◆ことばの話1330「エコノミークラス症候群2」

ちょうど1年前の、去年(2002年)8月、「エコノミークラス症候群」について書きました。(「平成ことば事情782」)この症状は、必ずしも飛行機のエコノミークラスに座っている時にだけ発症するものではないので、「ロングフライト血栓症」とか「旅行者血栓症」という呼び名にすべきだ、という動きがあったということについて書いたのです。
今朝(8月7日)の朝日新聞1面に、

「エコノミー症候群『労災』」

という見出しが出ていました。記事の内容は、

「仕事中に肺梗塞で死亡した大阪市の大手タクシー会社の男性運転手(57)について、大阪労働局が『長時間座り続けたことによるエコノミークラス症候群が原因』と判断し、労災認定していたことがわかった」




というものでした。エコノミークラス症候群の労災認定が明らかになったのは、初めてのことだといいます。
去年、「エコノミークラス症候群」について書いたときに、「今後も注目していきます」と書いておきながら、その後フォローしていませんでした・・・。
去年の8月14日にGoogleで調べた時のそれぞれの呼び方の件数と、今日(8月7日)調べた件数の比較は、以下のとおりです。





(去年)
(今年)
「エコノミークラス症候群」
4120件
4480件
「ロングフライト血栓症」
92件
191件
「旅行者血栓症」
134件
407件
ということで、それぞれ増えていますが、「旅行者血栓症」の伸びがすごいですね。
3,04倍です!「ロングフライト血栓症」も2,08倍と伸びてはいますが、件数がやや少ないですね。今後も見守りますね。

2003/8/7

(追記)

2004年7月7日の読売新聞の「論点」で、三重大学教授で循環器病学が専門、肺塞栓症研究会代表世話人の中野赳(なかの・たけし)さんが、
「肺血栓塞栓症」
について書いてらっしゃいます。
どうも「エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症)」のことを医学的には、
「肺血栓塞栓症(はい・けっせん・そくせんしょう)」
と呼ぶようです。欧米では循環器三大疾患の一つに数えられているそうです。アメリカでは年間60万人が発症し、5万人が死亡していると推計されているとか。ただ、日本では頻度の少ない疾患(実際、推計では欧米の30分の1)とされて今までは重要視されてこなかったという歴史があります。
最近、サッカー日本代表の高原直泰選手がかかったことなどで世の中の注目も集まり、今年の4月からは肺血栓塞栓症の予防に対する診療報酬も認められるようになり、行政の取り組みも開始されたとのことです。
今日(7月16日)の新聞各紙(読売、朝日、毎日、産経)のスポーツコーナーに載った、高原選手がアテネ五輪の「オーバーエイジ枠」で代表への参加断念の記事では、病名についてすべて、
「肺動脈血栓塞栓(そくせん)症」
となっていました。GOOGLEでは、
「肺動脈血栓塞栓症」=2390件
「肺血栓塞栓症」=7460件
「エコノミークラス症候群」=6030件
「ロングフライト症候群」=398件
「ロングフライト血栓症」=221件
「旅行者血栓症」=551件

でした。ネット上では今は「肺血栓塞栓症」が一番よく使われているようです。

2004/7/16

(追記2)

11月29日の読売新聞朝刊37面(大阪本社版)では、
「ロングフライト血栓症」
を使っていて、「エコノミークラス症候群」は出てきませんでしたが、日経の朝刊では「エコノミークラス症候群」を使っていました。同一記事は日経しか掲載していません。日経は見出しで「エコノミー症候群」、本文で「エコノミークラス症候群」としていました。ただし、記事内で「日本旅行医学会はロングフライト血栓症とするよう提言している」との記載があった、と坂アナウンサーが教えてくれました。
読売新聞の関根記者にメールで経緯を伺ったところ、
「『ロングフライト血栓症』は日本旅行医学会が決めた名称で、もとの原稿にはそういう経緯も書いてあった。これもどこまで定着するかは分からないし、新潟の震災の時のように、フライトに関係なく症状が出る場合もあるわけなので、難しい」
とのことでした。まだ統一されたわけではなさそうです。

2005/11/30

(追記3)

