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特 集

2017/12/09

特集01

ハラールビジネス最前線

(坂木リポーター)
「こちら奥ではファッションショーが行われていますね」

先月、都内で行われたファッションショー。
よく見てみると…

このモデルも…
このモデルも…
そしてこのモデルも…!

ランウェイを歩く女性たちは皆、頭にスカーフをまとっている。
実はこれ、イスラム教徒=ムスリムの
ファッションイベントなのだ。

イスラム教では、基本的に女性は顔と手以外を
隠すことが求められる。
頭髪を隠す、ヒジャブ。身体のラインを隠す、アバヤ。

しかし今、戒律を守りながらも
ファッションを楽しむ世代が増えたことで、
ムスリムファッション市場は急成長!
“つつましやかなファッション”を意味する
「モデストファッション」として、
熱い注目を浴びているのだ。

こちらの衣装をプロデュースするのは、あの「伊勢丹」。
スペインの人気デザイナーらによる、
モデストファッションに取り組んでいる。

(三越伊勢丹バイヤー 額田純嗣さん)
「新しいファッションの切り口を探していまして、
 モデストという肌の露出を抑えたスタイリングが今のスタイリングとして
 面白いのではないかと。
 イスラムの方々にもご満足頂けるような提案ができるように
 さらにブラッシュアップさせていきたい。」

さらにこちらは黒い布地に、おなじみのマーク。

スポーツメーカー・ナイキが
販売予定の「プロヒジャブ」という製品だ。
軽量で通気性に優れたヒジャブで、
イスラム教徒の女性アスリートのために開発された。

大手メーカーが
続々と乗り出すムスリム市場。

その背景には急激に伸びるムスリム人口がある。

世界の平均成長率の2倍近いスピードで増え続ける
イスラム教徒の人口。

2020年には世界人口の4人に1人が
イスラム教徒=ムスリムという計算に。

アメリカのシンクタンクによると、
今世紀後半にはキリスト教を抜き、
世界最大の勢力になるという。

2021年のムスリム市場は早くも300兆円に達するとみられており、
その果実を求めて、多くの企業が進出を狙っているのだ!

(観光客)
「イエーイ」

そして今、日本で増えているのはアジアのイスラム教国である
マレーシア、インドネシアからの観光客。
2013年に観光ビザが緩和されたことや
格安航空会社の増便などで急増している。

「おもてなし」の国ニッポン。
すでに、ムスリム観光客のための
様々な取り組みが始まっている…。

東京駅構内の観光センター。
ことし6月、この場所に設置されたのは…

(東京駅広報・待田知康さん)
「お祈り希望の方はこちらのボタンを押して、
 係りの者が開けることになっています。」

(坂木キャスター)
「失礼します…そんなに広くはないですが…」

祈りをささげるための祈祷室。
中には手足を清めるための水道や、礼拝用のマットが用意され、
メッカの方向を示すマーク、キブラも描かれている。

いま、日本各地でこうした施設が
作られているのだ。

(インドネシア女性)
「日本人はイスラム教徒じゃないのに祈りの場所を用意してくれてうれしいです。」

期待感を抱いて日本にやってくるムスリム観光客。
しかし、同時に大きな“心配”も抱えている。
彼らが口ぐちに話したのは…

(マレーシア女性)
「イスラム教徒なので、ハラールフードを探さなくてはなりません。」

(インドネシア男性)
「ムスリムにはハラールフードが必要なんだ。」

「ハラール」とは、アラビア語で“許された”という意味。
「ハラールフード」とは、「食べることが許された食事」ということだ。

(インドネシア女性)
「豚肉を食べることはできませんから、
 レストランに行くたびに豚肉を使っているかどうか確認しないといけません。」

イスラム教で食べることを禁じられている食材の代表格「豚肉」。

単に豚肉を食べなければいい…というだけでなく、
その脂、ラードからは口紅や石けんが作られ、
皮から採られたゼラチンやコラーゲンは
薬のカプセルや化粧品の原料にもなっている。
こうした豚由来の成分も、
身体に入れることはできないのだ。

イスラム教徒の目から見ると、街のいたるところに
とんこつやトンカツの看板が並ぶ日本は、
レストランを探すだけでも大変。

しかしその“厳しい戒律”が今、
ビジネスチャンスとなっている。

(坂木キャスター)
「ハラルエキスポジャパンの会場にやって来ました。
 既にものすごい賑わいですね。」

イスラム教徒向けの食材やサービスなどを
中心にした見本市「ハラールエキスポジャパン2017」

ことしで4回目を迎えるこのイベントには、ハラールに取り組む
多くの企業、官公庁が出展した。

(坂木リポーター)
「コチラのブースには調味料が
 ズラッと並んでいます。
 普通の醤油かと思いきや、「ハラールしょうゆ」と書かれていますね。」

(株式会社グローバル 高橋さん)
「日本で普通に使われている醤油ですと製造過程で
 アルコールが発生してしまうんですがそういった場合ムスリムの方は使えないので
 こちらはアルコールが入っていないものになります。」

