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『道浦TIME』

新・ことば事情

7174「ビイル」

先月の新潟出張で見つけた「風味爽快ニシテ」という地元のサッポロビールのラベルには、

「新潟限定ビイル」

という表記が。

20190621.jpg

普通は、

「ビール」

というように「長音符号」(「-」)で引っ張りますよね。でもこれは

「イ」

という表記を使っていて、ちょっと「レトロ」な感じがしました。

でも、昔は本当に「ビイル」と書いたのかな?と思って、少し古めの本を読んでみることにしました。そのうちの一冊は、

「太宰治」の『ろまん燈籠』」(新潮文庫:1983、2、25第1刷・2004、8、30第25刷)=「2019読書日記075」で、そこに、

「ビイル」(15・188・218・219・236・237・238)

が出て来ました!(数字はページ数)

その他の「長音符号を使わない長音」も記しておきます。

モンテエニュ(11)

ゲエテ(11)

ホオムズ(19)

セエタア(31)

デリカシイ(40)

ピアノのキイ(52)

モオツアルト(52)

メンデルスゾオン(52)

アアメン(52・53)

ウイスキイ(66)

ロオマンス(66)

ミルクホオル(70)

電車のレエル(71)

シルレルの詩(74)(=ベートーベンの「第九」の歌詞「歓喜の歌」を書いた「シラー」)

二階のホオル(78)

外国のサアカス(78)

バアナアド・ショオ(84)

ビヤホオル(85・188)

ヴェルレエヌ(97・98)

ファン・レタア(132)

純白のシイツに寝る(154)

タキシイ(155)

ラジオニュウス(164)

重大なニュウス(165)

クリイム(167)

銀座裏のバアの前(179)

ニイチェ(183)

つぎのペエジ(183)

ウィスキイ(186・189)

ビエルなど東北訛りが(188)

店のカウンタア(189)

モオニング(249・250・251・252)

ユウモア(260)

そういえば、小林秀雄のエッセイのタイトルも、

「モオツアルト」

だったなあ。「-」を使わないと、

「のんびりした感じ」

がしますね。

(2019、6、20)

2019年6月21日 09:11