久々に出張で飛行機(JAL)に乗った際に機内誌を見たら、「快適なご旅行のために」というページに「エコノミークラス症候群」に関して注意を促す記述がありました。そのタイトルは、
「機内で行なえる深部静脈血栓症の予防対策」
とあり、この症状の名前は、
「深部静脈血栓症」
で表していました。説明文を読むと、
「長時間下肢を動かさずに座っていると、脚部の奥にある静脈に血のかたまり(深部静脈血栓)ができることがまれにあります。この血栓が怖いのは、歩いている間にその一部が血流に乗って肺にとび、肺の血管を閉塞してしまう場合があることです(肺塞栓)。」
うーむ、細かく言うと、血栓ができることを指して呼ぶか、そこから派生する症状(肺塞栓)を指して呼ぶかで、病名も変わってくるのですね。それら全部を指して呼ぶ名称として、たとえば「ロングフライト症候群」とか「エコノミークラス症候群」と呼ぶかというようなことなんですね。難しいなあ。
ちなみに、Google検索(2006年5月29日)は、
「肺動脈血栓塞栓症」=      9340件
「肺血栓塞栓症」=      6万1500件
「エコノミークラス症候群」=15万2000件
「ロングフライト症候群」=     417件
「ロングフライト血栓症」=     459件
「旅行者血栓症」=        9810件
「深部静脈血栓症」=     6万6600件
でした。「エコノミークラス症候群」と「肺血栓塞栓症」がよく使われているようですね。「深部静脈血栓症」もかなり使われています。2年前の「追記」に比べると、「エコノミークラス症候群」が随分増えました。
2006/5/29
(追記4)

5月31日の日本テレビ「きょうの出来事」では、サッカーの高原選手の話題の中で、
「肺塞栓症、いわゆるエコノミクラス症候群」
という表現を使っていました。
2006/7/13



◆ことばの話1329「おめでとうございました2」

7月の新聞用語懇談会放送分科会の会議で、

「『おめでとうございました』という言い方は許されるのか?」

ということが、議題に上りました。というのは、「おめでとうございます」というお祝いの言葉に「過去形」を使うのはおかしいのではないか?という意見が、時々視聴者の方から寄せられるというのです。
私は結論から言うと、この言葉は「使っても良い。」です。実際に使うことがあるし、違和感も感じません。特に勝利者インタビューなどで、その締めくくりにはちょうどよい「Qワード」(きっかけの言葉)なのです。これは実は「平成ことば事情568おめでとうございました」にも書いたのですが、結婚披露宴の最後に立礼でお客様のお見送りをしている新郎新婦のご両親に対して、「きょうは本当におめでとうございました」というのなんかは、許されると思うのです。

そんなことを考えていたら、「平成ことば事情」の読者のYという方から、

「『おめでとうございました』という言い方は、許されるのでしょうか?」

という質問が届きました。まるでこの間の放送分科会の会議の様子を見ていたかのようなタイミングの良さです。
で、じつは私、以前に書いたことを忘れて、これについて「うーん」と考えてしまったのです。こういうヤツのことを、

「おめでたいヤツ」

と言います。こういう時は「ヤツ」を使ってもよろしい。

2003/8/7


◆ことばの話1328「ワーゲン」

ドイツのフォルクスワーゲン社が製造してきた「旧型ビートル」が、7月30日、メキシコのプエブラ工場で、通産2152万9464台目となる最後のビートルが組み立てられ、68年にわたる製造の歴史に幕を閉じたというニュースが、8月1日の産経新聞朝刊に載っていました。前日(7月31日)の各紙夕刊にも載っていましたが。
「フォルクスワーゲン」、直訳すれば「人民(大衆・国民)の車」。1930年代にヒトラー統治下のドイツで生産を開始。当時のドイツは第一次世界大戦で敗れ、しかも世界恐慌のあおりで失業者が増大、ハイパーインフレに襲われていたのですが、失業者対策、雇用拡大の為にヒトラーが手を付けたのが、国民車・ビートルの製造だったのです。(らしい。)
このビートル、私が高校生の頃・・・というと今から25年ほど前になるのですが、当時はビートルなどとは呼ばずに「ワーゲン」と呼んでいました。そのワーゲンが、所狭しと走っていて、いろんな色があったのですが、

