Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2017_147

『安藤忠雄展~挑戦』(安藤忠雄:2017、9、27)

東京・六本木の『国立新美術館』で9月から12月18日までやっている「安藤忠雄展」。

たまたま東京出張で時間が空いた折りに見て来ました。巨匠の「挑戦の軌跡」と「未来への展望」を、「原点/住まい」「光」「余白の空間」「場所を読む」「あるものを生かしてないものをつくる」「育てる」という6つのセクションに分けて紹介していました。結構混んでた。

中でもインスタレーションで、実際に造ってしまった「光の教会」。以前、その建設に至る経緯の本を読んだことがあったので、見たかったのです。

「実物は大阪にあるんだから、そっちを見に行けばいいのに・・・」

と、自分で思いながらも、見てしまって「ああ、なるほど」と。

img147.jpg

全体の印象は「壁」。安藤忠雄の建設・建物は「壁」を作っている。その意味では「メキシコとの国境に壁を建てる」というトランプ大統領の考えが、ちょっとわかったような気がします。つまり「壁」を作ったり「地中」に建物を作るのは、

「人間の住まいは。まずは『守り』」

という考え方。自然の脅威や外敵から身を守る。そのためには「壁」」が必要なんだと。

よく見ると安藤の建築物は「城壁」のようです。安藤忠雄は、「壁」を作っているんです。特に初期の頃は。

そして、コンクリートは開口部が狭い。だから光の取り入れが限定的。だからこそ、それを生かす工夫が必要になる。「壁」に不可欠なのは「窓」なのです。「窓」とは、閉ざされたスペースに、外部から光や空気を取り入れる入り口。「壁に囲まれた建物=自己」だとすれば「窓」は「心の窓」と言われるように、「外界=社会」とのつながりを求めるもの。

最後は「自然の中に、人間はいかに住むのか」「歴史の中でこれまでの人類が築いてきたものと、どう折り合って行くのか」という「共生」という考え方が浮かび上がってきたような気がします。

この展覧会の概略を、綺麗なカラー写真で余すことなく収録している、この一冊が2000円は安い。しかも、安藤忠雄さんの自筆サイン&イラスト付き。売店では購入まで15分、列に並びました。

「光の教会」の写真3枚は、この本の物ではなく、私がスマホで撮影したものです。


star4_half

(2017、12、3読了)

2017年12月13日 18:26 | コメント (0)