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#2078月19日(日)10:25~放送
ウガンダ共和国

 今回の配達先は赤道直下の東アフリカ・ウガンダ共和国。首都・カンパラでウガンダ初のチョコレート会社を設立し、理想のチョコレート作りを目指して奮闘する荒垣和孝さん(31)と、兵庫・高砂市に住む父・数馬さん(65)、母・百代さん(60)をつなぐ。ウガンダでなけなしの資金をだまし取られるなど、苦労の末にようやく会社を設立した和孝さんを、両親は「生活がやっていけるのか。うまくいかないのではないか。帰ってきてほしい」と心配している。

 和孝さんが作るチョコレートは、ウガンダ産のカカオ豆を100%使用し、豆の加工からすべてを手作業で行っている。特に心血を注いでいるのが、チョコレートの味を左右する焙煎作業。焙煎へのこだわりが高じ、なんと焙煎機まで手作りしてしまったという。

 実は日本のコーヒーメーカーで6年間焙煎士として働いていた和孝さん。その技術を大好きなチョコレート作りに生かしたいと、仕事の傍ら独学でチョコレート作りを研究していたという。良質のカカオ豆を求めてアフリカを巡った際、ウガンダで出会った豆に惚れ込み、一大決心の末、会社を辞めてウガンダへ。だが現地のブローカーに資金の大半をだまし取られて計画は頓挫し、無念の帰国を余儀なくされた。それでも諦めきれず、1年間資金を貯めて再びウガンダへ渡り、ついに思い焦がれたカカオ豆を手にした。昨年9月にはウガンダ初となるチョコレート会社を設立し、今では6人の現地従業員を雇うまでになった。そんな和孝さんを支えてきたのは、父の口癖だった「継続は力なり」の教えだったという。

 和孝さんが作るチョコレートは一箱95gでおよそ800円。理想を追い求め、焙煎など豆の加工からすべて手作りするため、1日に作れるのはわずか20箱ほど。それでも口コミで評判が広がり、最近ようやく黒字になったという。農産物が豊かなウガンダだが、加工技術に乏しく、繊細な技術が必要な加工品は自国で生産できないだけに、初の“メイド・イン・ウガンダ”のチョコレートにはウガンダ政府も期待を寄せているという。チョコレートを独学で勉強し始めてまだ3年。「ウガンダに来てからの方が自分の成長は早い。クビがかかっているので追い詰められた感がいつもある。今も必死です」と和孝さんはいう。そんな姿に両親は「よく頑張っている。安心しました」とホッとしたようだ。

 最近、和孝さんはこれまで1人で培ってきた大切な技術を、有望なスタッフに教え始めている。「これから会社を少しずつでもいいから強く、大きくしたい。ウガンダだけでなく、いずれ日本でも何かできれば。一歩ずつ着実にやってきたい」と和孝さんは夢を語る。そんな和孝さんに日本の両親から届けられたのは、氷砂糖や黒砂糖、チョコレートなどの甘い物。かつて受験など、ここ一番で踏ん張らないといけないときに、和孝さんはこれらを袋ごと部屋に持ち込んで、かじりながら頑張ったという。そんな思い出の詰まったお届け物を、和孝さんは「胸が詰まりそう…」と懐かしむ。添えられた父の手紙には「“継続は力なり”。自分で選んだ道、途中で投げ出すことなく納得するまで、自分を信じて突き進んでいくことを願っています」と綴られていた。和孝さんは「僕が小さい頃から言ってくれた言葉です。まだまだ頑張れという意味で送ってくれたんでしょうね。頑張ります。負けません!」と力強く語るのだった。