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#4757月8日(日)10:25~放送
アメリカ・シアトル

 今回の配達先は、アメリカ。カナダとの国境に位置し、世界的企業が多数拠点を構える大都市・シアトルでそば職人として奮闘する相馬睦子さん(35)に、栃木県に住む母・良江さん(60)の思いを届ける。
 街の中心部から少し離れた住宅街に、昨年10月にオープンした睦子さんの店「カモネギ」は、 西海岸で唯一の手打ちそば専門店。純日本式の本格手打ちにこだわり、一番人気の「カモネギせいろ」をはじめとした和風そばのほか、そばになじみがないアメリカ人向けに味付けやトッピングを工夫したアイデアあふれるメニューを提供している。伝統を守りながらも、「新しい味を発見したい」とチャレンジを続ける睦子さんのそばを求めて、今やシアトルの人々はもちろん、全米各地から客が詰めかけるようになった。
 料理好きだった睦子さんは、18歳のときにシアトルの料理学校に留学。23歳で結婚してからは地元のフレンチレストランに就職し料理長を務めるまでになるが、リーマンショックの影響で店を辞めることに。そんな時に、昔おばあちゃんが作っていたそばを習おうと思い立ち、東京の学校に通ってそば打ちを習得。2013年、シアトルで友人と手打ちそば店を開店し一躍大人気となった。その店は出産を機に休業したが、再開を決意すると、かつての常連客たちが一丸となって応援。新店舗の開業資金がなかった睦子さんの元に、クラウドファンディングによりわずか2カ月で360万円もの援助が集まったのだった。そんな熱烈なファンを裏切らないためにも、わずかな手抜きも許さず、いつも本物のそばを提供することを心掛ける睦子さん。毎日帰宅は深夜となり、親子3人での食事は週2回の定休日のみ。もう少し家族との時間を持てたら、と願いながらもファーマーズマーケットへ出向き、新しい食材を求めるなど研究に余念がない。現状に満足せず、もっと大勢の人にそばを知ってもらいたい、そして自分がいる意味を持った店でありたいと、週に1回新作メニューを発表し、睦子さんらしい味を追求する。
 こうして現在、家族やスタッフ、ファンに囲まれ充実した日々をおくる睦子さんだが、ずっと素直に言えないことがあった。渡米し、結婚を控えた23歳の時に最愛の父が死去。しかし母の良江さんは、ある思いから睦子さんに「戻らなくていい」と告げ、睦子さんは最期を看取ることができなかった。結局その後数年間日本に帰らなかった睦子さんは、「悲しみを共有してあげられなくて、悪いことをしたと思う」との引け目を母との間に感じていたのだった。一方良江さんも、当時の睦子さんの気持ちを聞くことができないまま、今まで時間が過ぎたという。睦子さんがアメリカに渡って17年、母一人娘一人ながら長く離れ離れの生活が続いた今、睦子さんの元へ懐かしいあの頃の思い出と母の本心が届けられる。