「水色のワーゲンを見つけると幸福になる。何台数えられるか。」

というのが流行りました。但し、

「赤いワーゲンを見ると、カウントはゼロに戻る」

というルールもありました。
そんな話を「あさイチ!」の本番前にスタッフにしたところ、世代の差でしょうか、誰一人として知っている人はいませんでした。
でも視聴者の中にはご存知の方もいらっしゃるだろうと、放送本番でその話をしたところ、相方の森若アナウンサーが、

「ああ、そう言えばそういうの、ありましたね。」

と言うではないですか!彼女と私は16歳ほど年齢が違います。なんで彼女は知ってるんだろう?その後、周りでいろいろ聞きましたが、そこで出た結論は、

「ラジオの深夜放送か何かで呼びかけて、流行ったものではないか?」

ということでした。今ならインターネットで広がるであろう「うわさ」「遊び」ですが、当時は深夜ラジオがそういった役割を持ったメディアだったのかもしれませんね。
インターネットで「ワーゲン・赤・水色・数・台数」をキーワードに検索したところ、「現代伝説考」というページにこんな記述がありました。

車のボディの特長ある形態やその色もジンクスとされやすい。

『#150-2赤いVW』
《「フォルクスワーゲンのビートルを100台目撃すると幸せになれる(願いが叶う) 」「但し、赤のビートルを見たらそれまでの台数は全てチャラ」
私は、「ワーゲンを見つけて」と女の子に頼まれて、赤のゴルフを見つけて教えてあげました。途端に「赤は駄目なの。今まで見たやつが駄目になっちゃうじゃない、馬鹿」と罵られて、次の瞬間、「あ、でもあれ、カブトムシじゃないでしょ?」と問うた馬鹿女に「あれはゴルフ」と親切にも教えてやった過去があります。
「どういうのがワーゲンでワーゲンにも色々あること位知った上で縁起をかつげ、この糞ブス」とは言いませんでした。あ、思い出して腹が立ってきた。》
 これは、若い女性や子供のあいだではかなり普及したジンクスであったらしい。街角での軽い遊び心をくすぐる噂であろう。カブト虫の愛称で一世を風靡したフォルクスワーゲンは、子供の目からも見わけやすい特長あるボディであった。また外国車特有の、国産車にはない色あいも目だつところである。そんなこんなで、さまざまなラッキーカラーやアン・ラッキーカラーが登場する。
『#156-1緑のVW』
《東京の城南地区の某高校では、赤いVWで御破算になるという暗いルールのほかに、緑のを見つけると一挙に+20台という特典が付いておりました。》
『#158-1空色のVW』
《私の出身の北関東の某G県でも、VWの噂はありました。私が小学生の頃ですから、かれこれ20年くらい前になります(^_^;) いわゆるひとつの1970年代...。 その頃のVWのラッキーカラー?は、空色(水色)でした。空色のVWに乗った20人目のドライバーと目があって、お互いニッコリ笑うと、いいことがある、願い事がかなうという、たわいもないことでした。》
 最後に、車のジンクス・アラモード。
『#168-1車ジンクスさまざま』
《えっと、いろいろと人から聞いて来ました。今から10年ほど前に九州は熊本の城南地区のさらにその下半分辺りでの噂です^^;
○郵便局の赤い車を3台見たらその日は良いことがある。
○バキュームカーかコ○コーラの配送車を一日のうちに何台か(5台との説有り)見ると悪いことがおきる。
○黄色か白色のワーゲンを3台見ると良いことがある。
 あと霊柩車の話のバリエーションで
○霊柩車を見るとその日の夕飯は御馳走である。
他の例に比べると数があまいような気がしますね(^_^;)》




ふーむ、これを見ると、深夜ラジオと言うよりは、「都市伝説」的に子供たちの間で広がったものかもしれませんね。
また、同じくインターネットで、糸井重里さんが主宰している「ほぼ日刊イトイチ新聞」に載っていた投書、「お題付き短文投稿ページ」では、

