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今までのお話

#20

2012年8月12日

『一番酷い仕打ち』




閉鎖環境での生活も、ついに最終日。日記を書く者、成績表を見つめる者、受験者たちはそれぞれの想いを胸に、最後の朝を過ごしていた。

六太は、『宇宙飛行士にふさわしい2人』の選出方法について、ずっと考えていた。
『どーやって決めればいいんだ?』誰だって自分が一番宇宙飛行士になりたいと思っているに決まっている。5人の中からその2人を自分たちに決めさせることは、グリーンカードより何より一番酷い仕打ちだ、と。
そんな思考から逃れるように、六太はまた『コロコロ六太』へと変身する。六太が出した成績は、ダントツの最高記録だった。

時間は刻一刻と過ぎ、管制からいよいよ指示が出された。
『どんな方法でも構いません。2時間以内に2人を選んでください』

六太は結論が出せず迷い悩んでいた。非情に切り捨てるのではなく、運に任せるべきなのか、と。
『どっちが正しいんだ……? 正しい方法は……?』
ふいに、六太はシャロンの言葉を思い出す。
『迷った時はね――どっちが楽しいかで決めなさい』

「――ジャンケンで決めようか」

六太が提案した方法は、ジャンケンだった。一同が驚く中、いち早く古谷が反対する。古谷はこれまでやった全課題の成績を記録しており、ジャンケンには納得できないというのだ。そして、歯を食いしばって続けた。

「俺は……最下位や――最下位やったわ 俺……」

古谷の中で、もう2人は決まっていた。その名前を言おうとした時、六太が口を開く。
「やっさん、前にスルドイこと言ってただろ――ジャンケンを超える公平な方法はない――って」

この5人はジャンケンみたいなものであり、グーみたいなヤツ、チョキみたいなヤツ、パーのようなヤツがいるのだと。
「誰が一番強いか、答えを知ってるヤツいるか?」
ジャンケンで決める方法に納得したA班のメンバーは、それぞれ拳をかまえた。そして――。

『ジャンケン――――ホイ!』

ボックス内に、しっかりと、大きな声が響き渡った――。



#19

2012年8月5日

『さらばの前の日』




閉鎖ボックスでの生活も残り2日。B班では、それぞれ自分の好きなものについて談話していた。手島は異星の海洋生物を想像したデッサン、北村は今読んでいるSF小説、そしていつの間にか富井も加わり、みんな楽しげな表情を浮かべていた。
ケンジがうまくきっかけを作ったことにより、ギスギスしていた雰囲気が、ようやく改善されたのである。

『これでよかったんだ――最初から。終わる前に気づけてよかった』

そんなB班の様子を見ていた管制では――。
星加が満足気な言葉を漏らしていた。「これが、見たかった」星加は、ケンジか溝口、どちらがリーダーとしてB班の雰囲気を作り出すか、敢えて2人にはグリーンカードを出さずに待っていたというのだ。

「種明かしをしてやろう。2人にとっては――救いのグリーンカードだ」

一方、A班では。

「良いニュースと、悪いニュースと、あと、微妙なニュースがあります――どれから聞きたい?」

六太がみんなを集め、重大なことを発表しようとしていた。悪いニュースは、明日の食料がないこと。良いニュースは、六太が小麦粉と調味料を発見したということだった。

「これで明日はうどんが食えるぜ、みんな!」

楽しげにうどん作りをはじめるA班のメンバー。六太が、『作り方は天文学者・シャロンに教えてもらった』と明かすと、シャロンと親しいことに一同羨ましげな声をあげた。六太は感動した。なぜなら、子どもの頃天文台に友達を誘っても誰も興味を示さず、誰もついて来てくれなかったのだ。

様々な宇宙の話をしながら、六太は目頭を熱くする。

『ここにいたんだ――誘ったら、喜んでついて来てくれそうな連中が……――ここにいたんだ!』

しかし――……。

「そういえば――もう一つの微妙なニュースって?」

福田の言葉に、六太がゆっくりと、神妙な顔で答えた。

「……ニュースっていうより再確認で……明日、必ず……この中から二人、選ばなきゃいけない……」

楽しい時間には、限りがあったのだ――。



#18

2012年7月29日

『かぺ!けんじ!』




 閉鎖ボックスでの試験もあと数日。A班はグリーンカードの存在に気づくことができた六太のおかげで、もと通り和気あいあいとした雰囲気に戻っていた。だが食料不足という問題は続いており、ジャンケンで食事を取り合うことに。

