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特 集

2017/03/25

特集01

子どもの貧困・教育格差をなくすには?

ニッポンで今、6人に1人の子どもが貧困状態にある。
お茶の水女子大学が行った調査。家が貧しい子どもほど
テストの正解率が低いことが裏付けられた。

(教育評論家 尾木直樹氏)「年収の格差が学力の
格差につながっているのは
今回データを分析のなかでどんどんと(正解率が)高収入ほど
上がっていくことが分かったことが大きな衝撃ですよね」

貧困が子どもにもたらす教育格差。
貧しくても学びたい。
そんな子どもたちを支え続ける民間の取り組みを追った。

東京・八王子市の集会所。
学校を終えた小中高生たちが机に向かっていた。

(講師)
「He She Boltの場合はrunが何か変化しなかった?」
(生徒)
「えー?」

集まった子どもたちに共通するのは
経済的に苦しい家庭に育ち塾に通う余裕がないこと。
NPO法人「八王子つばめ塾」。
受講料をとらない「無料塾」だ。
親から聞き取りをして、家庭の経済状態を確認し
子どもたちを受け入れている。

(講師)
「ここで覚えてほしいのは掛け算を最初にやる」

無料とは言え授業はほぼマンツーマン。
理解できるまで粘り強く教えてくれる。

(塾生)
「成績少し上がった。
授業で分からないことを教えてもらえるので(良い)」
「テストで塾で教えてもらった所が出るからすごい良かった」

つばめ塾に通う中学3年の美咲さん。(仮名)
母親の勧めでこの塾に通い始め
勉強の楽しさを知ったという。

(美咲さん)
「最初はあまり学校にも行っていなかったから
(進学先は)通信制(高校)がいいかなと思っていたけれど考え直して…」

シングルマザーの母親は、美咲さんと
中学1年の弟を育てる。

(美咲さん)
「生姜焼きってもっと薄っぺらい
ものだと思っていた。」
(母親)
「そのお肉はなんと95円、100グラム。
いつもの肉は138円。どっち選ぶ?」

兄弟は育ち盛りだが食費は可能な限り
切り詰めているという。
食品会社で働く母親の月収は15万6千円。
そのほとんどが食費や家賃などに消えてしまう。

(母親)
「塾に通わせて冬期講習だ、夏期講習だ
、というと何十万もかかってしまう。
そのお金を出す余裕はないですね。」

貧困状態にある子どもの割合は増え続け
2012年現在、16.3%と6人に1人の子どもが
世帯の所得が122万円未満の
いわゆる「貧困状態」に陥っている。
お茶の水女子大学が行った調査では、
家が貧しい子どもほどテストの正解率が低いことが裏付けられた。

(教育評論家 尾木直樹氏)
「教室が分断される。金持ちの子とそうでない子に。
早期の頃から割れたまんまで大人になっていいのか?」

今月13日、つばめ塾では中学3年の塾生たちの
卒業を祝う会が開かれた。
美咲さんは都立高校に見事合格。
33人の塾生のうち9割が志望校に合格した。
5年前、講師1人、生徒1人でスタートした「つばめ塾」だが
そのニーズの高まりとともに今では塾生80人以上、
講師は60人、5つの教室をかかえるまでになった。

(八王子つばめ塾小宮位之理事長)
「東京だと7割近くの子が塾に通ってますので
なんだかんだいっても(塾に)行っているかいないかが
大きな差になってしまう。
一度つまずいた時に誰もフォローしてもらえないとなると
経済的な苦しさが格差につながってしまうのが
かなりあると思います」

(塾生)
「うわーやばい」

地元のパン屋さんが無料塾に賛同。

(生徒)
「ジャンケンポン」

この教室では授業が終わった後週に1回無料でパンを
提供してくれる。
塾の運営費は寄付で講師はボランティア。
かつ交通費も自腹だ。

(会社員の講師)
「シングルマザーで小学校1年生の子どもがいまして
私もそういう近い環境にいるので
そういう子たちの気持ちが
分りながら出来るんじゃないかと…」

無料塾の講師に年齢制限はなく公務員や会社員など
人生経験が豊富な人材が集まっている。

(小宮理事長)
「勉強するぞ!早く席について
勉強しに来たんだろ」

このNPO法人を立ち上げた小宮理事長も
高校の非常勤講師で生計を立てながら無料塾に力を注ぐ。
そこには学力向上以外の狙いも。

(八王子つばめ塾 小宮位之理事長)
「子どもたちは自分たちが置かれた状況からしか
世界が見えないなかで、いろんな世界があるんだとか、
いろんな人と関わることでもっと勉強してみたい
こんな職業もあるんだ、頑張ってみたいという
刺激を受けることが大事」

「つばめ塾」の名前の由来は
塾で学んだ子どもたちが、いずれ立派な社会人に育ち
つばめのように講師として戻ってきてほしいとの
願いがこめられている。

こうした取り組みについて
教育評論家の尾木直樹氏は…

(教育評論家 尾木直樹氏)
「自分のことを見捨てないで一生懸命やってくれる
地域の方大人が何十人もいるよという
その姿が大人への信頼感、つまり社会への信頼感につながる。
現実に基礎問題をやっていると
出来るようになる。分かるようになる。
この喜びが自己肯定感を高める
自己肯定感が高まると
難しいことに挑戦しようという
意欲にもなる忍耐心もできる
だから心理的な面で非常にたくましくなる」

現在は手弁当のつばめ塾だが…

(教育評論家 尾木直樹氏)
「社会的支援をどうできるか。行政の後押しや、
企業の資金的援助も含めて何かやれるような
税制を整えたらと思いますよね」
と思いますね」

子どもたち自身が家庭環境を選ぶことはできない。
「学びたい」気持ちにこたえるために
大人には何ができるのか、今、真剣に考える時期にきている。
              

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