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#3039月28日(日)10:25~放送
オーストラリア/メルボルン

 今回の配達先はオーストラリア・メルボルン。腹話術落語家として活躍する笑福亭笑子こと小野綾子さん(45)と、兵庫県に住む母・啓子さん(70)、そして師匠の笑福亭鶴笑さんをつなぐ。自分の思うままに破天荒な人生を送ってきた綾子さん。母は「もうちょっと落ち着いてほしいが…でも家族が円満なら」、鶴笑さんも「オーストラリアに行ったっきりで…どうしているのか」と、心配している。
 
 欧米では高く評価されている腹話術。そんな腹話術と落語を融合させた独創的な芸を披露している綾子さん。使用する人形や小道具はすべて彼女の手作りだ。現在は夫・ジェイソンさん(42)、長男・敬太くん(8)と3人暮らしだが、仕事が入ればスーツケース一つでオーストラリア中どこへでも一人で出かけて行くという。
 
 綾子さんは主に子供向けのイベントなどで腹話術落語を披露している。相棒は人形の“ニンジャ・ケン"。ほかにも、かっぱ巻きオバケなど、さまざまなキャラクターが登場する彼女の腹話術落語は、シンプルでわかりやすく、かつ外国の人々には新鮮で、子供たちは大興奮だ。芸人になった当初は辛口な客が多いコメディクラブなどで芸を磨いたというが、オーストラリアではコメディの仕事は子供向けのオファーが多く、一番売れているのもファミリー向けの芸人という特有のコメディ事情があるのだ。
 
 元々、兵庫県の交通指導員だった綾子さん。子供たちに交通安全を楽しく教えるため、マスターしたのが腹話術だった。23歳の時、もっと広い世界を見てみたいとカナダに留学。帰国後はラジオのアシスタントとしてタレント活動を始めた。そして30歳のとき、シンガポールに日本語と英語のラジオ局が開局すると聞き、再び日本を飛び出した。
 
 そこで出会ったのが、当時、日本の落語を世界に広めようとシンガポールで活動していた鶴笑さんだった。人形を使ったパペット落語で笑わせる彼の芸に、「両若男女、国籍を問わず笑わせるなんてすごい!と。しかも私の大好きな人形を使って。こんなことを私もやりたいと思ったんです」と綾子さん。鶴笑さんの芸に惚れ込み、一大決心。仕事を捨て、当時恋人だったジェイソンさんとも別れ、イギリスに活動の拠点を移そうとしていた鶴笑さんに弟子入りするため単身渡英し、落語家として活動を始めたのだ。35歳の時だった。
 
 しかし、ほどなくビザの問題で活動ができなくなるという窮地に立たされることに。そんな綾子さんを救ってくれたのは、別れたはずのジェイソンさんだった。彼は綾子さんのためにシンガポールでのキャリアをすべて捨てて渡英。「僕と結婚すればビザの問題は解決する」とプロポーズし、2005年2人はイギリスで結婚した。翌年には子供も生まれ、一旦は落ち着いたが、3年後、落語を本格的に学ぶため日本へ。その後も大阪、東京、オーストラリアと、綾子さんの仕事に合わせて各地を転々とし、その間ずっとジェイソンさんは彼女に寄り添い、サポートを続けてきた。
 
 今は子供と過ごす時間が十分取れていないことが気がかりだという綾子さん。そんな彼女に、日本の母から2本のリコーダーが届けられる。小さい頃、綾子さんがリコーダーを上手に吹いていた姿が忘れられないという母。リコーダーで敬太くんと親子の時間を過ごしてくれたら…との思いが込められていた。綾子さんは「まさに、敬太との時間をどう過ごすのかが課題だったんです」と大感激。さっそく敬太くんと一緒にリコーダーを吹き、親子の時間を過ごすのだった。