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『道浦TIME』

新・ことば事情

7178「外国人材」

ことし4月の「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改正で注目されている、

「外国人労働者」

のことを、

「外国人材」

と呼ぶことがありますが、何だか、あまり良いイメージがありません。侮蔑的なイメージがします。「人間」として、というよりも、

「労働力だけが目当て」

という感じです。「外国人労働者」と「外国人材」の使い分けがあるのでしょうか?

これに関して、5月に新潟で行われた新聞用語懇談会春季合同総会で質問しました。

それに対する各社の意見は、以下の通りです。

(時事通信)データ検索で「外国人材」は「214件」出て来た。使い分けはしていない。

(読売新聞)使い分けはしていない。「外国人材」はかなり使っている。これは主観の問題ではないか。「外国人労働者」と言うより「外国人の"人材"」のほうが"頼れるイメージ"がある。

(フジテレビ)入管法改正に絡んで出て来た新しい言葉だが、私も道浦さんと同じことを感じた。あまり耳に聞こえの良い言葉ではない。「極力、使わないようにしよう」と、弊社の政治部長と話した。とはいえ、政府の会見で「外国人材」と出て来てしまうのだが・・・。

(フジテレビ)昔、プロ野球で「外人選手」と言っていたが、きっちり「外国人選手」と言うようになったのと、似ているかもしれない。

(MBS)「ガイジン」が「害人」というイメージで使われていたので、嫌われた。

(読売テレビ)「ジョン損」「トマ損」というのもあった。

(北海道新聞)「外国人労働者」からの方針転換をするに当たって、新しい呼び名でイメージを変えるため、「新しい人材」という言い換えのニュアンスを出そうとしているのではないか、という話が出た。「FTA」(自由貿易協定)を「TAG」(日米間で物品貿易協定)と言い換えようとしたのと、似ているのではないか?あの呼称は、立ち消えになったが...。

といった意見が出ました。

(2019、7、5)

2019年7月 5日 17:46