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『道浦TIME』

新・ことば事情

6944「安平町、厚真町」

9月6日午前3時8分、北海道の胆振(いぶり)地方を震源(震源の深さ37km)とする過去最大の、

「マグニチュード6、7」「震度6強」

(午後3時半の気象庁の会見で、厚真(あつま)町は「震度7」であったと発表)

の強い地震が起こり、6日午後3時半現在で4人が死亡、北海道全域295万戸が停電に陥っています。この、

「胆振(いぶり)地方」

については「平成ことば事情6011胆振支庁」で書きました。

その「追記」を読むと、実は、

「2016年6月16日」

「胆振地方」の内浦湾で「震度6弱」(マグニチュード5、3)の地震が起きています。そのときの震源の深さは「11km」と浅いものでした。また、揺れの範囲もかなり限定的でした。そんな地震あったっけ?...思った瞬間に思い出しました、あったあった、北海道新幹線の終点の所あたりで、あまり人も住んでいない所だったような気がします。

今回は、同じ「胆振地方」が震源でも、揺れの範囲は「北海道全域」と広かったです。

亡くなった方に哀悼の意を捧げるとともに、安否不明の方の無事と、一日も早い復旧を願います。

ところで、震源地の「町の名前」ですが、

「安平(あびら)町」と「厚真(あつま)町」

北海道の地名ですから、おそらくもともとは、

「アイヌ語」

だろうと思います。そこで、「アイヌ語ではどういう意味なのか」を調べてみました。(「ウィキペディア」で検索しただけですが)それによると、

*「安平(あびら)」=アイヌ語であるが諸説あり、「アラピラペッ」(一面・崖の・川)、「アラピラ」(片側・崖)、あるいは「アビラ」(光る崖)などがある。

*「厚真(あつま)」=アイヌ語の「アットマム」(向こうの・湿地帯)に由来するとする説と、「アトマプ」(オヒョウニレ・ある・もの・場所)とする説などがあるが、古い地名であり、特定は困難な状況である。

だそうです。「あびら」は「崖」なんですね。

そして、停電の原因となったのは、

「苫東厚真(とまとう・あつま)火力発電所」

が送電できなくなったこと。この発電所だけで、全道の半分の電力を送電しているのだそうです。「苫東」の「苫」は、

「苫小牧(とまこまい)」

ですよね。この語源も調べてみました。

*「苫小牧(とまこまい)」=かつて苫小牧川が流れる一帯を「マコマイ」(アイヌ語で「山奥に入っていく川」)と呼んでいた。さらに、沼のあった旧・樽前山神社付近をアイヌ語で「沼」の意味がある「ト」の字をつけて「ト・マコマイ」と呼んでおり、これが「苫小牧」の語源になったという説や、「マコマイ」川の旧河道・河口を指す「トゥマコマイ」を語源とする説もある。文献上の初出は、松浦武四郎の「初航蝦夷日記」中に出てくる「トフマコマフ」とする地名。その後、1869年(明治2年)に勇払郡を統治した高知藩がカタカナで「トマコマイ」と表記し、さまざまな漢字か当てられたが、1873年(明治6年)2月に「苫細」と漢字表記される。1874年(明治7年)8月20日に字名を「苫細」から「苫小牧」に改めたという。一般的に「牧」は「まい」とは読まないので「苫小枚」とすべきところだが、開拓使東京出張所庶務課の「小牧昌業」が「細」を「小枚」と修正する際に誤って、書き慣れている自分の名字の「小牧」を記入してしまったという説がある。

おもしろい!勘違いから生まれた可能性があるのか!

「牧」と書いてなんで「マイ」と読むのかな?と、昔から疑問に思っていましたが、

「小牧さん」

が原因かもしれないのかあ・・・。「アイヌ語の漢字の当て字」は、難しいですね。

(2018、9、6)

2018年9月24日 18:29 | コメント (0)