番組審議会報告とはProgram council report

「番組審議会」とは、放送法という法律で定められた審議機関のこと。
テレビ局が放送する番組の充実・向上と適正をめざして審議するために設置されています。
讀賣テレビ放送番組審議会 委員は、さまざまな分野の有識者10名で構成されており、
原則として審議会を月1回開催しています。
あなたが知っている番組について話し合っていることもありますので、
ぜひ一度読んでみてください。
いつもとは違った視点でテレビを見るようになれるかもしれません。

※読売テレビの番組は、放送基準にもとづいて製作しています

第613回2020.6

6月の番組審議会は、5日(金)に読売テレビ本社にて開催されました。
今回は、新型コロナウイルス問題発生以来のテレビ放送全般について広くご意見をうかがったほか、
5月に視聴者の皆様から寄せられた声の概要報告が行われました。


□出席委員
勝田泰久 馬淵かの子 北前雅人 佐古和枝 藤野可織
足達新 小林順二郎 梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁

新型コロナウイルス問題発生以来のテレビ放送全般について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「在宅時間が増えテレビを見る時間も増えた。
   テレビの力と影響力を改めて感じさせられた」

ほとんどの委員がこのような感想をお持ちでした。
そのうえで、新型コロナ関連の報道や情報、
さらにはテレビ放送全般について、様々なご意見が寄せられました。

「『密状態になっている場所がある』や『パチンコ店たたき』など、
   あらかじめ作ったストーリーに合わせたような内容が目についた点は残念」
「国の対応が遅れるなか、
   地方の対応を早く正確に伝えることは、テレビの大きな役割だろう。
   結果、発信力のある首長の存在が目立っているが、
   一方でテレビは自治体の広報機関ではないはず。
   権力の監視というメディアの大きな役割は果たしていってほしい」

また、責任あるメディアとしてのありかたに関しては、

「ウイルス感染に関するデマや真偽不明情報が、
   差別や人権侵害に結び付くという現状がある。
   限られたマンパワーの中だとは思うが、
   このような事項については真偽の確認は怠ってはならない」
「番組の内容もコロナ一色となり、
   飽きるほど報道されているという指摘もある。
   しかし一般の視聴者のコロナに関する知識や
   専門家に対する見方が深まっているのも事実。
   飽きるほど報道することによって
   視聴者がコロナに関する情報の質を選別する目を
   持つようになった側面はある」
「新型コロナ問題は、大都市への人口集中の問題でもあるのではないか。
   そうした視点から、今こそ一極集中の打破を訴えるなど、
   将来の日本の姿を見据えた報道が必要だ」

という指摘もありました。

レギュラー番組にもご意見をお寄せいただきました。

「『かんさい情報ネット ten.』では、
   中小企業の資金繰りの苦しさをリポートしていた。
   新型コロナに関連して、これからも企業の倒産なども増えるだろう。
   このようなすぐれたリポートを大いに期待する」

また、新型コロナ情報以外の内容にも評価をいただきました。

「同じく『ten』では、新型ウイルス問題一辺倒ではなく、
   レギュラーコーナーの日替わり企画をOAしている。
 『アナタの味方! お役に立ちます!』や『街かどトレジャー』など
   従来からの良質なコンテンツを生かした良い番組作りだと思う」

番組制作や日々の放送で、様々な工夫をこらす毎日です。

「リモートによる番組制作の工夫や再放送ものの権利処理など、
   今回の事態から新たなアイディアが生まれ、
   また問題点も浮き彫りになっただろう。
   テレビの未来が、今、試されているのだと思う」
新型コロナウイルス問題発生以来のテレビ放送全般について、
出席委員からの主な意見をご紹介しました。

なお今回をもって、足立新委員はご退任されました。

第612回2020.5

5月の番組審議会は、
委員から審議対象番組に対する意見等を書面にてお寄せいただく形で開催しました。
今回の対象番組は、4月26日(日)深夜放送 NNNドキュメント`20
『兄ちゃんのために ―JR脱線事故15年 鉄路の安全を求めてー』です。
ほかに、4月に視聴者の皆様から寄せられた声の概要と2019年下期の番組種別を
書面にてご報告しました。


□出席委員
勝田泰久 馬淵かの子 北前雅人 佐古和枝 藤野可織
足達新 小林順二郎 梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁

NNNドキュメント`20
『兄ちゃんのために ―JR脱線事故15年 鉄路の安全を求めてー』に対して
委員の皆さまから寄せられた主なご意見は以下のとおりです。

「電車が急カーブを曲がり事故の現場を通る低いアングルのショットを見て、
事故の衝撃を思い出した。非常に効果的な映像だった」
「重大事故や事件を「〇周年」といった節目に報道し、
人々に忘れさせないことはメディアの役目だと思う」

衝撃的な事故から15年。
番組ではまず、一組の遺族の姿を追っています。

「ある遺族に焦点を当て、
一見、普通の日常生活が送られているようでありながら、
実は深い悲しみは癒されていないという事実を
淡々と静かに描いた良い番組だった」
「遺族をはじめ当事者の方々にとって、事故は過去ではなく、
現在進行形の問題なのだと改めて気付かされた」

