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『道浦TIME』

新・ことば事情

7236「寿詞(よごと)のアクセント」

10月22日、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が行われました。

その際、高御座(た/かみ\くら)の中の天皇陛下に対して、国民を代表して首相がお祝いの言葉を述べます。それを、

「寿詞(よごと)」

と言うそうです。知りませんでした。その「よごと」のアクセントは、

「ヨ\ゴト」(頭高アクセント)

「ヨ/ゴト」(平板アクセント)

のどちらか?と「ミヤネ屋」のナレーター・中矢さんに質問を受けました。私は、

「ヨ/ゴト」(平板アクセント)

だと思いますよ、と答えました。「ヨ\ゴト」(頭高アクセント)だと、

「夜毎(よごと)」

と同じアクセントになってしまいますからね。この言葉はアクセント辞典にも載っていませんでした。ツイッターにこの話を書いたところ、

「YouTUbeに、平成2年の現・上皇さまが『天皇に即位』した際の、当時の海部俊樹首相の『寿詞』についてNHKのアナウンサー(たぶん石戸谷アナウンサー)がしゃべってますよ」

と教えていただき、実際にその映像を見てみました。「1990年(平成2年)11月12日」、NHKの男性アナウンサーは、海部首相がお祝いの言葉を述べる前には「2回」、

「ヨ\ゴト」

「頭高アクセント」ではっきりと言っていたのですが、海部首相の「寿詞」が終わったときには、

「海部総理の『ヨ/ゴト』でした」

「平板アクセント」で読んでいたのです。アクセント、どっちやねん?

また「正殿」を、このNHKアナウンサーは、

「セ\イデン」

「頭高アクセント」で読んでいました。これは、宮内庁関係者などのアクセントと同じです。

ことし4月の用語懇談会の放送分科会で、この関連の討議があったので、その部分を張り付けます。

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(テレビ東京)皇居の「宮殿」の読み方・アクセント。「キュ\ーデン」と「頭高」だと言われるのだが、「NHKアクセント新辞典」には「平板」の「キュ/ーデン」しか載っていないが、各社どうされていますか?

(MBS)「キュ\ーデン」という「頭高アクセント」は「宮内庁の発音」に合わせているのだろう。

(テレビ東京)その通り。

(テレビ大阪)「和風総本家」のナレーションで「キュ\ーデン」と「頭高」で読んだら、視聴者から「キュ/ーデン(平板)ではないのか?」と問い合わせがあったことがある。宮内庁に「どちらが正しいのか?」と問い合わせたところ「どちらが正解とも言えない」と。「では、『キュ\ーデン』と『頭高』で言う人はいるのか?」と聞いても「答えられない」とのことだった...。

(日本テレビ)うちでは「宮殿」も「正殿」も「平板」で「キュ/ーデン」「セ/イデン」としている。宮内庁や皇族・皇室には「上方(京都)のアクセント」が残っているので、「頭高」の「キュ\ーデン」「セ\イデン」になっているのではないか?

(テレビ朝日)ちなみに「正殿」の読みは「セイデン」だが、伊勢神宮のみ「ショーデン」だ。

(MBS)うちは、「"座"禅」と書いたら「うちの宗派では『"坐"禅』だ」というクレームが来たことがある。一般的には「"座"禅」だろう。

(MBS)そもそも日本に「宮殿」はなかった。明治以降のことだ。それ以前は「宮殿」と書いて「くうでん」と読んで、仏壇の中に入れる「厨子(ずし)」のことをそう呼んでいた。明治以降使うようになった「きゅうでん」という呼び方を、「くう」ではないと強調するために、「頭高」で「きゅう」を強調して「キュ\ーデン」と呼ぶのではないか?

ということでした。

(2019、10、23)

2019年10月23日 20:00 | コメント (0)