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“お天気の蓬莱さん”こと気象予報士・蓬莱大介さんに密着!<前編>夏の天気より目まぐるしい気象予報士の仕事

読売テレビのさまざまな人やモノにスポットを当てる「読みテレ」編集部。今回、取り上げるのは気象キャスターのお仕事です。
読売テレビの気象キャスターといえば、『かんさい情報ネットten.』や『情報ライブ ミヤネ屋』で気象情報を担当する蓬莱大介さん。とくに『~ten.』では、蓬莱さん直筆イラストで空模様を伝える「スケッチ予報」が人気です。今回はそんな蓬莱さんの1日に密着。前編では、まさに嵐のような仕事ぶりを紹介します。

取材開始はいきなりの“春の嵐”!? 蓬莱さんの仕事部屋へ

蓬莱さんに密着したのは2015年3月24日。春の訪れとともに全国的に暖かくなりはじめた日でした。午前10時30分、読売テレビに着いた蓬莱さんが向かったのは、気象庁、環境省、気象会社などからさまざまな情報が集まる通称“ウェザールーム”。所狭しと並ぶデスクの上には膨大な量の書類が積まれ、見渡せばパソコンやテレビ、放送機材がズラリ。お世辞にも「おしゃれなオフィス」とは言えない空間です。そこにいるのは蓬莱さんはじめ大柄男性ばかり4人。イメージしていたのとは大きく違い、取材班はいきなり“雷に打たれたような”ショックを受けつつ取材は始まったのでした。

まず蓬莱さんが取りかかるのは天気図の解析。天気図に描かれた高気圧・低気圧の動向、風向きなどを読み取り、3色のカラーペンで何やら書き込んでいきます。この3色のマーキングは、蓬莱さんが師匠から受け継いだお天気整理術。「天気が崩れそうなエリア」は赤、予想のキーポイントになりそうな「要チェックエリア」は緑……という具合に、視覚的にこの日の天気の動きが分かるように色分けしていくのだとか。


蓬莱「スーパーコンピューターに頼っても100%の気象予想は無理なんです。だから人間が経験を基に、天気図のクセやそのエリアの地形を計算に入れて予想します。コンピューターは“晴れ”と予想しても、盆地や山間といった地形に特徴があるところでは天気が変化しやすい、ということもあるんですよ」。
微妙に左右される空の変化は、それを知る人間だから分かるもの。気象予想の経験値は、経験豊富な先人から今の気象予報士に受け継がれてきた貴重な財産なんです。

黙々とマーキングを続けながら、何やらボソボソとつぶやき始める蓬莱さん。「ブツブツ……上空の寒気が……ブツブツ」。その様子は我々には見えない誰かに話しかけているようにも見え、戦慄が走る取材班。もしや蓬莱さんって、“見えない何かが見える”人……?

蓬莱「いつもマーキングをしながらひとりごとを言って、放送で話す内容を考えるんです。はたから見るとさぞ気味悪いでしょうね(笑)」。

気図を解析している最中も様々な最新データが飛び込んできます。気象レーダーをチェックし、天気予報をまとめた短期予報解説資料を読み込みながら桜の満開予報にも目を通す。さらに別のパソコン画面にはPM2.5の分布予測と黄砂情報、花粉情報、さらには波浪観測情報、積雪情報まで!

取材班「こんなに暖かいのに積雪量までチェックするんですか?」
蓬莱「『ミヤネ屋』は全国放送ですから」

なるほど! 『ミヤネ屋』に向け、全国各地の情報もぬかりなく頭に叩き込みます。それゆえ午前中はまさに嵐のような忙しさ。
「台風上陸で全国的に天気が荒れるなんてときは、こんなもんじゃないですよ」だそうで、取材班は「この時期の密着取材でよかった……」とホッ。

蓬莱さんが扱うお天気情報の中で、近ごろ重要度が上がっているのが一般の方から送られてくる空の写真。全国津々浦々、ときには海外も含め1日に1万点、多い時は5万点もの写真がウェザーニューズ(気象会社)に届くのだとか。この写真が番組での季節の話のネタになり、時には“ゲリラ豪雨”のような突発的で局地的に起きる自然の猛威を、臨場感あふれる写真で紹介することも可能に。この日は、桜の開花の話題に合わせて東京スカイツリーが桜色にライトアップされた写真が選ばれ、『ミヤネ屋』で紹介されました。

ところで! 蓬莱大介さんっていったいどんな人なの?


