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特 集

2018/09/08

特集01

歌丸も認めた衝撃の講談師 神田松之丞35歳の使命

東京・池袋。
演芸場の前には長い行列が。

お目当ては、講談師 神田松之丞の高座。

(神田松之丞)
「北辰一刀流の腕に余念はない
 逆に一刀両断だ うーんバタッ」

数々の演芸賞を受賞。
人気実力ともに若手ナンバー1、今、最もチケットが取りにくい1人だ。

(女性客)
「今まで聴いたことなかったんですけど
 講談ってこんなに面白いんだと」

(男性客)
「古典芸能をわれわれの
 手の届くところに持ってきてくれた人」

伝統芸能「講談」とは、どのようなものなのか。

(神田松之丞)
「講談はト書き ナレーションの芸ですから
 同じように表現するのでも 
 落語家だと『暑いなどうしたらいいか分からねえな
 暑くてしょうがないな 隠居いるかな隠居 隠居』
 これが落語の芸です暑いのを会話で。ところが講談はナレーションですから
 『8月のある暑い一日のことでありました 
 一人の男が汗をかきながら 隠居 隠居とたずねてまいります「隠居 隠居」』
 ちょっと空気感が違う」

講談は、釈台という机の前に座り、
張扇でたたきながら調子をとり読んでいく。
張扇は竹に特殊な和紙を巻いたものだ。

(神田松之丞)
「宮本武蔵とあらば相手にとって不足はない」

「寛永宮本武蔵伝」の中の、「山田真龍軒」は、
“松之丞流エンターテイメント”の神髄。

(神田松之丞)
「ちりっと身構えているうちに~~~左手で尺八をビシッ!ガラガラと絡まった
 おはようございます」

松之丞はラジオの冠番組を持っている。

(神田松之丞)
「ふさげたラジオなんで(テレビで)使えないと思います」 

「笑い」にこだわり、高座とは、違う顔を見せる。

(神田松之丞)
「(怪談)乳房榎」って噺はさ、人を殺すみたいな描写があるのね
 シーンとして(客が)聴いてて
『庄助 これから貴様は家に帰り先生は何者かに殺されたと言え 行け』って
 言った時に、携帯鳴ったよね。
 おれ びっくりしゃってこの松ちゃんの熱演が」

ラジオに対する愛着は、10代のころから。

(神田松之丞)
「ラジオ深夜便で落語を知って
 そこから落語って面白いなと思ったんですよ音だけで聞くメディア。
 想像する余地のある 余白がある芸能ってすごいなと思ったんですよ」

落語に夢中になり、その後、講談に目覚めた。
講談師になるきっかけとなった、ラジオ。
収録では、自分が納得するまで、何度でも録り直す。

アニメ映画『未来のミライ』では、声優に挑戦。
声の良さを細田監督に買われ、直接オファーが。
4歳の主人公に“自分について気づかせる" 駅の遺失物係、重要な役だ。

(神田松之丞 映画のセリフ)
「どんな荷物を無くしました?僕迷子になったの。
 迷子。では、なくしたものは自分自身というわけですね」

さらに先月『講談入門』を出版。
1カ月で1万冊を超える売れ行きは、このジャンルでは、異例だ。

松之丞は、いま2つ目。次は、いよいよ真打。

(神田松之丞)
「歌舞伎座で真打の披露目をできたら
 すごくうれしいですね。師匠に出ていただきたい」

(神田松之丞)
「師匠 おはようございます」

松之丞の師匠は、
歌舞伎俳優などを経て講談の道に入った、
三代目神田松鯉。

松之丞が弟子入りを志願したのは、24歳の時。

(神田松之丞)
「僕がとにかく世間知らずなもので
 喫茶店で 緊張しながらコーヒーを師匠に
 おごってもらってドキドキしながら上座に座っていましたね。
 そこでも師匠はにこにこして そこ(上座)は、座っちゃいけなんだよと」

