ウェークアップ

毎週土曜 あさ8時〜

辛抱
ウェークアップ

特 集

2017/07/29

特集01

環境と人権を守れ!フェアトレードから東京オリンピックへ

<名古屋市立高蔵小学校の給食の時間>
「いただきますー」
           
給食の時間が始まった。この日のニュー、注目は、“ちりめんじゃこの佃煮”
          
<児童>
「おいしいです!」
          
じゃこの他に使われているのは南米・ニカラグア産のゴマ。
小さな一粒に大きな思いが込められている。
          
<児童>
「今回の給食を通して知りました」
          
ニカラグア産のゴマはフェアトレード認証品。
          
<フェアトレードで取り引きするマラウイのお茶生産農家>
「フェアトレードからの収入は私たちの人生を変えました。」
         
フェアトレードとは、途上国の生産者を守る国際的な取り組みのこと。
お茶やコーヒー、バナナにコットン、カカオといった農産物などを仕入れ
製品化する企業が、生産地の自然環境の保護や生産者の強制労働や児童労働を防止し、
人権を守る目的で、買い取り価格を長期に渡り保証。
さらにその価格の10%から15%を上乗せして支払うというものだ。
         
<フェアトレード・ラベル・ジャパン 中島事務局長>
「必ずしも生産者に適正な対価が渡っていない現状が。
 現地の大人にお金が渡ることで子供の教育などが実現できる。」
         
そうして、世界的に認証された製品だけが「認証マーク」の表示を許可され、
私たちが購入することができる。
いまでは、小中学校の食育をはじめ、社会や地理、英語の教科書でも紹介され、
子供たちにも広く知られる活動となっている。

背景には、いまだ世界に強制労働や児童労働に苦しめられている
「現代奴隷」と呼ばれる人々が2100万人も存在する「現実」がある。
          
<フェアトレード・ラベル・ジャパン 中島事務局長>
「途上国の人権。日本人は海の向こうのこと…身近に感じていない。」
          
先日開かれた会議。
フェアトレードにかかわる企業の担当者らが情報交換を行っていた。
日本の参加企業は185社、会議にはそのうち60社が出席したが、
日本でのフェアトレードの市場規模はまだまだ小さい。
 
世界市場が1兆円、日本はその1%の100億円にすぎない。
一方、アメリカは1000億円、イギリスでは2700億円。
さらには「強制労働や児童労働から生まれた製品は取引できない」とする
法律も整備されている。

日本は、ビジネスにおける人権への配慮が遅れているのだ。
しかし、裏を返せばそこにビジネスチャンスがある。
          
そこで、国家的プロジェクトを契機としてビジネスに人権意識を取り入れる動きが…
      
<リオオリンピック閉会式 安部首相>
「シーユー イン トウキョウ!」
          
東京オリンピック・パラリンピック開催まであと3年。
大会組織委員会が策定したのが“持続可能性に配慮した調達コード”
          
これは、大気や水質の汚染防止など自然環境の保全に取り組み、
さらに、あらゆる差別や強制労働、児童労働がない生産現場から生み出された物しか
オリンピックでは使用しないとした基本原則だ。
特に農産物においては、「フェアトレード製品を優先的に使用する」と明記されている。
          
<東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 田中 持続可能性部長>
「きちんとした調達をすることで社会的責任を果たす。さらには
 良い影響を社会に与えられればと考えています」
         
オリンピックで環境や人権の保護を訴える動きは、ロンドンから始まった。
競技場などの建設には環境を破壊しない素材、
例えば違法伐採されていない木材が使用され、選手村では、環境はもちろん
人権が守られ生産されたバナナが1000万本、
コーヒー1400万カップ、砂糖1000万袋が提供されたという。
          
環境はもちろん、人権を守る。
オリンピックを機にその大切さを痛感した企業がある。
東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーであるアシックスだ。
          
<アシックス社内CSR会議>
「工場として通勤・退勤の手段、もし何かあったら労災だと、
 何らかの補償をしないとダメですので…」
          
この日行われた会議では、
下請けや委託工場で人権が守られない場合のリスクが改めて確認された。
          
<アシックス CSR・サステナビリティ部 吉本部長>
「人権という問題に大きく動いたのは、アテネ五輪の後なんですね。
 大手スポーツブランドの委託先工場で人権侵害がありますよと訴えられたんですね。
 その中にアシックスが入っていた。」
          
2004年。
女子マラソンで野口みずき選手が金メダルを取ったアテネオリンピック。
アシックスを含むスポーツ用品のメーカーが途上国の委託工場で現地の人々に
過酷な労働を強いていると国際的なNGOに告発された。
     
さらに、2013年にはシューズを作っていたカンボジアの工場で天井が崩落。
2人が死亡する事故が起きた。
        
<アシックス CSR・サステナビリティ部 吉本部長>
「人権に配慮しないと労働者に不信感が。品質の低下。納期の遅れ。
 労働争議に発展する可能性が…」
          
不買運動にエスカレート。
企業のイメージも悪くなり株価が下がるかもしれない。
労働環境を守る大切さを痛感したのだ。
以降、必ず年に1度はサプライチェーンの査察を行っている。
          
通路に…物は置かないこと。

カッターを使う場合…金属製の手袋をつけること。
          
200項目にも及ぶチェックを実施しているのだ。
          
<アシックス CSR・サステナビリティ部 吉本部長>
「環境・社会・経済。この3つが大切な軸。
 これがなくなると持続可能な会社にならない。」
          
そうして生み出された製品、アシックスのジャージーを着た選手が
リオオリンピックの表彰台の一番高いところに上がった。

<フェアトレード・ラベル・ジャパン 中島事務局長>          
「あと3年の中で、日本への注目が高まる。いい機会ととらえて、
 人権への対応を国民の認識を高めて日本全体で機運を高める契機になれば…」
          
世界的なビジネスの流れは環境と人権を尊重をすること。
オリンピックを機に私たちの意識はもちろん、
企業の活動をより良いものに変えることはできるのだろうか。

BACK NUMBER

btnTop