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『道浦TIME』

新・読書日記 2019_099

『テレビドラマでわかる平成社会風俗史』(影山貴彦、実業之日本社:2019、7、10)

著者の影山さんは、元・毎日放送のディレクターで同志社女子大学の教授。私より1つ年下で大学の1年後輩だが、1年前に初めてお会いして一緒に飲んだ、という関係。その後フェイスブックなどではご活躍の様子を拝見しているが、この度、このような本を出されたということで、さっそく買って読んでみた。

「平成」という時代30年あまりを、「テレビドラマ」を背骨として読み解いていく一冊。新書ですし200ページ足らずなので、それほど深くは突っ込んでいない。それよりも「通史」として「平成全体の流れ」を捉えている一冊で、「そういえば、そうだったよなあ」と時代の流れがわかる一冊。

私が思うに、大きな変換点に立つ番組は、1996年のフジテレビ「ロングバケーション」。木村拓哉と山口智子の主演。実はこの番組では「電話」がまだ「イエデン」、つまり家にある「固定電話」で、「携帯電話」は使われていない。留守番電話に録音したものの、聞かれていなくて「すれ違い」が生じるということが、話の大きなポイントとして使われている。今では考えられない。いや、地下街に入っていたり、「電源が切られているか、電波の届かない範囲にいる」等のケースはあるので、表現方法が変わっただけかも。しかし、我々の身の回りの「生活道具」の変化が、ドラマにも大きな影響を与えるという意味で、「ロングバケーション」は「昭和」のドラマであったと、私は考えている。本書ではそういったあたりにもチラッと触れているが、びっくりしたのは最新の「3年A組」や「私、定時に帰ります」についてまで書かれている点だ。もう「週刊誌」感覚の最新情報である。もちろん、見たことがない番組もあったが、大体はわかった。

1か所だけ誤植。51ぺ―ジ、グルメドラマで、料理のプロを目指す若者の・・・

×「修行」→〇「修業」

でしょうね。「職業」だから。ぜひ重版をかけて、修正してくださいね!


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(2019、7、10読了)

2019年7月18日 12:00