Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

6523「我が国の読み方2」

10月10日の、朝のワイドショーのニュースを見ていたら、女性キャスターが、

「我が国」

という言葉を、

「ワガコク」

と読んでいました。久々に聞いたな。もちろん、正しくは、

「わがくに」

ですね。

「平成ことば事情4221我が国の読み方」では、日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会編『放送で気になる言葉・改訂新版』(2003の64ページには、「わが国」について、

「『わが輩』『わが友』などと同様、文語的な言葉でもあり、発言の引用などはやむを得ないが、なるべく『日本』を使うようにする。」

と記されていると書きました。(その後、改訂版として出された、同じく日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会で出した『放送で気になる言葉2011』でも、63ページに全く同じ言葉が掲載されています。)

ということで、あまり放送では「我が国」を使わないので、慣れていなかったのかもしれません。『NHKことばのハンドブック第2版』の217ページにも、「わが国」について記されており、それによると、

「『わが国』は、文語調のことばであり、やや主観の入ったことばと受け止られるおそれもあるので、ニュースなどの客観的な報道では、原則として使わない。(例)わが国の経常収支は・・・→日本の経常収支は・・・・」

どおりで、最近あまり放送では耳にしませんね。昔はよく耳にした気がするけど。

逆に「日本」のことを、

「この国」

ということがあります。司馬遼太郎のエッセイ、

「この国のかたち」

のような場合で、故・筑紫哲也さんや、その出身母体の「朝日新聞」も、よく「この国」という表現を使うような気がします。これは、

「客観的な感じ」

がしますね。自分も「日本人」で「日本」の一員なのに、あえて距離を取ったような感じ。それに対して「わが国」は、「我が家」同様「一体感」と言うか、「愛国心」を感じるというか、

「主観的な表現」

であることは間違いありませんね。でも、読み方を間違えちゃいけないな。

(2017、10、24)

2017年10月24日 23:08 | コメント (0)