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#2896月8日(日)10:25~放送
アメリカ/ハワイ

 今回の配達先はアメリカ・ハワイ島。イルカに魅せられ、ドルフィンスイムガイドとして奮闘するジョーデン・大輔さん(27)と、徳島に住む祖母の富士子さん(70)をつなぐ。アメリカ人の父と日本人の母を持つ大輔さん。幼いころは両親が共働きで、おばあちゃん子だったという。2年前、日本でやっていた医療事務の仕事を辞め、ハワイに渡って長年の夢だったドルフィンスイムガイドの仕事を始めた。祖母は「私の気持ちよりあの子の人生の方が大事。思ったとおりの道を行けばいいよと送り出した」と当時を振り返る。

 大輔さんは現在、日本人が経営するハワイ島の小さなツアー会社で働いている。お客さんを野生のイルカと一緒に泳がせるために案内をするのが仕事だ。早朝、その日のツアー客に合わせたウエットスーツを用意してホテルまで迎えに行き、港から小型ボートで1時間ほどのポイントまで、イルカを求めて疾走。イルカを見つけると、大輔さんはお客さんを引っ張って泳ぎ、イルカのすぐ近くまで連れて行く。イルカと一緒に泳ぐことを夢見てやって来るお客さんたちは大興奮だ。そんな一生に一度の貴重な経験を楽しい時間にしてあげたいとの思いで、大輔さんは日々ガイドを続けているという。

 ドルフィンスイムツアーが終わると、またお客さんをホテルに送り届け、船や道具の後片付け。夏は朝にイルカツアー、夜はマンタツアーと、ほとんど毎日2つのツアーをこなすという。大忙しの毎日だが「僕が一番癒されているので、まったく苦じゃない」と大輔さんは笑う。

 実は大輔さんはハワイ生まれで、5歳の時、父の仕事の関係で家族と日本に移り住んだ。当時は日本語もわからず、イジメにあって家にこもる日々だったという。そんな時、毎日眺めていたのがイルカの図鑑。海で自由に生きるイルカが大輔さんの心を癒してくれたという。そしてもう1つ、大輔さんを支えてくれた存在が祖母だった。共働きで忙しい両親に代わって面倒を見てくれた祖母。「学校で何かあると、親より先に学校に飛んで行って“どうなってるんだ!?”と言って僕を守ってくれた。過去を引きずっていた時期があったのを打開してくれたのもおばあちゃんだった。“上を向いて生きなさい”って」と、大輔さんは振り返る。

一方、祖母は大輔さんがハワイに旅立ってから、ふと考えることがあるという。彼にとって日本での生活はつらく、窮屈な時間だったのではないか?日本が嫌いになってハワイに帰ったのではないか?「ハワイで生まれた子やから、あっちの子になるんかな…と。半分あきらめている」と祖母。しかし大輔さんは「ハワイに帰ったのではなく、日本でおばあちゃんのおかげで目標を見つけられ、夢を持ってハワイに渡った」といい、「それがちゃんと伝わってくれれば…」と願う。

 そんな大輔さんに祖母から届けられたのはおにぎり。少年時代、いつも大輔さんに力をくれた“おふくろの味”だ。懐かしい味をほおばった大輔さんは「おいしい!」と涙を浮かべ、「元気をもらいました。体に気を付けて、お互いに頑張りましょう」と、祖母に感謝の気持ちを伝えるのだった。