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#26311月10日(日)10:25~放送
タイ/バンコク

今回のお届け先はタイの首都バンコク。2年半前に不動産会社を立ち上げ、社長兼営業マンとして奮闘する桜井要さん(36)と、愛知県に住む父・学さん(65)、母・千代子さん(63)をつなぐ。タイ人の妻・アンポーンさん(31)と二人三脚で会社を切り盛りしてきた要さん。幼い子供を抱えて将来に不安を覚え、帰国を考えたこともあったというが、両親は帰国に大反対。息子の思いを理解しつつも、あえて反対した両親の本当の思いとは…。

 バンコクでも外国人居住率が高いスクンビットという地域にオフィスを構える要さん。スタッフは日本人2人にタイ人が10人。お客さんの9割が、駐在員としてタイに転勤してきた日本人だ。ここ4,5年で中流階級の賃金が2倍になった好景気に沸くバンコクには、日本企業が続々と進出し、日本人居住率も増え続けているという。

 タイの賃貸物件はほぼすべてが家具付きで、家電や食器など、生活に必要なものはほとんど常備されている。自ら外回り勤務もこなす要さん、一番大切なのはお客さんへの物件案内。以前に物件を仲介したことがあるリピーターの駐在員は「些細なことでも注文するとちゃんと応えてくれる。何かあっても次の日には対応してくれる。今では会社の駐在員全員が物件を紹介してもらっている」と、大きな信頼を寄せる。こうしてお客との信頼関係を大切にしながら、要さんは少しずつ会社を大きくしてきたのだ。妻のアンポーンさんもマネジャーとして、現地オーナーとの調整など難しい折衝を担い、要さんをしっかりと支えている。

 要さんは25歳の時、海外への憧れから勤めていた会社を辞め、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。その後海外を転々とし、タイでアンポーンさんと出会った。結婚し、子供ができたものの、当時定職についていなかった要さんは、妻に支えてもらいながら現地の不動産会社に就職。5年間の修業を経て独立し、会社を立ち上げた。当初のスタッフは要さんと妻の2人だけ。わずかな蓄えでの自転車操業で、厳しい経営状態が続いたという。

 「修業時代は将来が不安で、30代のうちに日本に帰ったほうが、仕事が見つかるのではないかとも考えた」と要さん。だが両親は帰国に大反対。「妻も日本には行きたくないといい、両親もタイ人がほとんど住んでない土地で生活を始めることを心配したようだ」と要さんはいう。両親はアンポーンさんの気持ちを大切にしてあげることが、家族の幸せにつながると考えたのだ。要さんは「結果的に、あのとき帰らなくてよかった」としみじみ振り返る。

 二人三脚で苦労を重ね、ようやく仕事も生活も軌道に乗ってきた要さん夫婦だが、仕事と子育てに追われて結婚式も挙げていないという。そんな二人に日本の両親から届けられたのは指輪。両親が結婚するとき、父が母に贈った婚約指輪だ。添えられていた手紙には、指輪をアンポーンさんに渡してほしいと書かれ、「彼女のことを娘のように大切に思っています」とその思いが綴られていた。要さんは「そう思ってくれてありがたい」と感謝し、アンポーンさんは「本当の家族の一員のように愛してくれてうれしい。幸せにならなければ…」と涙するのだった。