番組審議会報告とはProgram council report
テレビ局が放送する番組の充実・向上と適正をめざして審議するために設置されています。
讀賣テレビ放送番組審議会 委員は、さまざまな分野の有識者10名で構成されており、
原則として審議会を月1回開催しています。
あなたが知っている番組について話し合っていることもありますので、
ぜひ一度読んでみてください。
いつもとは違った視点でテレビを見るようになれるかもしれません。
※読売テレビの番組は、放送基準にもとづいて製作しています
第646回2023.10.13
10月の番組審議会は、13日(金)に開催されました。
今回は9月10日(日)深夜に放送されたNNNドキュメント’23
「私のこと、まだわかる? ~夫は若年性認知症~」について
ご意見を伺いました。
そのほか、
9月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。
□出席委員(書面参加を含む)
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 小林順二郎 梶山寿子
島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子 一ノ瀬メイ
NNNドキュメント’23
『私のこと、まだわかる? ~夫は若年性認知症~』について
委員の皆様からのご意見です。
「若年性認知症についての理解が深められた番組だった。
進行状況や、計算能力や図形認識能力の衰えなど
多様な症状がよくわかった。
買い物でむやみに細かいおつりを受け取ることになってしまった
レシートの写真や、就労時に用いた膨大なメモの束には
壮絶な印象を与えられた」
「番組で描かれた二組の夫婦とも、妻が献身的に夫を支えている。
夫婦愛のドキュメンタリーになっている。
どこかあっけらかんと力の抜けた当人の姿と
妻の愛ある憎まれ口などは見ていて救われる思いだった。
水族館で夫が涙する表情をとらえたカメラワークも見事。
ラストシーンは、夫婦の後ろ姿。
夫婦が身近な幸せを語り合いながら送っていく生活を暗示させ胸に迫る。
希望を感じさせる練りに練った構成だ」
といったご意見のほか、
「『みんなそれぞれ得手不得手がある。得意を出しあってやっていこう』
という主人公の就労先のスタッフの言葉は重要だ。
障害をもつ人の生き辛さは、
社会の在り方によって生まれたり解消されたりするという事実を
端的に表している。
社会全体の取り組みや理解が必要だ。
これから社会がしなければならないことや
認識しなければならないことは何か、よりはっきり示せていればよかった」
といった声や、
「スマホや電子マネーなど最新のツールが光明となっているところが
興味深い。
ちょうどアルツハイマー新薬が話題となったが、
主人公には使えなかったのかは知りたいところだった」
「自分たちにも起こりうる問題として視聴したドキュメンタリーだった。
医療費負担や公的補助、就労支援などの諸制度や関連法について、
より突っ込んだデータや問題提起があれば、とも思わされた。
当事者や家族はシビアな現実に直面する。
当人だけではなく介護する家族も
離職を余儀なくされるケースも多いだろう。
また高齢の親が子を介護するケースや
妻が若年性認知症になったケース、単身者のケースはどうなのかなど、
さらなる取材によって啓発していってほしい」
といったご意見をいただきました。
NNNドキュメント’23
「私のこと、まだわかる? ~夫は若年性認知症~」について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。
第645回2023.9.8
9月の番組審議会は、8日(金)に開催されました。
今回は「私の好きな番組・私のお勧め番組」というテーマで、
テレビ番組について広くご意見を伺いました。
このほか、
『讀賣テレビ番組基準』改正を諮問し、「妥当」との答申を受けたほか、
7月と8月に視聴者の皆様から寄せられた声の概要も報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 小林順二郎 梶山寿子
島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子 一ノ瀬メイ
「私の好きな番組・私のお勧め番組」、
当社制作番組のなかでは、以下の番組が挙げられました。
「『秘密のケンミンSHOW極』は、
郷土愛をテーマに日本文化の多様性や奥深さを教えられる番組。
