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特 集

2017/10/07

特集01

世界の自動車業界がEV・電気自動車にシフト!産業構造が変わる?

20世紀初頭、アメリカ・テキサス州で見つかった大油田。
そして、フォードが大量生産によって価格を下げた大衆車T型フォードを発売した。

“蒸気”にとって代わりガソリンエンジンが爆発的に普及したのだ。

それから100年あまり…。

(ディレクター)
「最高です!」

番組スタッフが試乗している真っ赤なスポーツカー、トミーカイラZZ。
実はこれ、およそ800万円の電気自動車だ。

開発・販売しているのは、京都に本社を置くベンチャー企業のGLM。

(GLM 藤墳技術開発部長)
「夢ありますよ、おもしろいですね。
 部品メーカー、自動車メーカーが今必死になって一生懸命、
 いろんなEVを作ろうとしている。
 新しいことに取り組めるチャンス」

電気自動車・いわゆるEVのメーカーとして誕生して7年。
従業員30人程の小さな会社だが、
世界最大の部品メーカー、ドイツ・ボッシュ社と共同開発を始め、
香港の投資会社から120億円の資金提供を受ける。

開発中のスーパーカーで世界進出を目論んでいるのだ。
新型車の映像は後程ご覧いただくとして…。

電気自動車のメーカーにぞくぞくと集まる技術と金。
その背景には…。

フランス・パリ。
町のいたるところで見かける電気自動車。
市バスも…、電気!
さらに…

(NNNパリ支局 ブリス・マンギー)
「こちらにあるのは、電気自動車のレンタカーです。
 充電スポットは街の中にたくさん置いてあります。
 私も使いますがとっても便利です」

パリジャンやパリジェンヌの“気軽な足”となっているのが、
カーシェアリングのオートリブ。
使用される車、4000台すべてが電気自動車だ。

そんなフランスはもちろん、
イギリスでも2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売が禁止に。
ドイツでも議論が始まっている。

一方、アメリカの一部の州では、すでに規制が。
ZEV法とよばれるもので、
各メーカーに一定割合、電気自動車を販売するよう義務付け、
その割合が来年引き上げられるのだ。

そして、世界最大の自動車市場・中国でも
同様の規制が2年後から施行される。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 杉本浩一 シニアアナリスト)
「中国は自動車産業でもナンバーワンにつきたい。
 ガソリンやディーゼル車で今更ヨーロッパや日本、アメリカと戦っても分が悪い、
 違う技術(EV)で勝負しようと」