「ジャンケンを超える公平な方法はあらへん。負けても文句言うなよ!」

古谷はそうハッキリとした口調で言うのだった。

 そして、ついに六太もグリーンカードデビューをすることになる。それは『唐突に叫びをあげ、ほかのメンバーを驚かせなさい』というもの。初のグリーンカードに張り切っていただけに、その内容にガッカリする六太。
「なんか俺のだけ方向性が違う……」

 一方B班では、――また新たな問題が起きていた。パソコンに記録していたテストの点数データが、すべて消えてしまったのだ。溝口はここぞとばかりに、ライバル視しているケンジを犯人扱いする。しかしケンジは、冷静に自分の意見を伝えた。

『2人選んでくださいとは言われたが、選ばれた2人が宇宙飛行士です、とは誰も言っていない――JAXAが見たいのは、誰かが選ばれた結果ではなく、どんなふうに受験者たちが選ぶのかっていうことだ』

と。その言葉に同じ班のメンバー・手島も賛同するが、溝口だけは違った。手島とケンジに、選ばれても辞退するよう迫ったのだ。

 溝口の横暴とも取れる言動に、険しい表情を浮かべるケンジは、ひとりバスルームにこもり、心を落ち着かせようと耐えていた。

『帰りたいって思うのは……俺だけか……?』

ケンジは、娘・風佳が自分を送り出す時に発した、『かぺー!』という言葉を思い出す。どんな意味だろうと考えていたところ、便座での排便に挑戦している風佳が、がんばれと言われ、それを反復するように『かぺ』と言いながらしていたことに気づいた。風佳の期待に、やる気をみなぎらせるケンジ。

「がんばれ、か……ちゃんと意味もわかってて――……しょーがない、かぺるしかないな!」



#17

2012年7月22日

『犯人はこの中にいる』




 閉鎖ボックス内・10日目の深夜。A班メンバーが寝静まる寝室に、突然けたたましいアラーム音が鳴り響いた。時計が壊される事件に引き続き、また問題が起きたのだ。古谷の明らかにおかしい行動にいち早く気づいた六太は、思考をめぐらせる。管制の見ている前で、福田や古谷が自らの夢を壊すような行為をするとは思えなかったのだ。そして、二人を信じた六太は、一つの考えにたどり着いた。

『となると、やっぱりこれは、JAXAの演出……』

 六太は思い出していた、NASAの施設内で知った『グリーンカード』のことを。グリーンカードとは、仲間のミスによるストレスをどうコントロールし、不測の事態をどう切り抜けるか、それを調べるために、チーム内で極秘にトラブルを起こさせるものだった。

 六太は、こっそりと古谷に質問する。

「正直者のやっさんに、1個質問――グリーンカードもらった?」

「……そ、それだけは答えられへん!」

 古谷が答えられないということは、紛れもなくグリーンカードをもらったということ。その答えを知るなり、六太はまっすぐ福田のもとに歩み寄った。「福田さん――よかった!」晴れやかな顔で硬い握手をする六太と福田。福田の行動は、すべてグリーンカードによる指示だったのだ。

 そんな中、新田はまだアラームを探していた。グリーンカードの存在をまだ知らず、一人モヤモヤする新田に、六太は言う。

「これだけははっきり言えるよ。この中には……悪い奴は一人もいない!」

 そんな六太の言葉のおかげか、A班はグリーンカードを乗り越え、楽しげな雰囲気が戻った。

 その翌日、A班にまた新たな問題が浮上する。せりかが個人的に食事を作りすぎてしまい、食料が最終日までもたなくなってしまったのだ。このことをせりかに打ち明けられた六太は、一人で勝手にグリーンカードのせいだと勘違いするのだった。

