◆ことばの話2400「ホワイトゴールド」

ふと、気になったことが。
「ホワイトゴールド」
という貴金属がありますが、あれって直訳すると、ホワイトは白、ゴールドは金だから、
「白金」
ではないか?と思うのですが、「白金」を英語で言うと、当然、
「プラチナ」
ですよね。だとすると「ホワイトゴールド」は日本語で何と言うのか?というのが、私の疑問です。
英和辞典を引くと、
[white gold]ホワイトゴールド(貴金属細工用)
と書いてありました。そのままやがな。『日本国語大辞典』を引くと、
「白金に似た合金。金に白金、パラジウム、銀、ニッケル、亜鉛などを加えると外観が白金に似るので、模造白金として装飾用、歯科用などにされる。」
とあります。「模造白金」かあ、あまりイメージがよくないですね、「模造」って。ニセ物みたいで。用例は1936年(昭和11年)の内田百けん(門がまえに月)のものなので、古くからそのまま「ホワイトゴールド」として使われたみたいですね。特に言い換えはしないようです。残念!
2005/12/15


◆ことばの話2399「自分でバンバンしなさい」

何かの拍子に顰蹙を買ったI部長が、ついと席を立ってどこかへ行ってしまいました。
「どこへいったんですかね?」
とMアナ。
「自分でバンバンしてるんじゃない?」
と私が言うと、Hアナが、
「ふーるー!それは通じないでしょ、いまどき。」
20代のMアナも、
「それは知りません」
そこで、
「これはな、『バンバン』って名前のカップやきそばか何かのコマーシャルで、石立鉄男が言っていた台詞なんだよ」
と一応の解説を試みましたが、やはり
ネットの「死語事典」を見たら、
「エースコックカップやきそば「バンバン」のCMで、自分で作りなさいということを石立鉄男氏が言っていた。同時期のあなた作る人、僕食べる人というコピーは中ピ連から非難を浴びた。」
とありました。おお、なかなか記憶は確かだったゾ。
こんなことで記憶が確かでも、あまり何の役にも立たないんですけどね・・・。
2005/12/15


◆ことばの話2398「大正漢方胃腸薬と年末ジャンボ宝くじ」

師走に入ると、テレビで急に目にすることが多くなるものに、
「年末ジャンボ宝くじ」
のコマーシャルがあります。所ジョージさんが出てくるおなじみの物です。また、宴会シーズンなので、「胃薬のコマーシャル」も多くなっています。その昔、田中邦衛さんが、「食べる前に飲む!」と言っていた、
「大正漢方胃腸薬」
のコマーシャルも、よく見ますよね。ある日ハタ!と気づいたのは、この二つのコマーシャル、つまり、
「年末ジャンボ宝くじと大正漢方胃腸薬のコマーシャルは似ている!」
ということです。
だからどうした?と言われそうですが・・・どうもしませんけど。
恐らく、コマーシャルソングの作曲者が同じなのか、そうでなければ、言葉のリズムが似ているということなのでしょう。
「年末・ジャンボ・宝・くじ」
「大正・漢方・胃腸・薬」
言葉の構成要素は似ています。「時期や所属会社」が「年末」「大正」、どのような特徴があるかというのが「ジャンボ」「漢方」、そして、一番大切な「一体何なのか」という部分が「宝くじ」「胃腸薬」ですが、これも細分化すると「宝(が当たる)くじ」「胃腸(に効く)薬」というふうに、ホントによく似た言葉の作りになっています。
またリズムも、
「ネンマツジャンボ(7)・タカラクジ(5)」
「タイショーカンポー(7OR8)・イチョーヤク(5)」

とほぼ同じ字数で、拍数も、
「年末ジャンボ(4)・宝くじ(3)」
「大正漢方(4)・胃腸薬(3)」

と同じです。このあたりが「似ている」と思う根拠でしょうか。
ついでにコマーシャルで言うと、体操のお兄さんが出ていて「光体操」とか言うのをやっている、OCNのコマーシャル、
「我々は、光のナンタラ・・・」
という曲は、よく聞くと、
「黄金虫は、金持ちだ」
と似ています。コマーシャルでは虫も出てるし、カブト虫だけど。ビビッときました。
それにしても、なんで、あれ、カブト虫なんだ?株と無視?
世の中には、似た曲が多いのですね。そういえば先日、フジテレビの「トリビアの泉」で、
「サザエさんの終わりの音楽に似た曲がある」
というのをやっていました。前奏の部分が、
「ダダッダッダダ、ダダッダッダダ、ダダッダッツダダ、ダ。カーン!」
というヤツ。あれも確かに似ていました。
2005/12/13
(追記)

ネットで調べると、大正漢方胃腸薬のコマーシャルソングの作曲者は、
「なぎら健壱」
と出ていたのですが、本当でしょうか?あの「悲惨な戦い」の?なぎらさん?
「カンポ節」(東芝EMI、90'12.12発売)大正漢方胃腸薬CMソング
と出ていました。
関係ないけど、このワープロソフトで、「たいしょうかんぽういちょうやく」と打って変換したら、
「大正漢方胃跳躍」
と出ました。それは、ちょっと困る。
2005/12/13