● こぐま
小学校低学年の頃、ワーゲン(蛙みたいな形の)占いというのが流行っていた。白いワーゲンか水色のワーゲンを一日に7台見ると幸せになる。黒いワーゲンを見ると死ぬというもので、学校の行き帰りに嬉々として白や水色を探したものだった。黒を見てしまった日は本当に死ぬかもしれないとおびえながら暗く一日を過ごしていた。黒いワーゲンの持ち主は乗る度に死ぬのだろうか?とやっと気づいて、数えるをやめたのは中学校に上がってからだった。




という書込みがありました。こういった「都市伝説の主役になる」ということは、1970年代の後半には、フォルクスワーゲン・ビートルが、かなりの台数、日本の道路(特に都会で)で走っていたということでしょうね。そしてその台数が減るにつれて、この噂・遊びも衰退していったと。今、新しい「ビートル」が増えつつあるので、もしかしたら、また約30年ぶりに、「ワーゲンの数を数える」ことが急に流行り出すかも知れませんね。

2003/8/7


◆ことばの話1327「ざんない」

朝、会社に行くと、Wアナから質問を受けました。

「道浦さん、『ざんない』って、どこの言葉ですか?意味はなんとなくは分ってるんですけど、神戸では使わなかったし、どこの言葉かと思って。」
「うーん、『ざんない』かあ。多分、大阪弁やと思うけどなあ。」
といいながら、大阪弁の「バイブル」、
牧村史陽編『大阪ことば事典』(講談社学術文庫)を引っ張り出して引いてみると・・・ありました、ありました。

「ザンナイ(慙無い)」=見るに忍びない。無慙の意から、ひいては、見苦しい意に用いる。物を贈る場合に「えらいザンナイもんでっけど」などという。近松の脚本『傾城若紫』(元禄)中巻に「これは女のざんない、足で蹴るか、憎い奴の」。『小栗判官官車街道』(元文)第四段に「蚊のくふにざんない裸身で、何の用で誰を呼びにお出でなされた」

とありました。やっぱり関西弁なんだ。けど、標準語でも・・・というか江戸。東京でも明治時代の始めぐらいまでは使われていたのではないか、江戸の時代までは全国で通用する「共通語」だったのではないか?という思いもあり、『日本国語大辞典』で「ざんない」を引いてみたら、やっぱり載っていました。

「ざんない(慙無い)」=(「無慙」を読み下しにした語)見るにしのびない。むごい。いたわしい。また、見苦しい。
で、用例は『明徳記』(1392−93)『浄瑠璃・百合若大臣野守鏡』(1711頃)、そして『和訓栞』(1777−1862)から出ていて、そこから考えても江戸時代まではふつうに使われていた語だとの推測が成り立つでしょう。またこの辞書では「方言」としても、

(1) 見るに忍びない。見苦しい。(大阪市)(2)甚だしい。(伊勢)

というふうに載っています。今や「方言」なのでしょうね。
私がこの言葉をよく耳にしたのは、10数年前のこと。当時担当していた番組のスタッフで、ネタを持って来てくれる放送作家の女性がこの言葉を連発していました。

「そんだけやとザンナイやんか。もうちょっと、イロつけて見せてやらんと。」

というような使い方でした。彼女(私より少し年上だったと思います)はその他、

「あの子は、そんなニンとちゃうで。」
「そこで受ければ、オイシイやんか。」


というふうな関西弁とも、放送業界用語・芸人さん用語ともつかない言葉を連発していて、時々意味が分らなくて、意味を聞いたりしていたのを覚えています。「ざんない」はそういった言葉の一つでした。
それにしても「無慙(無残)」という漢語を読み下したのが、「ざんない」だったというのは、気づきませんでした。
Googleで「ざんない」を検索してみましょう。

「ざんない」=48件
「慙無い」= 4件


うーん、ネット上では、ほとんど「死語」か?関西弁のHP「全国大阪弁普及協会」で見つけた「慙無い」は、

*Q「ざんない」って死語なのでしょうか?.
A. 老年層でしか使わないと思います。
「ざんない」は、「見苦しい」という意味です。
「えらいざんないもんやけど、受け取ってんか」 という風に使います。
粗末であったり貧相であったりするだけでなく、恥ずかしくて見るに忍びないという気持ちが含まれているみたいですね。