「どーりで大量に作ってると思った! ――悪いのはJAXAだ!」



#16

2012年7月15日

『アラームアリ時計ナシ』




 三次試験も後半。真っ白なパズルを組み立てながら、六太の心はモヤモヤしていた。

「分からない……このパズルみてーに、頭ん中が真っ白になりそうだ!」

 A班では、閉鎖ボックス内唯一の時計が、何者かの手によって壊される事件が起きていた。そしてその犯人が、みんなから慕われるリーダー・福田だということを、六太は目撃してしまったのだ。

 時間もわからず、班内の疑心暗鬼は強まるばかり。六太にも疑惑の目が向けられてしまう。

『チクショー…こうなったら、暴露してやるか……! 福田さんが犯人だって!』

 しかし――。福田が理由もなくそんなことをするだろうか?『いや……何か……ひっかかる……』そうこうしているうちに終了ブザーが鳴り、課題の時間が終わってしまった。

 課題後、六太は意を決し、福田を呼び出す。誰もいないところを見計らい、時計を壊した理由を福田に問い詰める。しかし福田は――。

「さあ……なんでだろうね。――もし君がその理由に気づいたら、その時は握手でもしよう」

 そんな風に答えを濁す福田の言動に、六太のモヤモヤは膨らむばかり。

 一方、ケンジのいるB班では――。連夜鳴り響くアラーム問題を解決するため、ケンジは一人通路で寝ていた。娘のことを想いながら課題の続きのパズルをはめていると――例のアラーム音が鳴り始める。飛び起きて、必死に音の出どころを探すケンジ。しかし見つけられない上に、ケンジを犯人と決めつけようとする溝口との仲が、険悪なものになってしまう。さらに、班内で新たな問題が勃発。なんとA班と同じように、唯一の時計が壊されてしまったのだ。

 管制では――。JAXA職員たちと星加が、いくつものモニターをチェックしていた。受験者たちがはめている手首のバンドからの情報で、心拍数や汗、ストレス情報が手に取るようにわかるのだ。日が経つにつれ、激しく変動する受験者たちの折れ線グラフ。星加曰く、『緑のアレ』の仕業らしいが――?

なぜなら、六太は昨晩見てしまったのだ、福田が時計を壊しているその姿を――!



#15

2012年7月8日

『宇宙の話をしよう』




 閉鎖ボックス内の合宿も後半をむかえる。六太たち受験者は、交代でボックス内にあるテレビ電話ルームへと入っていた。テレビモニターの前には医師がおり、一日に一回、個人問診を受けることになっているのだ。福田の番になると、医師は『古谷からプレゼントがある』と伝える。パスボックスを開けると、そこにはケースに入った眼鏡が置いてあった。古谷の気持ちを尊重した管制が、用意してくれたのである。

 その夜、ケンジのいるB班では――。真夜中だというのに、寝室にはけたたましいアラーム音が鳴り響いていた。みんなで解決策を探そうとするケンジ。だが、メンバー内で主導権を握ろうとする溝口は、犯人捜しに躍起になってしまう。意見がわかれB班の雰囲気は悪くなる一方。最終日に自分が選ばれるため、互いに争う形になってきてしまっていたのだ。

 翌朝。事件は六太のいるA班でも起きていた。唯一の時計がなくなっていたのだ。管制に聞いてみるも、『中で起こった問題は、自分たちで解決するように。』としか言われない。そしてようやく見つけるも、その時計はめちゃくちゃに壊されていたのだった。

 そんな中、真っ白なピースのジグソーパズルを3時間作業しろという課題が出される。時間もわからずなかなか進まない作業状況。イライラを募らせた古谷が口を開いた。

「誰やねん、時計壊したやつ。」

 犯人は名乗り出るはずもなく、空気は険悪なものになってしまう。しかし、それを打破するように六太が立ち上がった。

「宇宙の話をしよう――もっと宇宙飛行士気分でいこうぜ。」

 六太はさらに続ける。もし火星へ行く船の中で時計が壊れたとして、その時自分たちはどう行動するのか、それを見るためにJAXAの人が壊したのだと――。

 だが、そう言いつつも六太の頭の中は混乱していた。

『できれば俺が言った通り、JAXAの人が犯人ならよかった……!』

 なぜなら、六太は昨晩見てしまったのだ、福田が時計を壊しているその姿を――!



