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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_137

『ルポ 川崎』(磯部涼、CYZO(サイゾー):2017、12、26初版・2018、3、20第5刷)

「川崎」

という所に行ったことが無いので、全く知らないが、よくニュースで出て来る。いろいろな「事件」が起きる。また「川崎か」と。一体どんなところなんだろう?と惹かれて、この本を読んだ。「ルポ」である。

著者は1978年生まれ。今年40歳のまだ「若い」、というか脂の乗ったライターさんだ。それも本職は「音楽ライター」とうことで「社会派」というわけでもない感じなのだが。

彼もまた、このルポの雑誌への連載を始めたきっかけの一つは、2015年2月20日に川崎市川崎区の多摩川の河川敷で、全裸の中学1年生の遺体が見つかった事件。1週間後に警察に出頭してきたのは、主犯格の18歳の少年と共犯17歳の少年2人。

なぜ、こんな事件が起こってしまったのか。

それを探る取材が始まった。

そして行き着いたのは、確かに過去のこの土地の持つ歴史・性格・生活。そして、その中から生まれて来たヒップ・ホップなど新たなグループの活躍。音楽ライターらしい視点だと思う。明るい面・暗い面、両方が見えて来る。

しかし、個人的にはラップとかスケボーとか、全く私は興味が無いので、よくはわからないまま、読み終えたという感じでした・・・。こういう街もあるのだな、としか。

とここまで書いてから、本屋さんでたまたま見つけた雑誌「VOICE」の11月号(最新号)に、著者へのインタビュー記事が大きく載っていた。注目の一冊なんだね。

それと、関西には「川崎」と名前のよく似た、

「尼崎」

がちょっとイメージがかぶるかもしれないが、ともに風土が似ているのではないか。

「川崎」=かつて「日本鋼管」という大企業の工場と労働者がいた。東京と港町・横浜に挟まれた街。

「尼崎」=かつて「川崎重工」「神戸製鋼」という大企業の工場と労働者がいた。大阪と港町・神戸にはさまれた街。

3年前に訪れたスペインのバスク地方にある街・ビルバオは、ニューヨークのグッゲンハイム美術館を誘致することで「造船業の街」から「現代美術の街」へと転身した。

川崎は「ヒップポップ」という「音楽」で、そういった転身を図れるのだろうか。



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(2018、10、9読了)

2018年10月12日 18:28 | コメント (0)