というものでした。このほかの使用例は、

*「ソメイヨシノのざんない姿」
 さくらツアー21名到着。・・・ソメイヨシノの多くが天狗巣病に罹っている。側芽が異常に発達小枝が密集し花つかない。
*「ざんない」
(意味)愛想ない
(例文、訳)ざんない話やのぉ〜 (落語で良く使われる言葉)
*「自分の写真ばかりでは慙無いですし」




といったところ。せいぜい、私たちが使うようにいたしましょう。


2003/8/8


◆ことばの話1326「『そそのかす』と『けしかける』」

大阪府吹田市の21歳の女性を殺害し、滋賀県大津市の民家に遺体を運んだ男が逮捕されるという事件がありましたが、その男が「殺人」をためらっていた時に「メールで」犯行をそそのかした東京に住む女が、殺人幇助の容疑で、昨日(8月4日)逮捕されました。
その前夜、「まもなく逮捕の方針」というニュースを読んだHアナウンサーが、

「実はその原稿の中に、『犯行をそそのかす』と『犯行をけしかける』という2種類の表現が合ったので、結局『そそのかす』に統一してもらったんですよ。」


という内輪の話をしてくれました。
そういえば「そそのかす」と「けしかえる」、似たようなケースに使う気がしますね。ただ、ニュアンスは、若干違うような。しかもHアナによると、

「『そそのかす』の漢字は『唆す』、『けしかける』の漢字は『嗾ける』ということを、夜勤の研修についていた新人のKアナに調べさせたんだけど、『嗾ける』のこの同じ漢字を使って『嗾す』と書いて『そそのかす』とも読むんですよ。漢字が同じなら意味も似てきますよね。」


そうですね。『広辞苑』によると、

「そそのかす(唆す)」=(1)せかして行かせる。(2)その気になるように誘いすすめる。特に悪い方へ誘い導く。
「けしかける(嗾ける)」=(1)(「けし」という声を掛ける意)犬などを、勢いづけて相手に向かわせる。(2)煽動する。おだてる。
とあります。『新明解国語辞典』も引いてみましょう。
「そそのかす」=〈自分自身では出来ない(手を下したくない)事を〉相手にすすめて(をおだてて)、やらせる。(例)「暴動(けんか)をそそのかす」
「けしかける」=(1)犬(牛・鶏などの動物)に声をかけたり態度で示したりして、目標に対して攻撃的な態度を取らせる。(例)「犬をけしかけた悪質ないたずら」(2)元来その気が無かった本人をうまい言葉で誘ったり勧めたりして、やる気をおこすように仕向ける。(多く、好ましくないことをさせようとする意に用いる)(例)「妹をけしかけて、小遣いをせびらせる」




うーん、『新明解』の方が、実感が湧くなあ。
講談社の『類語大辞典』で「そそのかす」の仲間、というか同じような意味の違うニュアンスの言葉を見てみましょう。



「唆す」「仕向ける」「教唆する」「使嗾(しそう)する」「嗾ける」「焚き付ける」「煽る」「煽り立てる」「煽動する」「アジる」「檄(げき)を飛ばす」「挑発する」



といった言葉が載っています。ここでの「唆す」の例文は、「仲間にそそのかされて万引きをしたらしい」。また「嗾ける」の例文は、「学生たちをけしかけてデモに参加させた男の
正体は不明だ」「妹をけしかけて、親にゲームソフトをねだらせるなんて」「人に犬をけしかけておもしろがるなんて、異常だ」

となっています。なんか知らないけど、なぜかけしかけるのは「妹」になってるねえ。
最後にHアナ、ニャッと笑って、

「Kアナに、『「唆す」という漢字は、口偏に、道浦アナの名前「俊彦」の「俊」の字の右側の旁(つくり)だ。やっぱりな』というと彼女もニヤっと笑って、『やっぱり道浦さんも唆したりしてるんですかねえ。』と言ってましたよ。」

唆したり、してへんわい!!

2003/8/5

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