#14

2012年7月1日

『壊れたメガネと足の裏』




 閉鎖ボックス内の合宿が5日目ともなると、各班にも性格が現れてきた。C班は穏やか、六太がいるA班はにぎやか、しかしケンジのいるB班だけは、微妙に険悪なムードが漂っていた。頭脳明晰なメンバーが集まっているB班は、互いのプライドが邪魔をしてしまい、心に壁ができてしまっていたのだ。だが、楽しげに過ごしていた六太たちA班にも問題が起きる。福田の眼鏡を古谷が誤って壊してしまったのだ。しかし福田は笑顔を見せる。

「いや……大丈夫だよ。なくても大して影響はない。」

 福田は眼鏡がないまま、必死に課題をこなしていた。最年長である自分が宇宙飛行士に選ばれるためには、若い受験者よりも同等以上であることが最低条件だと思っていたからだ。隠れて息を整え、子どもの頃からの夢を想う福田。有人ロケットを作って、それに乗って宇宙へ行くという大きな夢は、いまも福田の中で輝いていたのだ。

「胸を張れ! ここまで来たんだ。自分の年なんて忘れよう! ――私の夢は、年を取っていない!」

 一人頑張り続ける福田を六太たちは心配し続けていた。そして古谷も、福田に謝れないでいた。素直になれない古谷は、福田がロケット開発に携わっていたことを有利だと言い放つ。

「俺はあの人別に不利だとは思わへん。ハンデつけてようやく今水平ラインや。」

 しかし、せりかは異論を唱える。福田は今回の宇宙飛行士の募集が発表された時、すぐに会社を辞めたと聞いていたからだ。今の地位も捨てられるほど、今回の選抜試験にかけているのだと。

 その夜、古谷は監視カメラの前で紙を広げた。その紙には『福田さんの新しいメガネを用意してください。お願いします』と書いてあった。一礼し、自分の足を見る古谷。そして軽く2、3度床を踏むと、その感触を確かめた。

「なぁんや……こんなことで、消えんのかい。」

 素直になれたことで気分が軽くなったのか、ずっと残っていた眼鏡を踏んだ時の感触が、ようやく消えたのだった――。



#13

2012年6月24日

『3次元アリ』




 せりかに下の名前で呼んでもいいと言われ浮かれる六太。さっそく呼ぼうとした瞬間――遮るように現れたのは、今までトイレに入っていた新田だった。

「ちょっとそこ通してよ、……お兄ちゃん。」

 自分を『お兄ちゃん』と呼ぶ新田に対し、ムッとする六太。しかしすぐにニッと親指で自分を指すと、軽やかな笑顔を浮かべた。

「おい、新田君! 俺のこと……下の名前で呼んでくれていいんだぜ? 別に気に入ってないけど。」

 少しの間、無言で六太を見る新田だったが――。

「わかった――次の課題で俺に勝てたら……呼んであげるよ、……お兄ちゃん。」

 次の課題は、ランニングマシンで走りながら5分間で計算問題を何問解けるかという『計算ランニング』だった。この課題で新田に勝ち、下の名前を呼ばせたい六太は、唯一の特技・エアそろばんで挑む。しかし結果は惨敗。そろばんをリアルに再現しすぎてしまい、走っている最中動いてまったく使い物にならなかったのだ。

「普通に計算した方が早かった……」

 うなだれる六太に対し、新田は余裕の表情。

「残念だな、お兄ちゃん。……また明日、勝負してあげるよ。」

 何も言い返せない六太、悔しげな表情で――。

「くそう……負けねえぞ新田……! この2週間以内に絶対……『ムッちゃん』と呼ばせてやる!」

 さらに続く課題は――難題だった。『多額の予算がかかる宇宙開発事業を非難する辛口キャスターを納得させられるような文章をつくれ。』というものだったのだ。みんなが悩み考える中、六太は白紙にスッと一本の線を引くと、その線をじっと見つめた。子どもの頃日々人と聞いた、宇宙飛行士・野口聡一さんの『3次元アリ』の話を思い出していたのだ。そして色々考えた結果、六太が出した文章は『白紙』。『抗議はしない。』という答えを出したのだ。

