ウェークアップ

毎週土曜 あさ8時〜

辛抱
ウェークアップ

特 集

2018/02/03

特集01

再加熱!?月面開発 人類が再び月を目指すワケ

(カウントダウン)
「3,2,1」

1969年、アポロ11号による人類初の月面着陸。

古来より仰ぎ見てきた月に到達するという偉大な一歩。
これまでに12人の宇宙飛行士が月に降り立ったが、
1972年を最後に人類の月面着陸は途絶えている。

あれからおよそ半世紀。

(トランプ大統領)
「月面に旗を立てるだけではなく、
 火星やさらにその先を目指そう」

去年12月、トランプ大統領が壮大な計画を承認した。
月よりも遠く離れた火星を目指す「深宇宙ゲートウェイ構想」。

2030年までに月の軌道上に新たな宇宙ステーションを建設。

月面の観測や資源探査を行いながら、
そこを拠点として、さらにその先の火星や小惑星へ宇宙飛行士を送るというのだ。

日本政府はアメリカの月探査計画に参加を検討すると発表。

(安倍首相)   
「米国などの関係国との協力を強化し、
 国際宇宙探査の議論を加速してください」

日本の宇宙開発の新たな幕開けとなるのか。
 
月探査に向けた研究の最前線に迫るべく
我々は日本の宇宙開発の中核を担うJAXAへと向かった。

(ディレクター)
「こちらにJAXAの世界有数の実験施設があるとのことですが。」

そこには月面を思わせる空間が広がっていた。

「宇宙探査フィールド」と呼ばれるこの施設。
高さ10メートル、400平方メートルの実験場は世界で3番目の大きさだという。

(JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 片山保宏 主任研究員)
「ここでは宇宙探査用ローバーの走行試験。
 月着陸船が着陸を月面環境でまたは火星の環境で行えるか調べています」

日本の企業、大学が持つ技術を結集し、
月や惑星の探査に応用すべく日夜、試験が行われているのだ。


(JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 片山保宏 主任研究員)
「この探査車両はカメラで岩を検知し
 自動で衝突検知回避機能が搭載されています。」

東京大学の教授と共同開発したこの探査車両には
車などで使われる自動衝突回避技術の一部が生かされている。
いまはまだ探査ロボットの実験が中心だが、
今後は開発を進める着陸船の試験なども行っていくという。

そして、2030年頃には、月面へ宇宙飛行士を送り込む計画だ。

月に注目しているのは日米だけではない。

ヨーロッパ宇宙機関は官民一体の宇宙開発計画「ムーンビレッジ構想」を発表。
月面に基地を造成する方法を探る。

ロシアは、アメリカの「深宇宙ゲートウェイ構想」に協力する一方で
独自の月探査機を開発している。

中国は5年前、着陸船を月に送り込むことに成功。
アメリカ、ロシアに続いて月面着陸を成功させた。
さらにことし末から来年にかけて
人類が未だ足を踏み入れていない月の裏側にも着陸船を送り込む予定だ。

世界各国が今、月に熱い視線を注ぐのはなぜなのか?

キッカケとなったのは1998年、アメリカの探査機
「ルナプロスペクター」が持ち帰った月のデータ。

そのデータが示すものとは。

(JAXA 月極域探査検討チーム 大竹真紀子助教) 
「月に水があるかもしれない。」

月の南極と北極で水素の存在が明らかに。
それは、水がある可能性を示していた。

(JAXA 月極域探査検討チーム 大竹真紀子助教) 
「水があったとすれば、水素と酸素に分けます
 ロケットの燃料にする
 例えば月から火星に行く際の燃料として使うことを
 一つの可能性として考えています」

地球から直接火星に向かう場合、ロケットに大量の燃料を積まなければならず、
コストが増える。
一方、月を中継地点として燃料を補給すれば、
地球から積む燃料を減らすことができ
火星へ向かうコストを下げられるという。

人類移住の可能性を秘めた火星進出を視野に入れ、
月をいわば"最寄りのガスステーション"とすべく、世界は動いているのだ。

しかし、世界各国が月へと向かう理由はそれだけではないという。

(佐伯和人 大阪大学 准教)
「月にも鉱物資源がありますし、
 たとえばヘリウム3という核融合という技術がもし実用化されると、
 ヘリウム3というものを採掘すれば
 地球で使う全エネルギーの1000年分が発電できると考えられています。」

月に眠る資源を巡り国家間で資源獲得競争が
既に繰り広げられているのだ。

中でも日本が取り上げるべき資源が月にはあるという。

(佐伯和人 大阪大学 准教)
「放射性物質ですね。
 日本は放射性物質を宇宙にロケットに積んで打ち上げることができない国。
 月で核物質を採掘してそこで原子力電池を作ることができれば
 深宇宙まで経済圏が拡大していったときに大きな意味があると考えます」

原子力電池は太陽光の届かない宇宙を探査する際、広く使用されており、
日本が宇宙開発を進める上で必要不可欠なものなのだ。

一方、民間のベンチャー企業も月面探査を目指している。
株式会社アイスペースだ。

検索大手グーグルなどが主催する月面探査レースに
2010年からチーム「HAKUTO」として参戦。

しかし先月。
チームの探査車両を載せるインドのロケットが
期限の3月末までの打ち上げを断念。
レース主催者は期限内に月に到達するチームがないとして、事実上の終了を宣言した。

(アイスペース 袴田武史代表)
「月面に降り立てば
 このローバーはミッションをやり遂げられると思っています」

悔しさをにじませるのは、アイスペースの袴田代表。

しかし、レース参加に向けた7年間のチャレンジは無駄ではなかった。
技術をもとに月探査を巡る新たなビジネスチャンスを見出したのだ。

(アイスペース 袴田武史代表)
「(水の)探査をしようというミッションが国家を中心に立ち上がってきており
 そこに輸送のニーズがあるということが明確になってきています
 こちらが我々の手掛けている着陸船の5分の1のモデルになります」

この着陸船をロケットに乗せ探査車両を月へと運ぶ
輸送サービスなどを始めるというのだ。

去年12月、100億円の資本を調達し着陸船は現在、開発中。
2020年末には月面着陸を行う計画だ。

(アイスペース 袴田武史代表)
「我々としてはなるべく短い時間で開発して何回もチャレンジしていくというところで
 確実性を高めていきたい」

国だけでなく民間企業が参入し
ビジネスの舞台ともなりつつある月。
その先の宇宙へ踏み出そうとする人類に
月は明るい未来を照らしてくれるのだろうか。

BACK NUMBER

btnTop