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特 集

2018/08/11

特集01

実力は?進化する自動音声翻訳機

(ディレクター)
「多くの日本企業は貿易戦争に懸念を示しています。
 今後、具体的にどのような悪影響が予想されますか」

(翻訳機・ポケトーク)
「Many Japanese companies are 
 concerned about 
 the influence of trade war. 
 What kind of negative impact
 is expected in the future?」

こんな長い日本語でも
たちどころに英語にしてしゃべってくれる。

(女性観光客)
「おいしいお肉が食べたいです」
「ワー!」

韓国語だってこの通り。
ここ数年で劇的な進化を遂げた「自動音声翻訳機」。
その技術の裏側と実力に迫る!

中国や台湾・韓国などからの観光客で賑わう沖縄、那覇空港。
自動音声翻訳機をいち早く導入し
売上アップを実現したのがこの土産店だ。

店員が手にしているのは「イリー」という音声翻訳機。
この日も、日本語から外国語への翻訳用と
外国語から日本語への翻訳用の2つを持って接客にあたっていた。

(店員)
「この那覇空港限定商品です」

(翻訳機・イリー)
「那覇空港の限定商品です」

外国人客に対し自発的に声をかける機会はそれほど多くなかったが
これを使って積極的なアプローチができるようになったという。

(店員と外国人客)
「おすすめのチョコレートです」
「おススメのチョコレートです」
「この呼吸チョコレートは台湾で
 とても有名です。」
「その呼吸チョコレートは台湾で
 有名なんです」
「お土産にいかがですか?」
「お土産を持っていくのが好きですか?」
「私は大好きです」
「私は大好きです」

セールストークの短い一言が
新たな爆買いにつながったケースも…。
「イリー」の翻訳が店の売り上げアップに貢献しているようだ。

「イリー」が対応するのは 
英語、中国語、韓国語の3つの言語。
また、日本語から外国語への一方通行の翻訳に絞り込むことで
データを軽量化し、本体に格納。
これでインターネットに接続することなく
より早く正確な音声翻訳を可能にした。

(ログバー・吉田卓郎CEO)
「どの料理がお勧めですか?」

(イリー・韓国語)

場所を選ばない手軽さと
翻訳スピードが普及のカギだと語るのは、
開発の陣頭指揮を取った吉田CEOだ。

(ログバー吉田卓郎CEO)
「一般販売は去年12月からやっています
 7か月で10万人くらいの方が使用している」

こうした中、思いもよらぬところから引き合いがあったという。

(ログバー吉田卓郎CEO)
「英会話教室からオファーがあり
 これを売りたいと
 なんで英会話教室で売るんですか?
 競合してますよね?というと、いや
 こういうのがあると会話のキッカケになって、
 もっと学ぼうという気になってくれるんです…と」

一方で反響が大きかったのは
やはり那覇空港の土産店のようなインバウンド需要に直結した
小売業やサービス業の関係者だ。
これに応えるため、接客会話に特化した法人向けの
「イリー・プロ」を新たに開発した。

(ログバー吉田卓郎CEO)
「いろいろな方々と話をする中で、
 こういうことが必要だよねと、
 去年の段階から100社以上の方とヒアリングと実証実験をしています。」

2年後の東京オリンピック、パラリンピックに向け、
現場で使う人に満足してもらえる条件とは何か。
今後も突き詰めていきたいと意欲を見せた。

(会議室男性)
「ご覧のように
 今年の売り上げはプラス30%と大きく増加しました」

(ポケトーク)
「As you can see this years 
 sales have increased
 significantly to 30% plus.」

一方こちらは、インターネットに接続することで
より長く踏み込んだ会話を相互に自動翻訳する「ポケトーク」。
先月新たに74か国語の翻訳が可能な
「ポケトークW(ダブリュ)」が発表された。

その仕組みはこうだ。

「今日はいい天気ですね」と発音した音声をポケトークWは
インターネットを通じクラウドに送信。

するとクラウド上では膨大なデータからその音声を文字に変え…

次に「今日はいい天気ですね」という文章を
翻訳エンジンが最適な意味の英文に変換する。

最後にその英文が音声データへと変換され、
ポケトークから英語の音声として流れる。

(ソースネクスト技術戦略室 川竹一執行役員)
「ディープ・ラーニング、
 いわゆる機械学習で学習する子供が言葉を覚えてゆくのと同じような形で
 とにかくたくさん正解を与えてあげる
 たくさんの学習ができればより精度の高い結果が得られる」

ビジネス会話のように
長文で専門性のある言葉まで対応可能という「ポケトークW」。
これ1台で、日本語と外国語の双方向の翻訳が可能だ。
では、更に複雑な会話の場合、
どこまで精度の高い翻訳が可能なのか?
今回、番組はある実験を行った。

