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#4092月5日(日)10:25~放送
アメリカ・アトランタ

 今回の配達先はアメリカ。黒人が多く暮らす・街アトランタで、黒人向けのカツラ専門店を営む玉置一弘さん(40)と、奈良県に住む父・憲治さん(69)、母・秀子さん(69)をつなぐ。27歳の時、語学留学でアメリカへ渡った一弘さん。両親は戻ってくるものと思っていたが、一弘さんは現地で知り合った女性と結婚。永住を決めた。父は「もう日本には帰らないと宣言された時は寂しかった」と複雑な胸の内を明かす。
 黒人向けのカツラ専門店はアメリカではごく一般的。乾燥して扱いづらい髪質の黒人女性にとって、カツラは付けていて当たり前のもので、ファッションアイテムであると同時に、手放せない生活必需品なのだ。
 実はアメリカのカツラ店専門のほとんどが韓国人による家族経営。一弘さんの店では店員を黒人女性にすることで差別化を図り、客が気軽に相談しやすいことで人気を伸ばしてきた。一弘さんは在庫管理や発注、商品の荷解きや陳列など、1日中裏方仕事に追われている。
 14年前、将来の目標を持てないまま、“アメリカに行ったら何かあるのでは?”と期待を胸に海を渡った一弘さん。入学した語学学校で韓国人女性・ヤンさん(38)と出会ったことが人生の大きな転機となった。ヤンさんと結婚した一弘さんは、彼女の両親が始めたカツラ専門店を手伝うようになったのだ。
 義両親の店を支えて10年。その後独立して3年になるが、アメリカでの商売は苦労の連続だったという。脅しや盗難などのトラブルは日常茶飯事。店を始めたころは週に2,3回、多い時で5回も警察を呼んだことも。逆恨みされ、嫌がらせで店のガラスを割られたり、拳銃を突きつけられたこともあったという。毎日ストレスにさらされ続けた一弘さんだったが、乗り越えられたのは2人の子供たちの笑顔があったからだという。
 今では店の経営も軌道に乗って来たが、「自営業なので売り上げが無いと家族を養っていけない。店を大きくして、できるだけは早く僕がいなくても家族が安心して生活していけるようにしてあげたい」と一弘さん。さらには、もっと売り上げをあげて、将来は多店舗展開をしたいと夢を語る。その姿に両親は「わが子ながらたくましくなった」と目を細める。
 そんな両親から届けられたのは、一弘さんが少年野球で使っていた懐かしいヘルメット。父が大切に保管していたものだという。添えられていた手紙には「一弘と一緒にグラウンドで汗を流したことは忘れていません。つらい練習に耐えた日々を思い浮かべて仕事に励んでください」と綴られていた。サラリーマンとして朝早くから夜遅くまで働きづめだった父。それでも休日になると、必ず一緒にキャッチボールをしてくれたことが、今も一弘さんの胸に残っているという。「僕も子供たちにそういう思い出を作ってあげなきゃ。今しか過ごせない時間がある。仕事は忙しいけど、頑張らないと」と言い、父と過ごした時間を懐かしく思い出すのだった。