「日々人がいる。もうすぐ、日々人が月に立つんだ。」

誰に批判されたって、日々人が帳消しにしてくれる。そう確信したゆえの六太なりの答えだった――。



#12

2012年6月17日

『私の名前は伊東せりかです』




 A・B・C班、それぞれの閉鎖ボックス内で出された最初の課題は、『いま何時でしょう?』というクイズ。だがA班のメンバーは早々に意見が分かれてしまう。福田・せりか・新田・古谷の4人がAM6時頃と答える中、六太だけはAM3時頃と答えたのだ。しかし六太は勝算がある様子でエアそろばんを弾き発言する。

「実は俺、みんなの知らない数字を知っているんだよね。」

 六太は『バスが走った距離』を知っており、時速も体感でわかるため間違いないと断言したのである。それを聞いた福田やせりかは関心するが――……六太の心中は複雑だった。

『ま、まただ……。またやってしまった』

 実はアメリカのテレビ番組に出演したときのように、六太はまたカッコつけるべく、逆算してまでウソ話しをでっちあげたのである。本当はメーターなんて見ておらず、運転手のヅラを再確認したとき、たまたまAM2時を表示しているバスの時計を見ただけなのだ。管制から発表された正解は、六太の言った通りAM3時8分。
『なあ、教えてくれよオジー。これも……俺の実力ですか……?』

 閉鎖ボックス2日目。食事を終えた各班は、最終日にどうやって2人を決めるかを話し合っていた。B班は点数制、C班は投票箱に毎日MVP2人の名前を投票する方法、A班はまだお互いのことを知らないため、誰がふさわしいか自然とわかるまでは決めないということになった。

 A班のメンバーは、まずお互いを知るため、改めて自己紹介をすることにした。和気あいあいの空気に気が緩んだのか、六太に『せりか』と下の名前で呼ばれたせりか。ふと、小学校の頃、自分の名前の意味を父に尋ねたことを思い出していた。『せりか』という名に意味はないが、とても大切につけられた名だということを――。

 照れを隠しながらも名前をほめてくれた六太に対し、せりかは『せりか』って呼んでくれていいですよと伝えるのだった。
「自分の名前、気に入っているんです。」と。



#11

2012年6月10日

『閉じ込められたライバル達』




 六太たち受験者を乗せた閉鎖バスは、ようやくその目的地へと到着していた。そこはまたしても、外の様子が見えない不気味な場所。しかも出発から何時間たったのかまったくわからない状況に、一部の受験者たちは不安を募らせていた。

 やがてJAXA職員・鶴見に先導され、『最後の部屋』と呼ばれる空間にたどり着く六太たち。そこで見せられたのは、月面から帰還するブライアンら宇宙飛行士3人が事故に遭い、亡くなるまでの衝撃的な映像だった。受験者たちは『宇宙飛行士にとって事故に遭う可能性はゼロではないこと』、『彼らのように死を受け入れ、行動し続ける覚悟があるかということ』を再認識・再確認する。
六太も決意を固め、配られた免責書に『南波六太』と署名した。
「俺は……死にたくはない! だけど……もうやることは決まっている。死ぬのは嫌だが――死ぬまでに宇宙へ行けないって言うのは、もっと嫌だ。」

 全員が署名し、今度は5人一組、A・B・C、3班に分かれることになった。これから班ごとに別の閉鎖環境ボックスに入り、そこで2週間、管制から与えられる様々な課題に取り組んでいくのだ。そして最終日には、各班互いに話し合いをして、全員意見一致のもと、5人の中から2人だけ宇宙飛行士にふさわしい者を選ぶのである。

 六太のいるA班のメンバーは、せりか、福田、新田、古谷。閉鎖ボックスの中へ入ると、早速、最初の課題が出された。それは、『5人で話し合い、現在の時刻を推測して時計を合わせろ』というもの。制限時間が10分ということもあり、さっそく各々の答えを発表したのだが、六太の答えだけは、ほかの4人と違っていた。皆が計算しAM6時頃と答える中、六太だけはAM3時と答えていたのだ。新田と古谷がその計算方法を問い詰めたところ、頭をかきながら発言する六太。

「そんな計算いらないんだよね。」

なぜ六太はAM3時と回答したのか、勝算はあるのだろうか――!?