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『道浦TIME』

新・ことば事情

7021「果たて」

12月14日の「ミヤネ屋」で、宮内庁の文化祭の話題を取り上げました。一般には公開されていないそうですが、天皇皇后両陛下をはじめ、皇族の方々の作品も展示されているそうです。その中で、皇后さまが出されたお歌は、

「君とゆく 道の果たての 遠(とほ)白く 夕暮れてなほ 光あるらし」

というもの。

来年(平成31年=2019年)4月末での退位(譲位)を控えられた天皇陛下に、昭和34年(1959年)の皇太子時代から60年近く、ずっと寄り添って来られた皇后・美智子さま。陛下が「天皇」の務めを無事果たされて「上皇」になられても、

「夕暮れて なほ 光あるらし」

という未来を見据えた、素晴らしいお心ざしを感じさせるお歌ですよね。あの、

「志を果たして いつの日にか帰らん」

という「ふるさと」の3番の歌詞を髣髴させるような・・・。

この中の「道の果たての」の、

「果たて」

という言葉は、初めて知りました。「はたて」と読みます。辞書を引くと、

「果て」

と意味は同じで、用例は何と「万葉集」でした。古くからある言葉なんですね。勉強になりました。

よく考えたら「果て」も、

「果つ」の語幹+「(方向を意味する接尾語)て」→「果」+「て」=「果て」

「て」は「行くえ」の「え」と同じ「方向」の意味でしょう。

(「果てる先」→)「果たて」→「果て」

と変化して来たのではないでしょうかね。

(2018、12、14)

2018年12月15日 19:22 | コメント (0)