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#31512月28日(日)10:25~放送
カナダ・リッチモンド

 今回の配達先はカナダ・リッチモンド。大都市バンクーバーに隣接するこの街で生チョコレート専門店を営む浜本香代子さん(38)と、兵庫県に住む父・俊次さん(67)、母・節美さん(63)をつなぐ。日本では大手菓子メーカーに勤めていた香代子さん。30歳を過ぎて突然会社をやめ、カナダで起業することを決意した。両親は「生活も安定していたのに、カナダに行ってわざわざ苦労しなくても…と100%反対だった。近くにいてほしかった」と語る。
香代子さんと夫・千綿孝智さん(39)が営むのは「ココナマチョコレート」。カナダでは生チョコレートは日本ほどメジャーでないため、その新鮮な味・口どけに驚く人は多いという。さまざま人種が集まるこの土地で、日本酒やワサビなど、香代子さん夫婦が作る30種類以上のバラエティーに富んだフレーバーの生チョコは、それぞれに人気が高いという。
厳選したベルギー産の製菓用チョコレートを使い、その油分に水分を混ぜて乳化させることで作られる生チョコレート。目指すのは「驚きと喜びを与えられるチョコレート」。赤い色素が特徴的な野菜ビーツを使った赤い生チョコなどカラフルなものや、日本酒の酒蔵とコラボレーションした日本酒生チョコなど、さまざまなオリジナルの生チョコを生み出してきた。商品開発を担当するのは孝智さん。新たな生チョコを持参して売り込みに歩き、飛び込みで試食をお願いしては置いてくれる店を少しずつ増やしてきた。香代子さんはバンクーバーにあるチョコレートショップの調査を担当し、どこにチャンスがあるかを探っている。そうして現在「ココナマチョコレート」を置いている店はバンクーバー市内に5店になった。店舗販売だけでなく、1年間で300ヵ所以上のイベントにも出かけて販売を行っている。
日本では大手菓子メーカーに務めていた香代子さんと孝智さん。カカオ豆の発酵の研究をしていた香代子さんは、生産地である海外の農園を訪れた時、貧しい農家の人たちが床に落ちた一粒まで大切に扱っている姿を見て衝撃を受けたという。「彼らにとっては1粒が貴重なお金になる。でも会社の研究室では床に落ちたら捨ててしまっていた。自分は何をやっていたんだろうと」。その出来事がきっかけで会社を辞め、この道へ。生産者から消費者まで、チョコレートに関わる全ての人々を幸せにしたいと考え、その思いだけで夫婦で起業することを決意したのだ。
今では店でカカオ豆から実際にチョコレートを作る工程を体験するイベントも開催。「農家の人がどういう思いでカカオ豆を作っているかというのを知ってほしい。いずれは自分たちも農家とコネクションを持ち、カカオ豆からオリジナルチョコを作り、売り上げのいくらかを農家の人に返していくサイクルを作りたい」。香代子さんの夢は膨らむ。
両親の大反対を押し切ってのカナダでの挑戦。「寂しい思いをさせていると思うし、ずっと両親のそばにいる生き方もあったかもしれない。でも“自分はこういう風に生きたい"と、両親からもらった人生を大事に生きていることをわかってもらえれば」。そんな香代子さんに両親から届けられたのは、母手作りの雑煮と地元明石の尾頭付き鯛。4年間、店が忙しく里帰りができていない香代子さんに、少しでも日本を思い出してほしいという思いが込められていた。香代子さんは「ここで食べられるなんて…実家に帰ったみたいです」と大感激。「ここに両親がいてくれたら最高なんですが…」といって、懐かしい母の味を噛みしめるのだった。