協力してくれたのは
ビジネスが専門のイギリス人ジャーナリスト・ダン・スレーターさんと
NHK国際放送で海外向け
経済ニュースのリポーターを務める谷中麻里衣さん。

スレーターさんに
ポケトークWを使ってまず、
番組ディレクターがインタビュー。
次にバイリンガルの谷中さんが
同じ質問をして、どのような違いが現れるか検証した。


(ディレクター)
「あなたはトランプ大統領の
 貿易に関する政策をどう評価されますか?」

(ポケトーク)
「How will you rate 
 the President Trump's Policy on trade?」

何の破綻もなく、
まるでテストの模範答案のような英訳だ。
では、谷中さんによる英語の質問は?

(谷中麻里衣さん)
「May I ask your evaluation of 
President Trump's Trade policies?」

少しへりくだった意味で
May I ask、聞いてもいいですか?としているほか、
数値的な評価の「rate」ではなく、
価値などの評価、「Evaluate」を使っている点も異なる。
しかしどちらも意味に大きな違いはない。

ではこの質問にスレーターさんはどう返したのか?

(ダン・スレーターさん)
「So, President Trump is definitely
 challenging Status quo. 
 He's been very disruptive keys
 in Box on dangerous course and 
 we can only hope that there is 
 no Tit for Tat escalation 
 current policies」

(ポケトーク)
「だから、トランプ大統領は危険なコースで
 非常に破壊的なキーとなっている現状に
 確実に挑戦しています。
 そして彼の現在の政策のタイトエスカレーションがないことだけを願っています」

果たしてこれでスレーターさんの真意は伝わるのだろうか?
 Tit for Tatは
「しっぺ返し」という意味なのだが、
これを「タイト」という違った言葉に置き換えてしまった。

さらに質問を続けてみた。

(ディレクター)
「トランプ大統領は2020年の
 大統領選挙で再選されると思いますか?」

(ポケトーク)
「Do you think President Trump 
 will be re-elected 
 in the 2020 presidential
 election?」

(谷中麻里衣さん)
「Looking further ahead,
 do youthink Traump will 
 be re-elected in the
 2020 Presidential Election?」

ここではポケトークWと
谷中さんの文脈に大きな違いはなかったようだ。

(ダン・スレーターさん)
「If Trump is able to continue 
 the unexpected strong economic
 growth of the United State until 2020,  he will definitely win the next
 election.」

(ポケトーク)
「トランプが2020年までに
 米国以外にも強お経済成長を続けることができれば、
 彼は間違いなく次の選挙に勝つだろう」

質問の内容も、スレーターさんの答えも今回は問題なくお互いに伝わった。

一方、バイリンガルの谷中さんは、翻訳の精度以上に
音声認識の精度に驚いたという。

(谷中麻里衣さん)
「彼の言ったことを一字一句書き留めるのは不可能
 機械は彼の言ったことを全部読み取った上で翻訳するので
 聞き逃しはないなと思った」

今後、こうした翻訳機は
どのように進化していくのか?
市場調査会社のアナリスト・道越さんは…。

(BCN総研チーフエグゼクティブアナリスト道越一郎さん)
「いい翻訳だったりとか
 悪い翻訳だったねとか
 データが集まってくると精度が上がってくるので
 どんどん自動的に進歩するカタチになる。
 あとは進歩のスピード。どれだけたくさんのデータや
 事例を集められるかということにかかっている」

ネット接続で翻訳精度を極めようとするポケトークW。
こうしたアイディアは会社設立のころから持っていたという松田社長。
ビッグデータやAIの進歩がもたらす未来についてこう語った。

(ソースネクスト 松田憲幸 代表取締役社長)
「将棋なんかは無理だというのがどんどん早くなって 
 コンピューターに勝てる人がいなくなってきていると思うんですけど
 翻訳も今のこの時点でかなりできていますので
 言葉の壁がなくなるのを100とすると今はまだ1だと思うんですけど 
 究極的には(言葉の壁は)なくなった世界が 私はいいなと思っています」

今回、実験のインタビューに応じてくれた
イギリス人ジャーナリスト・スレーターさんは。

(ダン・スレーターさん)
「人と人が出合いお互いの言葉を勉強することで
 コミュニケーションは深まっていくし
 学ぶ楽しさもあると思います。
 その点からみると、機械に全て頼り切ってしまうのは寂しい感じがしますね。」

いずれAIの技術は人間の感情をも表情や言葉から読み取るといわれている。
もし、言葉の壁がない未来がくるとするなら、
その時人類はどんな手段で意思を伝えあっているのだろうか。
              

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