◆ことばの話2397「『あたい』か『ね』か」

先日お昼のニュースを見ていたら、フジテレビの女性アナウンサーがコマーシャル前の「株価情報」で、
「ごらんの値(あたい)になっています。」
と言ったのが気になりました。株価では普通「値」と書いて、
「ね」
と読みますね。「最高値」は、「さいこうち」ではなく
「さいたかね」
ですね。「東証トピックス」を指して言う場合はまさに
「数値」
を指しているので「あたい」でもいいと思いますが、株価なら「ね」と言うべきところではないでしょうか。単なる数値ではなく、「お金」「値段」を表しているのですから。
この話をしたところ、あるアナウンサーが、
「気象予報士の人も『気温を高い「あたい」になってます』とよく言ってるのが気になるんですけど・・・」
と話しました。これは、気象予報士が気象の専門家門家として、気温を、
「データ・数字」
としてとらえているから、「あたい」といってしまうのではないでしょうか。気温は「数字」としてとらえても、まあ、いいかな、という感じがします。
「ね」と「あたい」の使い分け、「あたい」は気をつけたい「ね」。おあとがよろしいようで・・・。
2005/12/12


◆ことばの話2396「トウかムネか?」

姉歯設計士の耐震設計書偽造で、強い地震で倒壊の恐れのある建物が毎日のように発表されています。一度は「安全」のお墨付きを得た後で、念のため調べてみると「やっぱりダメ」ということも。これでは何のための検査かわかりません。しかしそれだけ書類のチェックが難しいということでもあります。費用もかかるようです(金と命と、どっちが大事だっ!)
さて、そうやって発表される建物の数を
「棟」
という助数詞で報じていますが、これは「トウ」と読むのか、それとも「ムネ」と読むのか?
NHKは「ムネ」と読むことに決めているそうです。NHKの人から話を聞きました。テレビ朝日は「トウ」と読んでいるようです。「報道ステーション」を見ていたらそうでした。
日本テレビは、最初は「トウ」とも言いましたが、今は「ムネ」のようです。
しかし、発表された建物は、ほとんどがマンションやホテルで大体が8階・9階建て以上の高層ビル。そうすると「ムネ」よりも「トウ」でいいと思うのですが、いかがでしょうか。
ところで、こういった建物を数える助数詞には、
「棟、軒、戸、室、部屋」
というように、いろいろな数え方があります。これらの単位は、どれももともとは、
「建物の部分」
を指しています。「棟(むね)」は屋根のところにある横に長い柱ですよね。屋根の一番高いところです。「棟上(むねあげ)式」の「棟(むね)」です。「軒」は「けん」でもありますが、家の一部分としては「のき」ですから、屋根の下の部分ですよね。「軒下(のきした)」の「のき」です。そして「戸(こ)」はドア、「と」。「室(しつ)」はその家の中の一部分の区切られたところ、「室」と「部屋」は同じような感じですかね。
ここに書いた順に、だんだん指す部分が、低く・小さくなっています。ということは、建物の規模によって助数詞の使い方も、
「棟>軒>戸>室>部屋」
というように使い分けてはいかがでしょうか?
また、住む家の数え方がだんだん小さくなって来ているような気がします。これは、大家族制の崩壊・核家族化、都市化のためなのでしょうか?
そんなことを考えていると、
「助数詞から見える家族構造の変遷」
なんて論文が書けるかもしれませんね。
2005/12/5
(追記)

12月9日に行われた新聞用語懇談会放送分科会で、テレビ各社の対応を聞いてみたところ、
(NHK)=ムネ(人が住んでいたらムネ)
(日本テレビ)=ムネ(イットウ、ニトウと言うと、一等、二頭に聞こえそうだから、最初にムネにしたら、その後高層ビルがたくさん出てきて、あれあれ、という感じ。)
(テレビ東京)=ムネ(だと思う)
(フジテレビ)=ムネ(最初はバラバラだったが、最近、統一した)
(TBS)=トウ(マンションが多かったので)
(テレビ朝日)=トウ(マンションなど高層の建物だったので)
ということでした。
2005/12/12
(追記2)

2006年3月7日のお昼のニュースで、札幌のマンションでも耐震基準に満たないものが出たというニュースを伝えていました。その中で建物の数を表すのに、
(テレビ朝日) 「28棟(トウ)」
(NHK) 「79の建物」「5つの建物」「33棟(トウ)」
というふうに、テレビ朝日は「棟(トウ)」を使い、NHKは助数詞を使わない読み方を中心にしていましたが最後の一つは「トウ」を使っていました。「建物は全て『ムネ』と言う」と言っていた去年12月の段階と、状況が変わったのかもしれません。
2006/3/7
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