世界の“EVシフト”を受け、
メーカーのし烈な戦いが始まろうとしている。

トヨタ自動車はマツダや部品メーカーのデンソーとともに
EVの開発会社を設立し再来年をメドに量産化を検討中。

メルセデスは2022年に。
その他の大手メーカーも遅くとも2025年までには、
電気自動車を店頭に並ばせるという。

一方、先を行くのは、
すでに年間5万台以上を製造・販売するアメリカのテスラモーターズ。

そんな中、日本の大手自動車メーカーが社運をかけた1台を発売した。

日産自動車の新型リーフだ。
従来型に比べ、1回の充電による走行距離を120キロ伸ばし、400キロに。

(日産自動車 チーフ・ビークル・エンジニア 磯部博樹さん)
「ほとんどの生活シーンでカバーできる距離だと思う」

その乗り心地は…。

(ディレクター)
「あっというまにスピードが上がります。
 足の踏み込みが要らないので運転が楽ですね」

(日産自動車 西川廣人 社長)
「まさに世界が本格的なEVの時代に動き出した。
 素晴らしいチャンスをいただいたと大いに気合いを入れている」

勝負をかける日産。こんな試みも。

この日、主に技術系の社員を集め行われていたのは、
接客の研修。

1人でも多くの客に電気自動車の良さを理解してもらうため、
本社の社員を販売店に派遣、営業させることにしたのだ。
 
(講師)
「お子様向けの挨拶は意識して…いらっしゃませ、こんにちは~」

研修を受ける社員は300人を超え、
まさに全社をあげて売り込もうとしているリーフ。
しかし…

(日産自動車 西川廣人 社長)
「日産を代表して心からお詫びを申し上げたい」

国内全ての工場で資格を持たない従業員が完成検査をしていたことが発覚。
115万台を超えるリコールに発展し、新型リーフも一部含まれていた。

出ばなをくじかれた形だが、変化に対応しなければ未来はない。
進まなければ危機が訪れるのだ。
それは、下請けの部品メーカーにも…。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 杉本浩一 シニアアナリスト)
「自動車部品を手掛けている会社の中でも、
 ガソリンエンジンの固有の部品であるとかディーゼルエンジンの部品とか、
 排気系の部品は要らなくなってくる可能性があるので、
 この辺を中心に自動車部品産業にはかなり大きな影響がある」

“下請け企業”に厳しい時代がやってくる恐れがあるというのだ。

東大阪市にある金属加工会社、繁原製作所。
1981年の設立以来、
車のエンジンや変速機の部品の設計から製造までを行っている。

(繁原製作所 繁原秀孝 社長)
「これは歯車の形状を作っている機械、ギアの加工をしています」
Qどのくらいの精度?
「十数ミクロン。1ミリの千分の1」

国内ほぼ全ての大手自動車メーカーと取引があるが、ある懸念が…。
 
(繁原製作所 繁原秀孝 社長)
「これは電気自動車です。部品点数は100点もないのでは。
 あっという間にEVが席捲してしまう世の中がくれば、
 その時には仕事が何もないという可能性はある」

EVへのシフトで、自動車の部品は、
ネジ1本まで含めると10万点から5万点以下に減少。
部品メーカーの仕事が減ると危惧されている。

売上高およそ4兆円を誇るトヨタグループの部品メーカーアイシンも、
危機感をあらわに。

(アイシン精機 伊原保守社長の会見)
「エンジンや変速機がなくなれば売上の2兆円近くがなくなる」

一方で、ビジネスチャンスも。
繁原製作所では、8年前からEVの開発に携わり、
業界の常識を覆す製品を開発。

それが、ギアを変えるための変速機。
モーターで動くEVではいらないとされてきたが、
EV向けに改良したところ、
小さいモーターでも大きな出力を得ることができ電力の消費も抑えられた。

EVの日本一を決めるレースでは、その変速機を搭載した車が優勝。
世界中のメーカーから注目され業績アップに一役買っている。

今年に入ってからは、中国の関連メーカーから引き合いが急増。
 
(繁原製作所 繁原秀孝 社長)
「日本のメーカーから要求されるような次元ではなくて、
 もう一つ上の次元、車のミッションの性能を要求されました」

急速に発展しつつある中国メーカーに対し
どこまで日本のメーカーが競争力を高められるか、
モノづくりの底力が試されている。

そして、冒頭に紹介したGLMは、
自動車の作り方を根本的に変えようとしている。

4人乗り…。
最高速度250キロ以上。
時速100キロに到達するまでの時間はわずか3点7秒。
4000万円。

このスーパーカー=G4を世に出すことで、
持っている技術力をアピール。

(GLM 小間裕康 社長)
「いま世界では、日本のものづくりは遅れているんじゃないかと
 いわれることが結構ありますが、
 決して遅れているのではなく、
 日本の縦割りの系列の中にある部品サプライヤーさんとしては、
 新しい技術が出来たとしても、中々世に出せないジレンマがある。
 ここを我々のような中規模生産のベンチャーの車に、
 その先端の技術を世に出すことができる」

中小のメーカーが独自の技術を開発することで
「下請け」の殻を破ることができる。そして…。

(GLM 小間裕康 社長)
「我々ができないことは他社のパワーを持った協力パートナーさんに
 お願いするという考え方で重厚長大な自動車に取り組んでいる」

これまでの大手メーカーが頂点に君臨するピラミッド型の下請け構造から、
横につながり開発した技術を共有し、
相互に利用する産業構造が、
今後日本が勝ち残るために重要になるというのだ。

EVの波が押し寄せる今、
日本の自動車産業は世界でどう戦うのか。
“海図なき航海”はすでに始まっている。

         12分00秒

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