インタビューVTRに登場するごく普通の人たちのお国自慢ぶりや、
近隣の地域と対抗する口ぶりも楽しい。
地方発で何ができるか、という問題を
エンターテインメントに昇華させている」
またほかには、
「『遠くへ行きたい』は、オーソドックスな旅番組。
世代によって受け取り方の違いはあるかもしれないが、
見やすく、旅心をそそられる番組だ」
「『かんさい情報ネットten.』内コーナー「めばえ」は、
映像から幸せな気分が伝わってくる」
「Let‘s Go! 若一調査隊」は、
関西近郊で『こんなところがあるのか』という場所を
短い時間で紹介してくれている」
さらに、
「『朝生ワイド す・またん!』は、
辛坊治郎さん降板のあとの体制がだいぶこなれてきたのではないか。
出演陣が台本どおりにしゃべっているような
東京の情報番組とは違い、
生き生きしたトークが関西の情報番組の持ち味だ」
との評価が寄せられました。
このほか当社制作番組では
『そこまで言って委員会NP』
『草彅やすとものうさぎとかめ』
『発見!仰天!! プレミアもん!!! 土曜はダメよ!』
が挙げられています。
第644回2023.7.14
7月の番組審議会は、14日(金)に開催されました。
今回は5月28日(日)深夜放送のNNNドキュメント'23
『レインボーな僕~高校生のカミングアウト~』について
ご意見をいただきました。
そのほか、
6月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 小林順二郎 梶山寿子
島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子 一ノ瀬メイ
NNNドキュメント'23
『レインボーな僕~高校生のカミングアウト~』について
委員の皆様からのご意見です。
「自分の性に違和感を持ち続ける10代の主人公に
長期間にわたって密着した貴重な記録だ。
高校のクラスメートにLINEでカミングアウトをする場面をはじめ、
病院での診察や手術室に向かう場面など、
見ていて驚くほどプライバシーに大きく踏み込んだ場面が続く。
番組の取材を受けるにあたって、
本人やご家族の切実な思いがあったのだろうと思わされた」
「LGBTQに関する意識は世代間ギャップが大きい。
若い人たちがなんのこだわりもなく理解するようになった要因には
教育とメディアの力が大きいと思う。
吉岡里帆さんのナレーター起用も
より多くの人に番組を見てもらう一助になったのではないか」
「個人の頑張りには限界がある。
メディアはそういう個人を後押しする問題提起を続けていってほしい」
「カミングアウトを受けたクラスメートたちの
『全然問題ないよ』というリアクションと主人公の涙には
強く心を動かされた。
LINEの即時性や『軽さ』、
また仲間の温かい気持ちが伝わるLINEの文字面も印象的で、
『今』を感じさせた」
といったご意見のほか、
「放送がちょうど『LGBT推進法案』審議中のタイミングだっただけに、
法案への評価・目配りが欲しかった。
またLGBTQに関する理解を阻んでいるものはなにか、
という点が見えなかった。
総理秘書官による差別発言など顕在化している問題もある。
それらにも触れていれば問題の所在もより明確になっただろう」
といった声や、
「取材対象との距離感は、
遠いと信頼を得られず近すぎても客観性を欠く結果になる。
この番組では、一定の距離感を保って取材しているところが伝わってきた。
主体性のある若い主人公の言葉を丁寧に引き出していった取材だった」
「番組は視聴者への問いかけで終わっている。
番組としてのメッセージをはっきり出すエンディングが必要だったのではないか、とも思わされた」
といったご意見をいただきました。
NNNドキュメント'23
『レインボーな僕~高校生のカミングアウト~』について、
委員の皆さまからいただいた主な質問をご紹介しました。
第643回2023.6.2
6月の番組審議会は、2日(金)に開催されました。
今回は、この春に帰任したNNN上海支局長とパリ特派員による報告を
委員の皆様にお聞きいただきました。
そのほか、
5月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 小林順二郎 梶山寿子
島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子 一ノ瀬メイ
NNN上海支局長とパリ特派員による報告をお聞きいただいた委員の皆様から
質問がありました。
「中国がゼロコロナからウィズコロナに舵を切った背景はなんだったのか?