すっかり読売テレビでおなじみの蓬莱さん、実は読売テレビの社員でも、アナウンサーでもありません。気象情報会社・ウェザーニューズから委託を受けて気象キャスターを担当する、フリーランスの気象予報士なんです。
25歳の時、書店でたまたま気象予報士資格の存在を知ったことから空模様とともに生きる日々がスタートしました。独学で猛勉強し、2009年27歳の時、3度目のチャレンジで合格率約5%と言われる難関を突破して気象予報士に!
さらに、その後の行動がすごいんです!
気象キャスターになるための練習を兼ねてお天気コーナーのシミュレーション動画を自分で制作。スマートフォンを使い、野外でその日の気象情報を伝える動画を毎日一人でコツコツと撮りためては関係者に見せてまわったそう。わかりやすい言葉づかい、オリジナリティー溢れる表現を模索しながら、いつ誰に認められるかの保証もない先の見えない日々。ときには「なんやねん、こんな画像!」と辛らつな言葉を投げかけられることも……。厳しい意見にもくじけず動画を撮り続けて1年後、ようやくウェザーニューズ関係者の目に留まり、読売テレビに出演するきっかけになりました。とはいっても、即デビューというわけにはいきません。2010年から、当時『~ten.』の気象キャスターをしていた小谷純久さんに師事。1年間、お天気を伝えるワザを叩きこまれ、2011年4月、晴れて小谷さんからバトンならぬマイクを渡されたのでした。

テレビのさわやかな笑顔に出会うまでに、こんな下積み生活があったとは意外ですよね。

蓬莱ワールド満載の「スケッチ予報」。奥様のプレゼントを使って


話を密着取材に戻しましょう。朝から黙々と天気図の解析作業を進めていた蓬莱さん、午後0時30分になるとお昼ご飯も食べないまま報道フロアへダッシュ! 限られた時間の中で迅速に行動するからか、蓬莱さんって物凄く歩くのが早いんです。はぐれて足を引っ張らないように、取材班も必死で密着。報道フロアに着くとさっそく『~ten.』のディレクターと打ち合わせが始まりました。

前日の「スケッチ予報」では、まだ寒さが残っていたので『冬将軍 忘れもの取りにくる』のテーマで “冬将軍”というキャラクターを登場させた蓬莱さん。この日も寒さが残ることから、『冬将軍 忘れもの見つからず』と、前日から連続したストーリーで描くことに。

蓬莱「以前は一人で考えていたんですけど、アイデア探しに行き詰ることがあって。今はスタッフと会話しながらイメージを膨らませています。その時間がすごく楽しいんですよね」。

あーでもない、こーでもないとディレクターと雑談しつつ、しっかりイラストのアイデアをまとめていたんですね。

「スケッチ予報」といえばクレヨン!「絵が下手なことがバレにくいので」と謙遜されますが、どうして、他人には真似できない味わいが醸し出されていますよねぇ。ちなみに愛用の88色のクレヨンは奥さまからのプレゼントだそうです。

シャープペンシルでの下描きをわずか20分で済ませ、「今日はなかなかいいペースですよ」と真剣なまなざしでクレヨンで色付けを始めます。迷いなく色をチョイスし、大胆に色づけしていく様子はさすが手馴れています。さて、この日の出来栄えは……? 

ところで、『~ten.』では「スケッチ予報」の他にも“蓬莱カラー”を見ることが出来るミニコーナーがあるのをご存知でしょうか? それが、コマーシャル直前に放送される次の気象情報の短い予告です。

例えば芸術(アート)特集を放送した後では・・
「明日は“アーット”いう間に青空が!」という蓬莱さんの一言で、コマーシャルへ。

蓬莱「ツウの方には伝わるはず(ニヤリ)」。
ディレクターとの打ち合わせで、こんな“一言”もひねり出していたんですね。
忙しい中でも遊び心を欠かさない姿勢・・恐れ入りました!

生放送直前まで常に変化する気象情報をかき集め、休む間もなく動き回る蓬莱さん。まさに“雨が降ろうと槍が降ろうと”突き進むパワフルな仕事ぶりでした。

今回は蓬莱さんの怒涛の1日の始まりと、知られざる歴史(ヒストリー)をお届けしました。
蓬莱さんの気象コーナーは、長いもので5~6分程度、短い場合だと1~2分。どんなにわずかな時間でも、膨大な情報をかき集めて備え、伝え方に工夫を凝らす。テレビ画面を通してはなかなか知ることができない気象キャスターの影の努力を垣間見たような気がしました。

後編では完成した「スケッチ予報」と、生放送直前の蓬莱さんの知られざる舞台裏が明らかに! どうぞご期待ください!

文:中野純子 写真:國友敬

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