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特 集

2018/08/18

特集01

中国が輸入禁止…あふれるプラゴミ 深刻な環境汚染も

暑い夏…。
優雅にホテルでティータイム。

<諸國キャスター>
「夏にぴったりでおいしそう…だけど…ジュースに…何か足りない!?」

足りないものとは…

アメリカのスターバックスやディズニーランドなどが「もう使わない」と表明する中、
ヒルトンホテルでは、早くも実施。
先月から出さなくなった。

それは…プラスチック製のストローだ。

<ヒルトン 木村部長>
「環境の汚染に多大に影響しているプラスチック製品。
 まずここから手掛けようと始めさせていただきました。
 私たちとしてもお客様にご理解いただくため
 まず、今はストローをお出しする前に必要かどうかを聞いています」

お願いすれば出してもらえるのが紙製のストロー。

<諸國キャスター>
「変わりません。手で触った感覚がプラスチックとは違うけど、
 飲んだ感じはプラスチックと一緒です」

しかし!「紙製」でゆっくりとティータイムを楽しめるのか?
フニャフニャになったりしないのか!?

ストローをはじめ、
今やなくてはならないペットボトルなど、
毎日たくさん消費され、捨てられているプラスチック。

そんなプラスチックごみを扱う処理業者は…

<プラゴミ輸出業者 久勝商事 熊事業部長>
「これほどたまってなかったです。大変困っています」

山積みになったプラスチックごみを前に困惑する担当者。
かつて経験したことがない、処理できない在庫が220トンもたまっているからだ。
 
なぜか…

<今年3月 中国全人代 李克強首相>
「水がきれいで空が青い中国を築いていかなければならない。
 海外のごみの輸入を厳しく禁じる」

中国がプラスチックごみの輸入禁止を決めたからだ。

今まで資源不足に悩んでいた中国は石油原料よりはるかに安い
貴重な資源としてプラスチックごみを輸入していた。

日本からは年間およそ120万トン、
日本が排出するプラスチックごみの15%を。

ペットボトルだけみると回収された物のおよそ40%を中国が輸入していたのだ。

そんな中、
中国では、貧しい農村部の出身者や学校に行かせてもらえない子供たちが
リサイクル作業に従事。
 
環境汚染も進んだ。

おととし公開され、
現在中国では上映が禁止されているドキュメンタリー映画「プラスチック・チャイナ」。
劣悪な環境で生活する人々の姿が描かれている。

<中国人労働者>
「一日5ドル…ほとんど残らないね」

ニッポンはごみを輸出することで己の国をきれいにしていたのか!?

<大阪商業大学 公共学部 原田准教授>
「急激に小売りの形が変わってきて、
 容器包装類でプラスチックがものすごく普及してきた。
 販売するだけでなく、
 どう回収するのかというシステムが十分に構築できていなかった。
 そこが大きな問題」

原田准教授によると、
そもそもプラスチックごみは、地球規模で汚染を引き起こしているという。

それは…海洋汚染。

例えば、太平洋上には、
日本の国土の3倍以上にも及ぶ面積の「ごみの島」が浮いている。
その大部分がプラスチック。年々増加し漂流しているものもある。

国際的な機関である世界経済フォーラムは
このままでは2050年、太平洋に生息する魚の質量を
漂流するプラスチックの質量が上回ってしまうと予想している。

<原田准教授>
「海に流れ出したプラスチックが紫外線や波の影響を受けて粉々になって、
 これは回収ができないのですが、それが生態系の中に取り込まれることによって、
 海洋生物、鳥や魚、様々な生物の生息そのものを脅かしている。
 ひいては人間へも返ってくる可能性がある」