民衆の反発が主な要因か、
あるいはなにか医学的科学的な根拠があったのか?」
これに対しては、以下のような見解を述べました。
「中国の専門家もオミクロン株の弱毒化は知っていたはず。
2022年2月の冬季北京オリンピックが終われば
ゼロコロナも解除されるのではという期待もあったが、継続された。
強硬な政府の顔色を見る専門家が
弱毒化を知っていながら提言を出せずにいたのではないか。
同年11月のカタールのワールドカップサッカーで
スタジアムでは誰もマスクを着けていない光景に中国の人たちは驚いた。
そこから習近平氏を名指しで批判する声が起こり、
制限が緩和された。
政府としてはソフトランディングに成功したというところだろう」
またウクライナを電撃訪問した岸田首相の姿の撮影に成功した件について、
「岸田首相のウクライナ訪問のスクープは
何日間も現地に滞在して狙っていたのか?」
という質問がありましたが、これについては
「首相の日程を検討のうえ、空振り覚悟でポーランドに入った。
首相が到着したジェシュフ空港に着いたのが1~2時間前だった。
この空港には1年前にも取材で訪れたことがあり
土地勘があったところが幸いだった。
滑走路を覆う高いパネルがはられ警察車両が警戒するなど、
1年前よりセキュリティが厳しくなった印象だった」
この春に帰任したNNN上海支局長とパリ特派員による報告について、
委員の皆さまからいただいた主な質問をご紹介しました。
第642回2023.5.12
5月の番組審議会は、12日(金)に開催されました。
今回は、1月19日(木)から10回にわたって放送された
プラチナイト木曜ドラマ『しょうもない僕らの恋愛論』について
委員の皆様から様々なご意見をいただきました。
そのほか、
2022年度下半期の番組種別と
4月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 小林順二郎 梶山寿子
島尾恵理(書面参加) 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子 一ノ瀬メイ
プラチナイト木曜ドラマ『しょうもない僕らの恋愛論』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「一言でいうと『さえない中年男性が若い女性から慕われる』という
『男のファンタジー』。
特に大きな事件が起こるわけでもない日常を描いており、
全10回は長かったのではないかとも思えたが、
登場人物の心の動きを丁寧に表現しようという意図は感じた」
深夜枠のドラマとして、
ゆったりとしたテイストを試みました。
「主人公の中年男・宅郎の『しょうもなさ』が、
ゆったりと視聴できるところにつながったのではないか」
ドラマの原作は、主に成人男性によく読まれている漫画雑誌に連載された作品です。
男性だけではなく幅広い層にご覧いただくための工夫もほどこされました。
「漫画誌に連載されていた原作では、
女子高生のくるみがもっと積極的に宅郎に迫っていた。
ドラマではくるみのキャラクターがずっと控えめに描かれており、
原作より落ち着けるテイストのドラマになっていた」
番組担当者は、
「くるみの積極性を抑えめにしたり、
宅郎を慕うエリのエピソードを足したりして
より広い層の共感を呼ぶ工夫をしました」と話しています。
ただ『男のファンタジー』性ゆえに、
まだアップデートされていない意識が
ドラマの端々に現れていたというご指摘もいただきました。
「宅郎の部屋を訪れたくるみが
当然のごとく部屋の掃除を始める。
『家事は女性の役割』といわんばかりの描き方だ。
ドラマの各所にみられる価値観の古さに大きな違和感を覚えた。
また宅郎の魅力がわかりにくく、ドラマに感情移入ができなかった」
ヒロインのくるみ役は、
オーディションをした監督たちの満場一致で選ばれたということです。
「くるみを演じた中田青渚さんの感情の動きや
大人になっていくところの表現が巧みだった。
このドラマは、主人公の宅郎というより
むしろ『くるみの成長物語』のドラマだった」
プラチナイト木曜ドラマ『しょうもない僕らの恋愛論』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。
第641回2023.3.10