遺族の方々にも、
事故の伝え方や企業との向き合い方について、さまざまな考えがあります。
今回の番組では一組の遺族の姿しか伝えられなかったことについて、
このような意見もありました。

「物事の捉え方、感じ方は人それぞれです。
一口に遺族・被害者といっても、
その思いはおそらく一様ではないだろうと思います。
事故が風化しないよう声を上げ続ける方もあれば、
そっとしておいてほしい、
忘れてしまいたいと思われている方もおられるだろうと推測します。
事故のことについて触れられたくないと考えておられる遺族の方に
取材することはできないでしょうが、
個人的には、遺族の方々の様々な思いが知りたいと思いました」

番組では遺族の姿とともに、事故を起こした企業の現状も取材しています。

「例えば『計画運休』についても、
顧客サービスと安全確保のバランスが取れていたのかという点への
突っ込んだ考察が足りない。
ヒヤリハット事例の件数など安全レベルを測る指標はいろいろある。
安全が向上しているかどうかについては、もっと数量的な把握が必要だ」
「利益を追求しない民営企業は無い。
体質や風土といった情緒的なことに原因や予防策を主張するのでなく、
企業内の委員会やインシデント報告システム、
あるいは安全に対する講習会や外部監査などが
いかに行われるようになっているかを掘り下げて欲しかった」
「事故を起こした企業の現状と
遺族の癒えない痛みの両方を描こうとした結果、
焦点がぼやけてしまったのではないか」
「天災も人災も、たとえ大災害であっても、時間が経つと人は忘れる。
そして同じことが繰り返される。
20年、25年と、再びこのような番組を作り報道することが、
テレビ局に求められていると思う。
企画・制作にあたるスタッフの今後に期待する」

こうした意見に対する制作者のコメントです。

「番組について、多岐にわたる観点からのご意見・ご指摘、
また貴重なご助言も頂きありがとうございます。
今後のドキュメンタリー制作に大いに生かしていきたいと思っております。
いくつかのご意見の中に共通する質問がありましたので、
以下、回答させていただきます。

取材対象者のご遺族について、他の方の意見も知りたいという点。
ご指摘はごもっともで、106人の犠牲者がいれば、その家族の人数も含め106以上の多岐にわたる考え方が存在します。これは脱線事故のみならず犯罪、不慮の事故や病気、自死などにおいても同様です。
今回のドキュメンタリーのディレクターは、
執念ともいえる父親としての現場保存への想いを形にすることで、
事故の風化を防ぐメッセージに変えたいと考えました。
事故から4年目と10年目には、
別なディレクターによるドキュメンタリーで、
別なご遺族の闘いを番組にまとめ、
番組審議会でも議論していただいております。
そのご遺族の場合は、安全を企業に約束させるために
『加害者と被害者という立場を乗り越え、ともに議論する』
という道を選択されました。
同じ事故でも、取材対象者により伝え方は異なります。
一方で、報道として伝えるべき使命、「再発防止」という視点は、
揺るぎのないものであると確信しております。

企業に対する取材をもっと掘り下げるべきではというご指摘ですが、
まさしく我々制作陣も頭を抱えた点です。
まずご指摘にもありましたが、30分という限られた時間枠の中で、
遺族の心情も企業側の検証も盛り込もうとした結果、
中途半端になってしまったかもしれません。
もちろん、カメラを回さない状態での取材、
いわゆる「ペンによる取材」については鋭意進めましたが、結果として、
番組内での事故の客観的事実表現が少なくなったことは否めません。
これらのポイントは、ドキュメンタリー制作現場においては
常に付きまとう難所ですが、
視聴者のためにより説得力をもって伝えられるよう、
今後も取材力をつけていきたいと思っております。
数々のご指摘ありがとうございました」
NNNドキュメント`20
『兄ちゃんのために ―JR脱線事故15年 鉄路の安全を求めてー』ついて、
出席委員からの主な意見とともに、制作者からのコメントをご紹介しました。

第611回2020.4

4月の番組審議会は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されたことを受け、
通常の開催を中止。
委員から審議対象番組に対する意見等を書面にてお寄せいただく形で開催しました。
今回の対象番組は、2月23日放送の『ますおか引越センター』です。

今年度から新たに梶山寿子(ノンフィクション作家)、島尾恵理(弁護士)、白羽弥仁(映画監督)の3氏が委員として加わりました。
また委員長には勝田泰久委員、副委員長には馬淵かの子委員と北前雅人委員が就任しました。

ほかに、3月に視聴者の皆様から寄せられた声を委員に書面にて報告しています。


□出席委員
勝田泰久 馬淵かの子 北前雅人 佐古和枝 藤野可織
足達新 小林順二郎 梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁

