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『道浦TIME』

新・ことば事情

6533「南港に沈めたろか」

いつも新しい言葉の疑問・情報を教えてくれるMアナウンサーが、食堂で会った時に、こんな質問をして来ました。

「よく、ドラマとかでヤクザな登場人物が、

『南港に沈めたろか!』

って、大阪だと言うじゃないですか。あのセリフっていつから『南港』なんですかね?他の土地でも、そういった地名が出て来るんでしょうか?」

うーん、少なくとも40年前には聞いたことがあるような気がします。

調べてみると、「大阪港の改修工事」は、明治30年(1897年)に、オランダ人デ・レーケによる「大阪港と淀川河口の改修を一体化する案」を基に、安田財閥(安田善次郎)の支援で着手され、昭和4年(1929年)に第1次修築工事が完成。その後、昭和9年(1934年)の室戸台風、昭和19年(1944年)の東南海地震、昭和21年(1946年)の南海地震で甚大な被害を受け、その都度、復興修築が行われました。

その後、昭和32年(1957年)の大阪港の改修計画によって、

「南港の埋め立て計画」

が位置づけられ、昭和33年(1958年)に埋め立て工事に着手。昭和42年(1967年)に南港を商港化・コンテナ港化する「大阪港整備第二次改訂計画」が策定されました。昭和59年(1984年)には関西電力の発電所用地が南港南埠頭に変更され、昭和60年(1985年)に、南港北地区に「テクノポート大阪」の基本構想が策定されています。つまり、昭和の初めからずっと開発計画の対象となって来て、昭和30年代から「埋め立て」が、さらに昭和50年代末からは現代につながる開発が進んだ地域なんですね。結構、歴史がありますね。

またこういったセリフは、もしかしたら「吉本新喜劇」あたりで使われ始めたのかも?という意見も出ました。グーグル検索では(10月26日)、

「南港に沈めたろか」=1270件

「南港に沈めたる」 = 991件

「南港に沈める」  = 727件

「南港に沈めてやる」=2940件

でした。東京だと、

「東京湾に沈めてやろうか」

なのかなあ?

その話題が出た日の10月17日の日本テレビ・森富美アナウンサーが読んでいたニュースで、「振り込め詐欺」の「受け子」をやらせていた16歳の少年が、グループから逃げようとした際に、その少年に暴行を加えた罪で、別の少年らが逮捕されたというニュースで、

「次、とんだら、埋めるからな」

と言っていたと報道していました。海や川がない所では、

「埋める」

なんですね。怖いなあ、どちらも。「どこへ」埋めるんでしょうね?山?林?森アナウンサナーが読んでいたから、森?

そして、ちょうどこの日に読み始めた佐藤優さんの、

『学生を戦場へ送るには~田辺元「悪魔の京大講義」を読む』(新潮社:2017、7、30)

という本の20ページに、以前、ロシアと「カニの洋上取引」をやっていた漁船でロシア語の通訳をしていたという、佐藤さんの外務省の後輩が、

「佐藤さん、二年もやってると余計なことを知り過ぎた気がする。そのうちオホーツクに突き落とされそうだ」

と言っていたという話が出て来ました。

北海道のそのあたりでは、

「オホーツクへ突き落す」

んだ・・・。コワッ。

(2017、10、19)

2017年10月27日 10:10 | コメント (0)