4月の番組審議会は、14日(金)に開催されました。
今年度からあらたに一ノ瀬メイ氏が委員に就任。
また今年度の委員長には勝田泰久委員が、
副委員長には佐古和枝委員と北前雅人委員がそれぞれ就任しました。
今回は、3月11日(土)に放送された
『びわこ大図鑑~知っているようで知らない琵琶湖のヒミツ』について
委員の皆様から様々なご意見をいただきました。
そのほか、
3月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 小林順二郎 梶山寿子
島尾恵理(書面参加) 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子 一ノ瀬メイ
『びわこ大図鑑~知っているようで知らない琵琶湖のヒミツ』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「SDG’sについて視聴者に関心を持ってもらうきっかけとして
意義ある番組だった。
冬の琵琶湖やエリ漁の朝焼け、針江の水路や『かばた』など、
琵琶湖の美しい風景・魅力がたっぷりと描かれていた」
琵琶湖にまつわる様々なトピックを取り上げ、
「持続可能な社会」の実現のためのヒントを探ろうという番組。
番組の担当者によると、取材日は好天に恵まれ、
雪をかぶった伊吹山など美しい風景が撮影できたとのことです。
「琵琶湖が400万年前に三重のあたりから移動してきたという話など、
非常に興味深く関心をそそられた。
琵琶湖の歴史、漁の文化、料理、水と人とのかかわりなど
様々な切り口のトピックが登場し、
幅広い視聴者の関心を集めるという意味では
『大図鑑』というタイトルにふさわしい内容だった」
ただ、このような声も寄せられました。
「各トピック同志のつながりが見えず、散漫な印象も与えられた。
琵琶湖についての基礎知識やデータ的な部分、
さらには現代の関西の人々の生活にどのように影響を与えているかなど
琵琶湖の重要性をきっちりと押さえていれば
散漫な印象はなかったのではないか」
番組では、琵琶湖が抱えるさまざまな危機についてもリポートしています。
「オオバナミズキンバイやアメリカナマズなど、
あらたな外来種による脅威を知ることができた。
特に水中カメラを使ったオオバナミズキンバイの映像は衝撃的。
また幻の魚の『調査』にでてアメリカナマズを偶然に釣りあげた場面も、
やや冗長だったが効果的だった。
アメリカナマズは別な地域では食材として活用されているという。
そうした点にまで触れれば『調査』と呼ぶにふさわしい展開になっただろう」
またさらに、
「番組では『危機』という言葉が強調されていたが、
危機の『原因』や、危機に対して私たちがとれる『アクション』はなにか、というような示唆が欲しかった」
というように、さらに踏み込んだ内容を期待する意見もありました。
また、
「魚の『釜揚げ』の場面は見ていて辛かった。
食文化の紹介のための一場面ではあるが、
そういうシーンを見て辛く感じる視聴者もいる。
もっと抑制的な映像で表現できなかっただろうか。
国や文化、世代による感じられ方の多様性への意識することが必要だ」
このように、ほかの番組制作にも通じる指摘もいただいています。
この番組は、滋賀県出身のミュージシャン、西川貴教さんがMCを担当しています。
「MCの西川貴教さんの琵琶湖への愛と発信力が大いに発揮され、
番組を支えていた。
今回伝えきれなかった部分を含め、続編を期待したい」
『びわこ大図鑑~知っているようで知らない琵琶湖のヒミツ』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。
- 2023年度讀賣テレビ放送番組審議会 委員
- 委員長 勝田泰久 大阪経済大学 前理事長
- 副委員長 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 副委員長 北前雅人 大阪産業大学理事長
- 委員 小林順二郎 国立循環器病研究センター 名誉院長
- 委員 梶山寿子 ノンフィクション作家
- 委員 島尾恵理 弁護士
- 委員 白羽弥仁 映画監督
- 委員 古川綾子 上方芸能研究家 大阪樟蔭女子大学准教授
- 委員 一ノ瀬メイ パラリンピアン
- 委員 二河伊知郎 読売新聞大阪本社執行役員編集局長