魚が餌と間違えてプラスチックを食べている。
その魚を人間が食べれば…。

プラスチックの使用を削減。
さらにリサイクル率をアップさせなければならない。

世界は動き始めている。
2015年、ドイツで開かれたG7、先進7か国首脳会議では
プラスチック問題に対処するアクションプランが定められ、

おととしの伊勢志摩、
去年のイタリア・タオルミーナサミットでも再確認されている。

そして、今年6月のカナダ・シャルルボアサミットでは、
プラスチック用品の削減やリサイクル率の数値目標を定めた
「海洋プラスチック憲章」がまとめられた。

しかし日本はアメリカと共に署名を見送った。
「産業界と未調整で市民生活への影響も大きい」というのがその理由だ。

そんな中、プラスチックごみの問題を「チャンス」と見ているのが宮城県。

県内でリサイクルの新技術などを持つ企業に補助金を交付する制度を設けているのだ。

<宮城県環境産業課 氏家班長>
「この機会をビジネスチャンスという形にとらえていただいて、
 いろいろ取り組みを進めていただきたいし、
 我が課としても環境産業の振興として方針を掲げているので
 しっかりと応援していきたい」

リサイクルで産業活性化。
助成金が交付された企業を訪ねた。

<株式会社MSC 麦谷社長>
「リサイクルの先駆者になろうと思っています」

本格的なリサイクルの時代はこれからだ!と再生に挑んだのが、
商品パッケージに使われているフィルム。

ほとんどの物が、
外側は「ポリエチレン」内側は「ポリプロピレン」など、
プラスチックはプラスチックでも複数の素材が使われていたり、
そもそも、どんなプラスチックが使われているのか
表記がないものもあってリサイクルされなかった。

素材が混じってしまったり、
わからない場合は、安定したリサイクル品が作れなかったからだ。

<麦谷社長>
「みんながやれない・やらない・できない・壁があるもの、
 ここを壊していくことによって日本のリサイクルは変わっていく。
 改革を起こすことができるっていうのが僕らのビジネスの取り組みです」

そしていま、取り組んでいるのが日本中に張り巡らされている電線のリサイクル。

電線に巻かれているプラスチックは熱に強くリサイクルするとき溶けにくい。
従来、そのほとんどが海外で処理されていたという。
特許を取得した技術、温度管理をしっかりすることで課題を解消。
再生することに成功したのだ。

<麦谷社長>
「日本のリサイクル品の品質は世界でどこの国にも負けない。
 それは作り出せるんですけど、いま作るというスタート、
 業界のしくみができていない」

新しい技術で、ほとんどのプラスチックがリサイクルできるようになった…。
にもかかわらず多くの企業はいまだリサイクルに消極的だという。

しかし、そんなことでは今後、企業は成り立たないと言うのが大和総研の熊谷氏。

<大和総研 熊谷チーフエコノミスト>
「ESGといって環境などに配慮して短期的な視野ではなく、 
 地球の環境が保っていけるように中・長期的な施策を行っている企業に、
 こういうところに対する投資が注目されている」

環境に配慮した社会を作るため、しっかりとした企業統治がなされているのか…

そんな視点で行われているのがESG投資。
現在、世界の運用資産全体に占めるシェアは26%。
2000兆円以上に及び、増え続けている。
 
一方、日本は130兆円とまだまだだが、
年金を運用するGPIFなども注目しているという。

※GPIF=年金積立管理運用独立行政法人

<熊谷チーフエコノミスト>
「まずは企業のトップが高い目標を掲げてやってみること。
 企業サイドのトップの意識が変わって、しっかりとトップダウンで
 環境への配慮をやるということを宣言していかない限りは、
 なかなか大きく世界に追いつくのは難しい」

投資される企業にとって単にイメージアップを狙う見せかけの環境への配慮ではなく
本業にしっかりと組み込まれた持続的な環境への配慮が必要なのだ。

かれこれ1時間…。
日頃の忙しさから離れ、ランチまで楽しんだ諸國キャスター。

紙製のストローはというと…

<諸國キャスター>
「時間が経ってもフニャフニャにはなっていません。
 私たちの身近にあるプラスチック製品。ストローも含めて、プラスチックである
 必要がないもの。実は多いのかもしれません」

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