そして、念願の弟子入り。叱られたことも。

(三代目神田松鯉)
「1254(松之丞は)落語を耳にタコができるくらい聞いてるんですよ
 口調が身についていたんですよ」

(神田松之丞)
「師匠に言われたのは80くらいの
 おじいさんがしゃべっているみたいだ
 早く若者になってくれと24だったんですよ その時
 今こうやって僕が自由にやらせていただいているのも、すべて師匠のおかげ」

(神田松之丞)
「浅野匠守はお家断絶 家臣はバラバラ~すぐさま駆け付けてまいりますのが
 天野屋利兵衛だ」

大石内蔵助から武具の調達を頼まれた大阪商人天野屋利兵衛。
奉行に拷問され追及されるも忠義を貫く。

(神田松之丞)
「誰の手引きをしたのだ白状いたせ利兵衛~
 人の道は通さねばなりません。
 どれだけせがれが打ち打擲されようとも
 目に入れても痛くないわが子が殺されようと、
 義理ある人の義理は通さねばなりません 
 天野屋利兵衛は男にござる」

講談の読み物は、4500以上。
落語と違い歴史上の人物を扱う。

(神田松鯉)
「これが私のネタですね 
 全部、連続物『三方が原』
 全部やると10時間以上かかる『太閤記』も
 1席1時間ありますから19時間かかる」

連続物とは、幾日も読み継いでいく長編のこと。
松鯉が長年こだわってきたが、平成に入り、
講談専門の寄席・講釈場が無くなったことで、読む機会が減ったという。

講談師の数も低迷する中、松之丞の人気はうなぎのぼり。
4代目旭堂南陵による講談塾。
大阪で40年続いている。

(生徒)
「これこれ大野殿」

(4代目旭堂南陵)
「指を折りながらでいいから」

(生徒)
「女房 せがれの女房2人孫娘2人」


この日、初めて参加した人に聴くと…

(講談塾に初めて来た人)
「神田松之丞さんが有名になってきてラジオで聴いていて。
 共鳴するものがあって これは、ぜひ、奥に入っていきたいなと」

(4代目旭堂南陵)
「うちの弟子たちと話していたが、講談(ブーム)は来てるでと」

2、3年前から、
高座は満席になっているという。

この夏、松之丞には、大切な読み物が1つ増えた。
7月に亡くなったあの桂歌丸が、高く評価してくれた読み物だ。

(神田松之丞)
「歌丸師匠に『鹿島の棒祭り』というネタをたまたま聴いていただ
いたみたいで 褒めていただいたんですけど
畏れ多い それですごく大事なネタになりました」

「鹿島の棒祭り」は、「天保水滸伝」の中の1つの噺。
 舞台は、現在の千葉県東庄町。
 およそ170年前の天保の時代、利根川が流れるこの地で、
 侠客 飯岡助五郎一家と、笹川繁蔵一家が
 血で血を洗う勢力争いを繰り広げる。

笹川一家の用心棒は、北辰一刀流の使い手 平手造酒。
鹿島神宮の祭りの日、居酒屋で酒を飲んでいるところに…

(神田松之丞)
「ガラガラと開けて入ってきたのは敵方の飯岡助五郎の用心棒3人だ
 今しも外は風が強かったと見えて着物の埃をはたいて入ってきた
 最後の山口が袴の埃をはたいた。それが平手の杯の中にはいります。
 当然詫びると思っていたら居酒屋へ 
 平手は『無礼者がえい』と刀を振り下ろそうとした瞬間
 おばあさんが ばばあ、何の用だ? 
 団子を買ってく下さいまし、犬にあげると芸をします。
 やってみて平手『かわいい』ばばあ 団子追加だ
 ほらほら聞こえるじゃねえか 
 あっちの方から2、30人こっちの方から2、30人に囲まれた
 大変なことになった用心棒が刀を抜く。
 えいと振り下ろしていく平手はいかに立ち向かうか、
 ここからが面白いのですが、なんとなんとお時間でございます
 ここで失礼させていただきます」

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