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特 集

2017/09/30

特集01

動物園の危機・・・深刻な”高齢化”への対策

(小池都知事 今月25日)
「発表します…香香」

今年6月に誕生した
上野動物園のジャイアントパンダ。
今週、その赤ちゃんの名前が
「シャンシャン」に決定した!

街はお祝いムード一色に!

(来園者)
「かわいい漢字で、イメージとしては
 ピッタリかなと思いました」
「早く見たい」

生後半年を迎える今年12月をメドに、
母親のシンシンと一緒にお披露目される予定だ。

一方。

(来園者)
「ピーコ!」

園内には高齢の動物も。
こちらはニシゴリラのピーコ。
推定年齢が47歳で、国内2番目の高齢ゴリラだ。

シロテテナガザル・メスのモカ。

暖房器具にべったり張り付いているのは
オスのナポ。
共に推定年齢41歳。

高齢動物は他の園でも…。

大阪の通天閣からほど近い天王寺動物園。
1915年に開園した歴史ある動物園だ。

(ディレクター)
「いましたね!天王寺動物園で
1番人気のアジアゾウ、ラニー博子です」

大阪万博が開かれた
1970年に来園したラニー博子。
推定年齢は48歳。
人間で言うと60歳から70歳に相当する
おばあちゃんゾウだ。

年を重ねることで皮膚は傷つき、
足や爪には膿がたまりやすくなってしまった。
1日2回の消毒作業を欠かすことはできない。

(天王寺動物園 高見一利さん)
「体重が重い大きな動物。
 足がひとたび弱ると命取りになる。
 足のケアは気を付けている」

こちらはジャガーのジャガオ。
年齢は21歳。
平均寿命が20歳と言われるジャガーの中では高齢だ。

かつては迫力ある肉食動物として
人気者だったジャガオ。
しかし今はお客さんに背を向けたまま
寝ていることも多くなった。

エサには食べやすくする工夫が
施されている。

(天王寺動物園 飼育員
 中島野恵さん)
「高齢になるので
 アゴの力が弱くなっているので
 お肉食べるのに時間がかかるので
 噛みやすいように切れ目を入れている」

そもそもなぜ高齢の動物が増えているのか?

(天王寺動物園 高見一利さん)
「飼育技術が上がった。
 調査研究が進んで、昔わからなかったことがわかってきた。
 例えばエサが変わるとか。
 飼育方針が変わるとかで長生きするようになった」

長寿を全うできる動物の増加。
それ自体歓迎すべきことなのだが
ある困った現象も引き起こしている。
近い将来、ゴリラやゾウなどが
日本の動物園で見られなくなる可能性があるというのだ。

一体、どういうことなのか?

日本動物園水族館協会の成島さんは。


(日本動物園水族館協会 成島悦雄さん)
「動物園の場所が限られているので
 新しい動物を入れることができなくなり
 世代交代が遅れ繁殖時期を逸して、
 結果としていなくなってしまった。
 動物園でいなくなったからお金を使って
 アフリカや東南アジアとか南アメリカから
 動物を持ってくることができない」

かつては野生動物を
生息地から輸入することが可能だった。
しかし、国際取引の中で絶滅のおそれがある
野生動物などの保護を目的としたワシントン条約が
1975年に発効。
以降、新たな個体の確保が難しくなった。

およそ40年前に長期的な
繁殖計画を立てなかったことが今の高齢化につながり、
動物園で人気の動物が見られなくなる可能性に繋がるのだ。
それを防ごうと広がっている取り組みがある。

ブリーディングローン

ブリーディングローンとは、
動物園や水族館同士で動物の貸し借りを行うこと。
そこで新しい動物のペアを作り繁殖に取り組む制度だ。

東京にある多摩動物公園。
ここでは今年2月にブリーディングローンを
利用して来園したオスとメスのチーター2頭に
元気な赤ちゃんが誕生した。
スクスクと育っており園の人気者となっている。

しかしブリーディングローンによる
繁殖だけでは追いつかない現状がある。

これは動物の頭数を表したシミュレーションの一部。
ニシゴリラは2015年、23頭いたのだが、
2030年には6頭しかいない試算に。
中にはいなくなってしまう動物も。

(多摩動物公園 飼育展示課
 寺田光宏さん)
「(ブリーディングローンによって)
 増えている動物もあるが減っている動物もある。
 減ってるといっても増えにくい動物。
 オス・メスの相性が特別難しいものだったり。
 ペアにするタイミングが悪かったり
 飼育環境が整っていなかったり。」

またゴリラやフラミンゴは
通常、群れで行動するため
単体で移動させても繁殖行動につながらない場合が多い。
また、移送によるストレスで
負担がかかってしまうこともあるのだ。

先進的な方法で繁殖に取り組む動きも。

(多摩動物公園 飼育展示課
 寺田光宏さん)
「例えば人工授精を検討する場合がある。
 多摩動物公園でもソデグロヅルで
 おこなっています」

人工繁殖(人工授精)

多摩動物公園では
絶滅危惧種のソデグロヅルを繁殖させようと、
ブリーディングローンを試みた。
しかし、鳥類の繁殖は難しくうまくいかなかった。

そこで方針を変えて人工授精を試みた結果、
6月に元気なヒナが誕生した。

人工繁殖を行うためには、
それぞれの動物の生態や繁殖時期などの分析が必要だ。

神奈川県にある横浜市繁殖センター。

ここでは繁殖時期を見極めるため、
動物のホルモン分析を行ったり
精子卵子の採取、
さらに採取した精子卵子を凍結保存している。
その数54種類。
 
実際、よこはま動物園ズーラシアでは
凍結保存の精子・卵子を使って
絶滅危惧種ボウシテナガザルの
人工繁殖に成功。
現在も元気に飼育されている。

(よこはま動物園ズーラシア
 園長 村田浩一さん)
「人工繁殖という技術は確立されていない部分もある。
 1例2例あっても普遍的ではない。
 誰がやってもできる技術まで発展させないと、
 本当の技術にはならない。
 現段階では技術の発展を期待しながら保存している」

あくまで自然繁殖を目指しながらも、
希少動物などの保全に関しては、
人工繁殖も有効な選択肢の1つとなっているのだ。

今後の動物園のあり方について村田さんは…

(よこはま動物園ズーラシア
 園長 村田浩一さん)
「動物園の根本的な役割は変わってきている。
 単に見せる・楽しませるだけじゃなくて
 自然繁殖ができる環境づくりと
 個体群の維持と(繁殖を行う)施設づくり。
 世界中の動物園とネットワークを組みながら
 構築していかないといけない」

希少動物の保全のために動物園は何ができるのか。
「見せる」だけでなく
「増やす」ための役割が今、求められている。

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