを後押ししてくれるという。
 店が繁盛し手狭になってきた今、幸子さんらは次の展開を見据えて、新しい物件を探し始めた。店舗を大きくしたらメキシコで現地の従業員を育て、日本にも連れて行く…日本とメキシコの懸け橋となるような人材育成をしたいという、大きな目標もあるのだ。「“生きるために働く”というよりも、幸せになるために生きたうえで、“仕事をしているからより幸せ”だという気持ちを共有していきたい」とまっすぐ前を見る幸子さん。大好きな街で、支え続けてくれる夫とともに夢へと突き進む娘へ、両親から届け物―――そこには、幸子さんと和之さんを応援する思いがぎっしり詰め込まれていた。