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特 集

2017/09/23

特集01

檀家廃止・・・お寺の未来のカタチとは?

橋本英樹住職・52才。
埼玉県熊谷市で
400年以上の歴史を持つ見性院の23代目だ。

父親から引き継いで10年。
寺の経営を安定させるため改革に取り組んできた。
中でも反響が大きかったのが『檀家制度』の廃止だった。

(橋本英樹住職)
「私も檀家制度でいこうと決めて
 3年から5年は頑張ったんですが
 限界を感じたということと(檀家制度は)時代に合わない」

檀家とは特定の寺をお布施などで支援する家のこと。
これまで寺院経営の基盤とされてきた。
しかし、都市部への人口流出や核家族化などの影響で檀家が減少。
経営難に直面する寺は少なくない。

さらに。

(橋本住職)
「新しいことをやろうとすると、
 檀家の中からクレームもありました。
 その中で住職がもう少し自由な宗教活動、
 経済活動をするにはどうすればいいのかという時に
 今までのしがらみの強い檀家制度とかお寺の組合と
 一旦ご破算にしないとどうにも窮屈すぎて」

この先、増える見込みのない檀家。
見性院では名称を「檀家」から「信徒」に変更し、
寄付や護寺会費をなくした。
一軒一軒との結びつきは弱まったものの
門戸を全国に広げたことで5年たったいま、
信徒は800軒を超えた。

そして、仏壇仏具の販売、
墓地や霊園の経営にも力を入れる。
 
(橋本住職)
「100人くらいで共同のお墓をグループ墓と呼んでいます」

血縁ではなく仲の良かった人たちが
グループで入る墓だ。
すでに20人近い人たちが生前予約している。

他にも場所と墓石を5年単位で貸し出すという
レンタル墓も造った。
将来、墓じまいの手間がはぶけ、
無縁仏になる心配もないと反響を呼んでいる。

(相談者)
「遠方なんです(家族)みんな。
 生まれたところがお墓をこれから買っていろいろやるのは
 (お金が)結構かかります。
 レンタルがあるのが一番いいんじゃないですか」

さらに、これまでブラックボックスとされてきた
お布施などの金額を掲示板に張り出すなど明瞭化。
僧侶1人が通夜と葬儀で
お経をあげ「信士・信女」の戒名を授けた場合のお布施は
20万から25万円とし以前の半額以下とした。

橋本住職の改革の柱は
外に開かれた寺院経営だ。
見性院では「送骨」も受け付けている。
墓がなく、行く先のない遺骨を郵送で受け入れ、
合同墓で永代供養しているのだ。

檀家制度廃止から5年、
一連の経営改革によって収入は4倍に増えた。
去年の収入はおよそ1億2千万円、
人件費などすべての費用を差し引いた純利益は336万円だった。

(橋本住職)
「ベールに包まれている今までのよくわからないお寺社会から、
 オープンにしてさらけ出して、
 これからお寺は生き残りというか淘汰の時代に入ります。
 企業努力・自助努力が寺には必要」

現在、日本全国の寺の数は7万7千を超える。
そのうち住職が住んでいない無住寺が2万近くあるという。
廃寺となった寺も少なくない。

寺の維持が困難に直面する一方で
これまで寺が担ってきた役割がビジネスとして注目を集めるケースも。
その最たる例が葬儀だ。

簡略化が進み専門の業者以外の事業参入も増えている。
イオンが2009年から始めた「イオンのお葬式」。
一般的におよそ200万円かかると言われる葬儀費用が
イオンでは19万8000円。 
遺族の負担を減らすためのプランで、
通夜や告別式を省くことで価格を抑えた。

(お電話ありがとうございます。お坊さん便です)

