と、いうのは全て粒谷の妄想の世界。
Twitterの140字小説を読み、空想する。登場人物はいつでも自分と、“ツイッターの彼女”と呼んでいる女の子、たった二人だけ。粒谷が決まって読んでいるのは「フクブクロさん」というアカウントの作品で、なぜかこの人の作品を読むと想像がどこまでも広がり、“彼女”に会えるのだ。
この空想の中の世界は、去年バイク事故にあって以来車いす生活となった粒谷にとって、唯一自由になれる居場所だった。

そんなある日、隣に引っ越してきたという女性・辻糸華（鈴木愛理）が引っ越しの挨拶にやってくる。目の前にいたのは、なんとまさに空想の世界で出会ったはずの “ツイッターの彼女”だった。

男はこちらを指さしてにらみつけ、マンションのエントランスへ向かってくる。『来る。』直感でそう思った女は部屋から逃げようとするも、男に追い付かれた！しかし、男に女の姿は見えていなかった…。

なんて、“いわく付き”マンションに現れた幽霊という設定もいいかもしれない…などと粒谷が空想していると、糸華が粒谷の部屋にやってくる。車いす生活で不便だろうと粒谷を気遣い、買い物をしてきてくれたのだ。買ったものを片付けようと糸華が戸棚を開けると、粒谷がため込んでいたのであろう薬を発見。中には睡眠薬や、精神安定剤も…。気まずい空気が流れたが、粒谷は薬を捨てることにした。

糸華が帰った後、再び粒谷は「フクブクロさん」のアカウントを開くが、更新は2020年5月で止まっている。粒谷はふと思い立ち、『新作楽しみに待ってます！』とメッセージを送った。そのメッセージが届いた先は、なんと糸華だった。

そして妻は自分のノートパソコンを処分しておいてほしいと言い残して写真の中に戻ってしまった。ノートパソコンを手に取り開いてみると、複数の男との浮気写真が見つかった。ショックを受けつつも、ふと思いついて画像ファイルを調べると、写真はすべて同じ日に撮られたものだった。よく見たら、撮った場所や、服装だって…。闘病中の彼女は、いつか自分がいなくなってしまった後、僕がこうして次へ進めなくなるだろうこともお見通しで、わざわざこの写真たちを残したのだった。

…と、空想の中の写真の謎は解けたが、現実として粒谷の目の前にあるツーショット写真の謎は解けないままだ。というのも、粒谷は、事故の後遺症で昔の記憶のほとんどを失っていたのだ。

一方、急いで粒谷の部屋を出た糸華のもとに、ある人物からの電話が。。着信画面に映っていたのは、まさにさっき粒谷のノートパソコンのデスクトップで粒谷と仲良さげにしていた女性だった。