『ますおか引越センター』に対して
委員の皆さまから寄せられた主なご意見は以下のとおりです。

「引越しという共通するイベントを取り上げつつ、離島への移住エピソードでは今後交流することになる地元の人たちに、ゴミ屋敷エピソードでは10年の歳月をかけて累積されてきたゴミを取捨選択して搬出するプロセスの中で浮かび上がる生活や心身への影響に、アイドルへの転身エピソードでは家族、特に母との関係に、と異なる側面に光が当てられており、飽きさせない構成になっていた」
「目の付け所の良い面白い企画だった。
3件の引越のそれぞれにドラマがあり、最後まで飽きさせなかった」

番組のコンセプトは、委員からは好評でした。

「企画は大変面白いと思います。『えー!』とか『本当!』と思うような事例を良く取材していると感心しました」

番組で紹介した3件の引越についてのご意見です。

「離島専門の引越し屋さんがいることにまず驚いた。
西表島での取材は、旅行バラエティー番組以上の贅沢さ。
美しい風景も楽しめ、ご夫婦のゆったりとした幸福感が感じられるエピソードだった」
「10年に渡ってゴミ屋敷を築き上げた方が、自分を立て直されたことに感動した。できればゴミの片付けの様子をもっと詳細に見せてもらいたかったが、番組全体のゆるいのんびりした雰囲気のつくりからすると、これはこれでリラックスできていいのではないかとも思えた」
「アイドル志望の女性のチャレンジ精神には脱帽。ただわざわざ母親への手紙を読ませたりするところは演出過剰と感じた。引越は不安と期待が交錯する人生の節目。涙の別れあり、新たな出会いあり……そんな悲喜こもごもの人間ドラマを、おかださんの人柄と話術で自然に引き出したほうが、しみじみとした感動を呼んだように思う」

一方で、番組に成り立ちに関する疑問も寄せられました。

「取材対象の選択の仕方(応募方法、審査基準など)や、依頼者が引越をしようと決意した動機やきっかけについて、また引越しの費用はだれが払ったかなど、もう少しきちんと説明が欲しかった」
「取材対象者の選択方法や引越費用についてなどをきちんと番組内で表現することが必要だったのではないか。引越しの密着取材という視点は面白いので、こうした点を解消して、是非、続編を作ってほしい」

こうした意見に対する制作者のコメントです。

「貴重なご意見の数々を、ありがとうございました。
この番組は、企画立案から放送まで8か月をかけ、スタッフのみならず出演者とも大いにディスカッションしながら作り上げました。
増田さんがお持ちの、一般の方々の人情を引き出す取材力と
岡田さんがお持ちの、明るく実は繊細なキャラクターによる番組展開で、
引越される方のみならず、これから新たなスタートラインに立つであろう視聴者の方々をも応援したい、という思いを込めています。
今回引越された取材対象者が直面するドラマとともに、
引越にまつわる未知なる世界を楽しんでいただけたならば嬉しく思います。
取材対象者に友人として接するような密着取材を常に心掛け、
視聴者に共感してもらえるよう注意を払って制作してはおりましたものの、
ご指摘の点につきましては、改めて我々の至らなかった側面に気づかせていただけたと深く受け止めると同時に感謝いたしております。
制作方針としましては、引越に密着させていただける方のリサーチから始まり、その後ご本人様とのご相談、そして引越に同行させていただく了承をいただけた方の中から今回の3人の方の取材を行いました。
引越に密着させていただくという趣旨のお願いでしたので、引越費用は番組負担ではありません。あくまで、ますだおかだのお二人が引越を手伝う、というコンセプトでの密着であることのご理解をいただいて取材収録を行いました。
誤解を与える展開であったのであれば、今後の反省材料として生かしたいと思います。
また、取材対象者の選考は、近々引越される方がいらっしゃるかを
スタッフの友人関係から紹介してもらったり、多くの引越業者への聞き込みであったり、個人SNSで発信されている情報から得たものであったりと、多岐にわたるリサーチによって得られた候補者情報の中から
ご協力いただける方々を探し出した次第です。
並大抵の数ではありませんでした。
我々も初めて制作する番組でしたので、その方向性を見出すまで
リサーチから広範囲の活動を続けておりました。
次回につながる企画として作り上げた1本ですので
今後を楽しみにしていただけるとの温かいご意見を活力として胸に秘め
新たな取材対象者との出会いに向け頑張ってまいります。
今回の審議、誠に有難うございました」
『ますおか引越センター』について、
出席委員からの主な意見とともに、制作者からのコメントをご紹介しました。
  • 2020年度讀賣テレビ放送番組審議会 委員
  • 委員長    勝田泰久   大阪経済大学前理事長
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    北前雅人   大阪ガス株式会社   顧問
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    藤野可織   小説家
  • 委員    小林順二郎   国立循環器病研究センター 名誉院長
  • 委員    梶山寿子   ノンフィクション作家
  • 委員    島尾恵理  弁護士
  • 委員    白羽弥仁   映画監督
  • 委員    松尾徳彦   読売新聞大阪本社 執行役員編集局長