(サイード氏)
「これがイオンなどに売っているものなんですこのブランドで。
 アラビア語では右から左に書くんですね」

「ハラール」と認められた商品には“ハラール認証マーク”が貼られることが多い。
このマークがあれば、イスラム教徒は安心してそれを食べることができるのだ。

国内に複数あるハラール認証機関の一つ、
日本アジアハラール協会の主任監査員・サイード氏に聞いた。

(サイード・アクター氏) 
「ハラールは神様が作られた法律に基づく基準なんです。
 原材料を使っているか。それを何段階かに遡って調べる。
 がクリアになったら次は製造工程も見ないといけない。」

ハラールとして認定を受けるためには、原材料だけではなく、
その製造工程も大切なのだという。

たとえば牛肉や鶏肉などの肉類。
豚肉でなければ大丈夫、と思いがちだが、
日本で流通している肉は、
精肉業者によって屠畜されており、
これではハラールとは見なされない。

(サイード・アクター氏)
「首を切る(屠畜する)仕事はイスラム教徒がやる。
 責任者としてイスラム教徒がやらないとハラールではないんですね。」

イスラム教徒によって祈りの言葉とともに
屠畜されて初めて、ハラールと認められるのだという。

こうした理由でいま、注目を集めているのが…!

(坂木キャスター)
「皆さん、和牛をおいしそうに頬張ってらっしゃいます。」

日本が世界に誇る牛肉、和牛。
なかでも「神戸牛」はおととし、製造工程を整備してハラール認証を取得。
ムスリム市場に “ブランド和牛”を売り込もうとしている。

ムスリムたちの評価は…

(ムスリム女性)
「オイシイです! オイシイですね オイシイ」

ムスリムによるインバウンド効果を見越し、
動き出した自治体の一つが東京都の台東区だ。

上野、浅草を擁する台東区には
ムスリム観光客も多い。

(台東区・飯野秀則観光課長)
「ハラール認証取得助成と言いまして、
 台東区内の飲食店でハラール認証を取得する際に経費がかかるわけですが、
 その経費の補助をさせて頂いている。上限は10万円。」

一般的に20万円ほどかかるというハラール認証。
そのおよそ半額を自治体が補助するというのだ。

(坂木キャスター)
「こちら一見、普通のラーメン屋さんに見えますが、
 ここにローカルハラール認定書がありますね。
 一体どんなラーメン屋さんなんでしょうか?」

ハラール認証を受けたラーメン店「AYAM-YA」。
店内は、イスラム教徒たちで賑わっていた。

(ムスリムの男性)
「ラーメンは日本で人気でしょう?だから食べたかったんだ。」

(マレーシア女性)
「普通のラーメンは、トンコツで出汁を取るんでしょ?
 私たちは食べられないわ。これは鶏で出汁を取っているから、食べられるの。」

ムスリム観光客に大人気のラーメンはどのように作られているのか?

(新目 鶏そばオーナー)
「こちら、ムスリムの人がお祈りして屠畜されたもの。普通の鶏の脂とは違う。」

この脂とハラール醤油を使ってスープのベースを作る。
さらにハラール認証済みの麺や鶏肉のチャーシューを加えて完成。

(坂木キャスター)
「ハラール認定ということで特別な味かなと思ったんですけど、
 普通においしいですね!」

一方こちらは、カレー専門店、「CoCo壱番屋」。
ことし9月にオープンした秋葉原店は、
全国唯一の「ハラール」仕様。
こちらも店内は、ムスリム達で賑わっていた。

東南アジアのカレーとは違う、日本独自のカレーライスを味わってもらうため、
製造工程や配送方法を見直した、この店舗。
人気は、ささみカツカレーだ。

(シンガポールから来た青年)
「とてもコッテリしていて、インドのカレーとは全く違うんだね。」

ところで、ムスリム観光客たちは、
どうやってこうした店にたどり着くのか?
マレーシアから観光で来日した女性が教えてくれた。

(マレーシア女性)
「ハラールナビ」アプリを使っているんです。
 たとえば浅草を見てみると…
こうやってお店が出てきますので、後はそこに行って見つけるだけです。」

SNSと連携することで、日本のハラールビジネスが
ムスリム観光客と結びついていることがわかる。

2020年東京オリンピックを前に、
急ピッチで整備が進む「ハラールビジネス」。
今後の可能性について、
ハラールエキスポの主催者は…。

(守護彰浩代表)
「縮小することは絶対ないと思っています。
 日本を知らないムスリムは多くいますし、かつ日本に来たいという方々は
 多くいらっしゃるので、日本が情報提供していければこの市場は
 広がる一方だと思います。」

一方、ハラール認証の専門家からは厳しい声も…

(日本アジアハラール協会 サイード・アクター氏)
「タイでは日本よりも厳しい仏教の国。
 そこは8万社が(ハラール)認証をとっています。
 日本ではまだ500社から700社くらい。
 日本はだいたい私から見ると30年遅れています。
 メイドインジャパンにプラス“ハラール”になってくると、
 とても大きなビジネスのブランドになる。」

300兆円のビッグマネーが動くハラールビジネス。
日本はメイドインジャパンの実力を発揮することは出来るのだろうか?

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