今回は俳優の阿藤快が、山口県下関市を旅する。まずは下関港の国際ターミナルで、韓国・釜山からフェリーでやってきた韓国人たちに声をかける。コリアンタウンでもある「グリーンモール商店街」で本場のキムチを試食し、「とんちゃん鍋」と呼ばれる名物料理をいただく。「唐戸市場」では辛子明太子を扱う店主から、下関が辛子明太子の発祥の地で、そのルーツが韓国にあるという話を聞く。続いて下関港から船で向かいの門司港へ渡り、異国情緒漂うレトロな町を人力車で散策する。さらに下関の夜の街へ繰り出し、この道50年という流しの演歌師の、歌とギターに酔いしれる。
旅のはじまりは、下関港の国際ターミナルから。下関と韓国・釜山の間には関釜フェリーが定期運行されており、港は多くの韓国人たちで賑わう。阿藤は入国手続きを済ませた彼らに声をかけ、阿藤流の国際交流をはかる。
下関駅前にある「グリーンモール商店街」は、かつてこの地に移住した在日韓国人を中心にした商店街だ。韓国料理店をはじめ、韓国の日用品や食材、衣料品店などおよそ100店が連なり「リトル・プサン」とも呼ばれている。連絡船でやってくる人々には、商店街に品物を運ぶ“ポッタリさん”と呼ばれる行商人も多い。阿藤はポッタリさんの一人に話を聞き、商店街のなかの一軒「昌山商店」を訪ねる。女将のリャン・クィジャ(昌山貴子)さんが、韓国食材やキムチを売っている。リャンさんが漬け込む本場のキムチは、日本製とは一味も二味も違うとか。阿藤はさっそく試食をさせていただく。
戦後にこの商店街で生まれた料理がある。「とんちゃん鍋」と呼ばれるもの。豚のホルモンをモヤシなどの野菜と一緒に味噌とコチジャンで焼き、さらにしみ出た水分で煮込む料理だ。いまは牛ホルモンを使うことが主流だそう。阿藤は老舗焼き肉店「やすもり」の店長・原田輝さんから、とんちゃん鍋の由来を聞き、その味を堪能する。
続いて下関市で一番の賑わいをみせる「唐戸市場」へ。新鮮な魚介類や加工品が並び、週末は多くの観光客が訪れる市場だ。その一角にあるのが辛子明太子を中心に扱う「林商店」。社長の林憲志さんによると、辛子明太子のルーツは実は韓国にあり、それが下関に伝わったそう。韓国語で明太子の親・スケトウダラを「明太(ミョンテ)」と呼ぶことから「明太子」という呼び名になったと言われている。そして阿藤は林さんが取り組んでいる「究極の辛子明太子」について話を聞く。2年の試行錯誤を経て生み出された究極の味とは、一体どんなものなのか――?
次に下関から関門海峡を船で渡り、向かいの門司港へ。異国情緒漂うレトロな町で、人力車に乗って洋館巡りを楽しむ。
さらに阿藤は下関の夜の街へ繰り出す。唐戸地区にはカウンター越しにマスターや女将さんと顔を合わせながら、見知らぬ客同士が意気投合し、会話を弾ませるような昔ながらのバーや飲み屋が残っている。その界隈で阿藤が出会ったのは、流しの演歌師。お客さんから「キー坊」の愛称で呼ばれている笹野清さん(70歳)だ。笹野さんは50年近くギターを担いで店を回り、奥さんと子ども3人を養ってきた。店の扉を開けて挨拶しながら空気や状況を読み取り、雰囲気やお客さんの懐具合を察して野暮はしないのが流儀だという。阿藤は国際色豊かな港町・下関の旅を振り返りながら、笹野さんの歌とギターに酔いしれる。