2015年には、
インターネット通販大手
アマゾンジャパンが法事に僧侶を手配するサービス
「お坊さん便」の取り扱いを始めた。

これに全日本仏教会は猛反発。

(全日本仏教会)
「僧侶の宗教行為を定額の商品として販売することに
 大いなる疑問を感じる」

協会はアマゾンジャパンに対し、
販売中止を求め続けているが利用者数は右肩上がり。
提携する僧侶も、この2年間で
300人から1000人に増えたという。

また、こんな動きもある。
一見、普通の民家に見えるが・・

(担当者)
「ようこそこんにちは。
 浄土真宗の開教所で浄心寺と申します」

一軒家をリフォームした寺だ。

埼玉県草加市の人口はおよそ25万人。
ベッドタウンとして人口が増え続ける一方、
近隣に寺院は多くない。
各宗派が新興住宅街に布教所を設け、
普段、つきあいが少ない
都市部の住民への布教活動に力を入れているのだ。

(住職)
「うちに関わる方のほとんどは
 (元々)宗教に距離を置いていた方が多いですし、
 人が集まる所に開きたいと思っていたので、
 そういった意味では(新興住宅街への)
 開教というのは大切な意義があると思います」

新宿にある幸國寺。
ここでは新たな『供養のカタチ』が注目を集めている。

光を放つのは、およそ2000体のガラス製の仏像。
白く光った一体が故人を表す。
この後ろに「遺骨」が安置されているのだ。

生前予約も含めるとすでに800体が入っている。

檀家制度を廃止し、収入を4倍に増やした見性院。
長年、お布施などで寺を支えてきた旧檀家の中には
急速な変化に違和感を覚える人もいる。

先週、旧檀家と住職との間で話し合いの場が持たれた。

(旧檀家)
「寺を良く、反対というんじゃなくて
 寺をみんなで話し合ってよく守っていこうということで
 そういう話で始まりました」
「いきなり寺から信徒になれと、
 同意書に署名捺印しなさいと 相談もなしに私的には始めたと思う。
 そこまでのものがどうして必要なんでしょうか」

見性院は、400軒近くあった檀家を信徒とした。
変更の際、承諾書へのサインを求めたのだが、
旧檀家のおよそ3割がサインを拒否。
住職は、拒否した旧檀家の法要や葬儀でのお勤めはしない対応を取った。

(旧檀家)
「私もお袋が90歳近いので直にお世話にならないといけない。
 同意書を出した人は住職(が法要に出る)とか
 出さない人は(出ない)というのは宗教家としてどうなのかと思って
 おりますけれど」

埼玉県の曹洞宗寺院をまとめる宗務所長に話を聞いた。

(宗務所長 安野住職)
「何百年と続く見性院さんの
 歴代住職やそれを支えてきた檀家
 それを一代の考えで変えていいのかな?
 ご理解いただけるように努力を惜しまないというのも
 住職の勤めだと思います。
 私の話を聞かないのは、すべて敵だとしてしまっては
 元も子もないと思います」

本堂や客殿などは、
檀家のお布施によって建立されたもの。
これまでの関係をご破算にし、
新たな信徒たちと同じ扱いでは納得できない気持ちも理解できる。

ほかにも寺の運営に携わる役員は
住職が選出するという一文に不安を覚える人もいる。

(橋本住職)
「一年半かけて、
 総代、世話人会もやってきて手続きを踏んでおります。
 今頃になって蒸し返されても 
 ある程度の一定の結果も出ていますし、
 ご質問については皆様の中で文書にして質問ご意見を
 お寺に提出して下さい」

旧檀家に対し文書で回答することとなった。
         
(橋本住職)
「特にお寺の場合情報源があまりないですから、
 宗派の中で小さくまとってきたのが今までですが、
 志の同じ人が集まってお寺を活性化していくのが、
 これからの寺院社会、仏教会に必要ではないかと、
 小さくまとまっていたら
 時代に取り残されていくということです」

これから先、
生き残るための経営の維持と
地域住民に対する奉仕活動をどう両立させていくのか。
模索は今も続いている。

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